注目を集める日本文化

 日本の自然、建築物、食文化、ポップカルチャーなどが、近年、世界で注目を集めています。実際に、2013年には「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、日本文化に対する諸外国の関心の高さが伺えます。
 日本政府観光局によれば、訪日外国人数は昨年1年間で2400万人を超えています。また、今年度の4月から10月までで約20%ずつ伸び続け、過去最高を記録。さらに、外国人留学生は、2016年5月1日現在で239,287人であり、対前年比で30,908人(15%)増加しています。
 また、政府は「観光立国推進基本計画」で、2020年までに、訪日外国人旅行者数を4000万人にする、訪日外国人旅行消費額を8兆円にするなどの目標を掲げています。一方で、訪日外国人旅行者が大都市に集中していることや、店舗、施設などのインバウンド対応が不十分であるといった問題点も挙がっています。
 このような現状の問題点を解決し、日本の魅力を海外に伝えられる人材の育成は急務と言えます。

日本文化を海外に伝える力を身に付ける

 日本文化について学ぶ学部・学科は、国際学部などの中の一つとして位置づけられていることも多く、外国語・多文化理解の授業や海外研修なども充実しています。今回は「すべて英語で行われる授業」の割合が高い大学の中から、日本文化が学べる文系の大学をピックアップし、特徴的な取り組みを紹介します。

おもてなし文化を学ぶ:甲南女子大学
 甲南女子大学は、文学部に日本語日本文化学科を設置。同学科には「視聴覚コミュニケーション」「ホスピタリティ」「日本語日本文化」の3つのコースがあり、1つまたは複数のコースを選択できます。
 アナウンスや漫画の表現方法、宝塚歌劇などのメディアの歴史を学ぶ視聴覚コミュニケーションコースでは、アニメや映画などの日本の視聴覚文化について学修するほか、アナウンス技術なども修得します。実際に放映される番組の制作など、実践的な授業が特徴です。日本語の表現力を伸ばし、日本のカルチャー産業を担う人材を育成します。
 ホテルやブライダル、空港などのおもてなしを学び環境産業で活躍する人材を育てるホスピタリティコースでは、日本の伝統である「おもてなし」の文化を学びながら、専門的なスキルを身に付けます。学科共通科目としてインバウンド論が選択できるなど、訪日外国人対策に向けた授業も行っています。
 国語科の教員免許や日本語の教育能力検定試験合格を目指す日本語日本文化コースは、国際的な知識や教育技能にも焦点を当てたプログラムです。グローバルな日本語教員の育成をめざし、韓国で約2週間の実習を行っています。実習では、現地の大学に滞在し、学生が日本語教育の授業を担当。実際に、韓国人の学生たちへ日本語を教えています。
 そのほかにも、甲南女子大学では、様々な留学プログラムや海外演習を行い、海外に日本文化を発信していく下地作りをする環境を整えています。

グローバル社会の中の日本を学ぶ:筑波大学
 筑波大学は、人文・文化学群に日本語・日本文化学類を設置しています。
 日本語・日本文化学類では、専門科目として「国際・協働」分野の授業を10以上設けるなど、グローバル社会の中の日本を学ぶカリキュラムに力を入れています。学類の3つの目標の1つにも「国際性」を掲げ、留学生との合同授業や、学生が海外で学べる「国際科目」を取り入れています。「国際科目」としては、様々な国で、現地の小中学生から大学生と幅広い人々を対象に日本語を教える実習を行っています。
 さらに、大学内でも、筑波大学の外国人留学生の学修補助や日常生活のサポートを行うチューター制度によって、日々の交流の中から日本語を教える体験や異文化理解を行うことができます。
 そのほかにも、つくば市在住の外国人向け日本語教室を開いての実習や、企業関連施設でベトナム・ミャンマーの学習者を対象とした日本語教材の編集・販売にかかわるなど、国内の実習にも力を入れており、より実践的に日本文化の発信を行っています。

 観光や日本文化を発信する仕事をしたいと考えている場合、日本語学や日本文学を学び世界に発信していくという選択肢も考えられます。THE世界大学ランキング 日本版では学問系統による検索もできるので、興味のある学問から新たな大学の発見につながるでしょう。