“学部”の“教育力”にフォーカスしたランキング

「THE世界大学ランキング 日本版」は、教育力に比重を置いた国内の大学のランキングです。その名が示すとおり「THE世界大学ランキング」の「日本版」として、イギリスのTES Global社により2017年3月末に初めて発表されました。今後も毎年、ランキングが更新されていく予定です。 名称の冒頭にある「THE」は、「Times Higher Education」の略で、TES Global社が発行している高等教育専門誌の名称です。このTHE上で発表されている、世界中の大学を対象にしたランキングが「THE世界大学ランキング」。世界には様々な大学ランキングが存在しますが、THEのランキングは10年以上にわたって各国の受験生、留学を検討中の学生、研究者など幅広い層に利用されています。教育・研究振興策として自国の大学のランクアップを支援する国もあるなど、そのスコアには高い信頼が寄せられています。 「THE世界大学ランキング」では、評価にあたって“大学院”の“研究力”が重視されているため、学部課程に関心がある人にとっては使い方に工夫が必要でした。そこでTHEは日本版の作成にあたって、“学部”の“教育力”にフォーカスすることを決めます。 ただし“学部”の“教育力”は、各国の社会背景や文化に左右される面が多く、世界的な統一基準での評価が難しいため、各国の状況に合わせた評価基準を設定することになりました。日本版の作成については、日本の教育事情に通じた立場として、ベネッセグループが助言や調査補助を行っています。

ランクイン大学の顔ぶれは日本版ならでは

日本では長らく、入試難易度、いわゆる偏差値が高校生の大学選び、また企業の採用にも影響を与えてきました。しかし近年は、入学した学生をどれだけ成長させて社会に送り出すか、つまり入学後の教育力が、高校生や保護者、社会から注目されています。「THE世界大学ランキング 日本版」(以下、日本版)はその関心に応えるものになり得るでしょう。 日本版のランキングを見ると、「THE世界大学ランキング」(以下、世界ランキング)とは異なる特徴が見て取れます。例えば、国際基督教大学(15位)、国際教養大学(20位)のようなリベラルアーツカレッジ、お茶の水女子大学(39位)や福岡女子大学(48位)などの女子大がランクインしているのは、日本版ならではの傾向です。また、研究力を重視した世界ランキングでは、理工系の学部を持つ大学のランクインが目立ちますが、日本版は文理のバランスがよく、一橋大学(14位)や神田外語大学(46位)のような人文社会系の単科大学もランクインしています。

4分野11項目の総合スコアで順位が決まる

日本版のランキングはどのようにして決まったのでしょうか。2017年度については、大学を評価するために11項目の指標(メトリクス)が設定されました。各項目の割合に応じて算出された総合スコアによってランクが決まるというしくみです。 11の項目により「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」の4つの分野(ピラー)が構成されています。サイトで公開されているのは、この4分野のスコアです。 各項目の点数を算出するにあたっては、大学から提供された情報のほか、高校教員、企業の人事担当者、研究者に対するアンケート調査、学力テストのデータ、世界的な論文データベースなど、いろいろなデータが使われています。こうしたデータの収集、集計プロセスについては、PwC(PricewaterhouseCoopers/世界の4大会計事務所の1つ)の監査を受け、公正が保たれています。

大学を“多面的・総合的”に選ぶために

高校現場における、日本版の使い方を考えてみましょう。既に志望校が定まっている生徒にとっては、その大学がランキングに入っていれば、特徴を再確認するために役立ちます。分野別のスコアを参考に、具体的にどんな点が優れているのかを調べることによって、大学への理解が深まるでしょう。複数の候補の中から第1志望校や併願校をどこにするか迷っている生徒にとっては、ランクインしているかどうかが、またランクインしていればそのスコアが、判断材料の一つになるかもしれません。一方、まだ志望校が見つかっていない生徒にとっては、気になる大学を見つけるきっかけになります。進学先に求める条件に近い分野のランキングを調べ、ランクイン大学を優先的に見ていくとよいでしょう。また、「そもそも偏差値以外にどんな視点で大学を見ればいいかわからない」という生徒については、指標の4分野11項目そのものが大学を評価する視点として参考になります。現在、各大学は2020年度の入試改革に向けて多面的・総合的評価の導入を進めています。日本版が大学選びに使われるようになれば、偏差値一辺倒の時代から、多面的・総合的に大学を評価する時代に変わっていくのではないでしょうか。

※この記事は、Between情報サイトより引用しています。