先進的な教育研究により着実に高い評価を獲得

日本版ランキングのほぼすべての指標で前年からのランクアップを果たした秋田大学。その原動力は4学部それぞれが特色として、時代性に合った先進的な教育・研究を力強く打ち出していることにある。

国際資源学部は、最先端の資源学を網羅的に教える日本唯一の学部で、その存在価値は揺るぎない。徹底した語学教育と海外資源フィールドワークを導入し、世界に通用する専門家の育成に期待が寄せられている。

東北最大のシミュレーションセンターを擁する医学部では、先進研究とともに、高い臨床力のある医療人の養成に注力。国際的な医療活動に携わる人材輩出も視野に、早期から豊富な臨床経験の機会を設け、英語による医療面接なども行う。

その医学部と連携し、理工学部が進めるリハビリテーション・ロボットの開発は、名実ともに国内最先端だ。理工学部は、ナノ素材の開発など、未来をリードする多様な研究でも注目される。AIやビッグデータ活用などの知識を基礎課程から取り入れ、Society5.0時代を生きる人材を育てる。

学力国内トップクラスを誇る秋田県の義務教育を支えるのが、県下の教員の約6割の出身学部である教育文化学部だ。教職高度化センターにおける、教職研究、教育実践研究、教員育成連携支援、臨床心理学などの分野の研究にも余念がない。

アジアからアフリカまで世界が舞台の海外資源フィールドワーク。
アジアからアフリカまで世界が舞台の海外資源フィールドワーク。

現場と教室を結ぶPBL重視の「秋田モデル」

大学全体としては、「秋田モデル」と呼ばれる、PBLを積極的に取り入れた教育手法に定評がある。現場と教室、実践と座学の間を、シームレスに行き来しながら、学生たちはより深く、より広く学んでいく。学生自身が考えて地域課題の解決に取り組む「学生自主プロジェクト」も盛んだ。

2017年に日本経済新聞社と日経HRが行った調査で、秋田大学は「(企業が)採用を増やしたい大学」の首位だった。「秋田モデル」の特徴である豊富な実践経験が、自ら考え行動する力を育み、即戦力となって、企業からの評価につながったと同大学では振り返る。

今の時代、グローバル社会に対応する力が不可欠だ。秋田大学はこの点でも、堅実に学生の力を伸ばしている。例えば、英語教育については、「ALL Rooms」と名付けた英語自習室に、英語に堪能な日本人学生や留学生スタッフを配置。週3回の英会話プログラムを提供するほか、いつでも英会話の相手をする。

さらに短期留学を含めた1年間のプログラム「イングリッシュ・マラソン」によって、参加者全員がTOEIC600点以上、または各自100点以上のスコアアップを目指す。大半がこれを達成するという。英語力の底上げが進んだことにより、留学する学生も年間150名にまで増えた。現在も順調に増加中だ。

外国人の先生や留学生と気軽に英会話の練習ができる「ALL Rooms」。
外国人の先生や留学生と気軽に英会話の練習ができる「ALL Rooms」。

教育の根底を支える「学生第一」の理念

秋田大学が重視するのは、入学時の学力よりも、卒業時までにどれだけ成長できるかだ。そのために、教員は個々の学生に親身な指導を行う。その根底を支えるのは、「学生第一」という理念であり、このモットーを具現化する工夫や努力が、さまざまな形で実践されている。

例えば、AO入試での合格後、通信講座により補完教育を提供する入学前教育を実施。さらに、学生が疑問点を教員から丁寧に教えてもらえる「質問教室」を設けるなど、入学後の支援もきめ細かい。

学生と真摯に向き合う取り組みは、生活全般に及ぶ。あらゆる悩みに対応する「24時間相談ダイヤル」もその一つ。さらに、昨年からは、毎回6名の学生を学長室に招いて歓談する「学長カフェ」をスタートさせた。

「寒さが厳しい冬、温かい飲み物の自動販売機が教室近くにあるとうれしい」「自習スペースが不足して困っている」「駐輪場の場所が不便なので見直してほしい」といった本音が聞けた。普段はなかなか大学トップの耳に届かない、生の声ばかりだ。2018年度、山本文雄学長は11回の学長カフェを開き、毎回1時間以上、通算70名近い学生と対話をしてきた。この取り組みは学生にもすっかり定着し、今後も続けていく予定だ。

「こうして学生一人一人を親身になって育てているので、安心して秋田大学で学んでもらいたいと思います」と山本学長は胸を張る。

和やかな雰囲気で開催される山本学長と学生の「学長カフェ」。
和やかな雰囲気で開催される山本学長と学生の「学長カフェ」。
学長、医学博士
山本 文雄
山本 文雄
やまもと・ふみお
1979年鳥取大学医学研究科博士課程修了。鳥取大学医学部附属病院助手、国立循環器病センター厚生技官を経て、1998年秋田大学医学部教授に就任。大学院医学系研究科教授、学長補佐(病院機能拡充担当)、副学長(国際戦略担当)、理事(研究・国際・産学連携・情報担当)を歴任し、2016年より現職。医学博士。