APU、ICUなど有数の国際系大学も上位にランクイン

 「国際性」分野の評価項目は、外国人学生比率(評価項目全体に占める割合は8%)と外国人教員比率(同8%)の2つで、いずれも各大学が入力した情報を基に算出、スコア化された。上位50大学は下表の通り。  設置形態別に見ると国立10、公立4、私立36で、総合ランキングの国立33、私立12と比べると国私の形勢が逆転している。立命館アジア太平洋大学(1位)、上智大学(5位)、国際基督教大学(9位)など、「国際系大学」として知名度の高いところに加え、全国的にはその名があまり知られていない地方大学、小規模大学も多く入っている。  私立が多くランクインした要因の一つは、留学生募集に力を入れる大学が増えていることが挙げられるだろう。トップ10の大学はいずれも外国人学生比率、外国人教員比率の両方が高い。各大学のホームページ等から情報を集め、これら2つの項目を中心に国際性に関する取り組みや実績を紹介する。

日本版の評価指標
日本版の評価指標

留学生や外国人教員を活用した日常的な異文化交流

1位 立命館アジア太平洋大学
 学生と教員それぞれ半数を外国人で構成し、50以上の国・地域から学生を集めるという目標を掲げて2000年度に開学した。2016年11月現在の外国人学生比率は50.3%で、90か国・地域出身の2944人が在籍。一方、2016年5月現在の外国人教員比率は50.6%で、24か国・地域からの87人。学部の授業の約80%は日英2言語で開講している。
 2016年8月には、国際経営学部と経営管理研究科が、ビジネススクールの国際的な認証機関AACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)の認証を取得した。

2位 大阪経済法科大学
 研究者同士の学術交流から始まった国際交流が姉妹校締結、海外語学研修の実施や学生の相互派遣、国際共同学生プロジェクトなどに発展。中国・台湾・韓国をはじめとするアジア各国から留学生が集う多文化キャンパスとなった。日本人学生との交流を促すため、互いの母国語を教え合う「ボランティア語学講座」や多彩な異文化交流行事を実施している。
グローバルな環境を生かして2016年度に新設した国際学部には、1年次の選択必修科目として海外でのフィールドワークや語学研修がある。他学部でも、希望すれば誰でも参加できる海外体験プログラムを設けている。

3位 東京国際大学
 1965年の開学当初から多彩な交流を続ける米・ウィラメット大学をはじめ11か国・地域の21大学と姉妹校、交流協定校などの形で学生の相互派遣をしている。2016年5月現在の学部学生数は6413人で、学部の留学生数は709人。
 留学生対象のE-Track Programは全ての講義科目を英語で開講し、英語のみで学士の学位を取得できる。

4位 麗澤大学
 1959年に外国語学部のみで開学し、後に国際経済学部(現在は経済学部に改組)を増設した。16か国・地域の45大学と連携協定を結んでいる。2015年の留学生は352人で、在学生に対する外国籍学生の割合は約16%。
 英語のネイティブ教員が常駐するコミュニケーションスペースi-Loungeや日本人学生と留学生が共に生活するグローバルドミトリーなど、日常的な多文化・多言語の環境づくりに取り組んでいる。

5位 上智大学
 スーパーグローバル大学創成支援事業(グローバル化牽引型)に採択され、さまざまな数値目標を設定している。2015年の海外協定校は51か国266大学。2015年度の留学生は1923人で、2023年度には全学生数の約20%にあたる2940人への拡大をめざしている。2015年度には海外大学との連携プログラム強化に取り組み、ドイツ語学科の必修科目の一部をドイツの協定校で受講する在外履修制度を導入、これによりドイツからの留学生受け入れも増加した。
 2013年度の外国人教員は254人で、2023年度には全教員数の57%にあたる312人に増やすという目標を掲げている。

東京外大、福岡女子大では留学生対象のプログラムを設置

6位 東京外国語大学
 交流協定校からの交換留学生を対象にした「東京外国語大学国際教育プログラム「ISEPTUFS (International Student Exchange Program of Tokyo University of Foreign Studies)」を設け、日本語能力、および日本に関する知識の修得を支援。毎年100人以上の留学生がこのプログラムで学んでいる。

7位 福岡女子大学
 文学部と人間環境学部を改組して2011年度に国際文理学部のみの大学となった。2016年5月現在、学部の学生数は1030人で学部留学生数は99人。1年次は全寮制で留学生と共に国際学生寮で生活する。
 短期留学生向けのプログラム「WJC(The World of Japanese Contemporary Culture Program)」では、ポップ・カルチャーなどの現代日本文化について英語で解説する授業を通年で開講している。

8位 山梨学院大学
 2015年度に国際リベラルアーツ学部(入学定員80人)を新設、同学部の外国人教員比率は約80%で、ほとんどの授業を英語で開講している。1年次は全寮制で、留学生と共同生活を送る。2年次か3年次に1年間の海外留学を必修にしている。
 全学的なグローバル環境の整備にも力を入れ、全学生数の5.4%にあたる187人が留学生で、全教員数の16.7%にあたる24人が外国人だ。

9位 国際基督教大学
 学生のおよそ10人に1人が留学生で、国籍は50を超える。留学生を含む全学生の20%、約 600人がキャンパス内の寮で生活している。 専任教員の3人に1人が外国人で、国籍は約20か国にわたる。ブルガリア出身の教員が『源氏物語』を教えたり、ハンガリー人の教員が日本史を教えたりしている。

10位 北陸大学
 2016年5月現在の学部学生数は1941人で学部留学生数は401人。中国の協定校で2年間学んだ中国人学生が北陸大学に3年次編入して両方の学位を取得するダブルディグリー制度を2002年から実施、1学年につき約160人がこの制度の下で学んでいる。
 2017年度に新設した国際コミュニケーション学部では英語と中国語の運用能力を修得させる。英語は日本人教員とTESOL(英語を母語としない者に対する英語教授法の資格)保有教員によるチームティーチング、中国語は日本人教員と中国人教員によるチームティーチングおよび中国人留学生SAとの対話による指導をそれぞれ特色とする。

 開学当初から「国際」を掲げてきた大学、近年の社会変化に対応すべくグローバル化に力を入れだした大学など、今回のランクインに至る背景はさまざまだが、いずれも留学生を受け入れるために独自の施策を講じ、教員の多様性も重視している。こうしたグローバルな環境の下で日本人学生の語学力や異文化理解の力が向上し、海外体験への関心と意欲が高まることは容易に想像できる。

※この記事は、Between情報サイトより引用しています。