立教大学、法政大学も新たにランクイン

 THE世界大学ランキング日本版2017(以下、2017版)でランクインした明治大学、青山学院大学、中央大学は、いずれも総合ランキング100位以内でハイレベルでした。2018版では、立教大学、法政大学がこの3大学と肩を並べる形となり、「MARCH」5大学が全て100位以内に入りました。
 特に、立教大学は27位と、初ランクインで5大学中トップに躍り出ました。立教大学は「国際性」の高さが際立っています。
 法政大学は53位。「教育充実度」「教育成果」が高いスコアを示しています。この2分野のスコアの高さは、MARCH全体の傾向でもあります。

「国際性」の高さの理由は?<立教大学>

 立教大学が「MARCH」5大学の中で抜きんでているのは、「国際性」のスコアです。他の4大学が40~50ポイント台なのに対し、立教大学は73.9ポイントで、18位(私立大学では13位)にランクインしています。「外国語で行われている講座の比率」が39.2%と全国トップレベルであることが、スコアを高めている要因と考えられます。
 背景にあるのが、2014年5月に公表した「Rikkyo Global 24」。それを基盤とした事業構想が、 文部科学省の 2024年度「スーパーグローバル大学創成支援」に採択されました。具体的には、2024年度までに、<全学生を海外に派遣><外国人留学生2000人受け入れ><外国人教員比率20%>などの目標を伴う、24のプロジェクトを進めています。これらの目標はいずれも「国際性」のスコアに影響するものであり、プロジェクトの進展が、今回の高スコアにつながったと言えるでしょう。
 2016年度からは、外国語(主に英語)による授業や、海外体験プログラムを通して広い視野を身につける「グローバル教養副専攻」を設置。また2017年度からは、留学生と共にリベラルアーツを英語で学ぶプログラム「Global Liberal Arts Program(GLAP)」が設置されて、国際性を養う環境がさらに充実しつつあります。

「グローバル」と「キャリア」が特徴<法政大学>

 法政大学は、「MARCH」5大学全体の傾向でもある「教育充実度」「教育成果」の高さが強みです。分野別ランキングの「教育充実度」は私立大学で14位、「教育成果」は私立大学で16位となっています。
 高いスコアを支えている要因の一つは、2008年設置のグローバル教養学部が牽引役となって進められている、グローバル人材育成の取り組みです。
 1クラス10人程度の少人数クラスで外国人講師と英会話を行う「ERP(英語強化プログラム)」、英語で経済や科学技術を学べる「グローバル・オープン科目」、3・4年次の1年間の長期留学について留学先の授業料が免除され、70~100万円の奨学金支給される「派遣留学制度」などが、全学部生に対して開かれています。
 もう一つの要因は、2003年度設置のキャリアデザイン学部を象徴とする、キャリア教育の充実です。
 現在では多くの大学に置かれている「キャリアセンター」ですが、法政大学は他大学に先駆けて2005年4月に「キャリアセンター」を設置しました。社会で求められる力として、特に「文書作成力」「情報収集・分析力」「状況判断・行動力」に注目し、「気づき」「成長」「発展」の3段階に分けて自立型人材を育成しています。併せて、社会で必要となる力を理解するための映像教材、独自に規定した就業力を測定するアセスメント(評価)などを開発しています。

「教育成果」のスコアがアップ<明治大学、青山学院大学、中央大学>

 明治大学、青山学院大学、中央大学は、2017版に引き続き2018版でもランクインしています。総合ランキングは明治大学が34位→35位、青山学院大学が50位→50位、中央大学が55位タイ→51位タイで、中央大学が順位を上げました。分野別スコアの推移を見ると、3大学とも「教育成果」が上昇しています。
 「教育成果」の指標は2018版で若干の変更が加えられ、2018版よりも「企業人事の評判」の割合が高まっています。そこで、3大学の「社会で役立つ力」を育成する取り組みを見てみましょう。

 明治大学は、グローバル人材を育てる目的で、5つの全学部共通プログラムを実施しています。例えば「国際教育プログラム」は、他学部の国際関係の授業を履修できるプログラムです。また、「日本ASEAN相互理解プログラム」では、日本と東南アジアをつなぐ人材を目指し、現地での特別講義の受講やインターンシップを行います。

 青山学院大学では、全学部共通の「青山スタンダード」教育により、就業力を育成しています。ここには、自己理解や社会理解を深めるための科目のほか、1年次の段階で卒業後の仕事について考える「キャリアデザイン・セミナー」が含まれています。

 中央大学で注目したいのは、「『知性×行動特性』学修プログラム」です。知性(専門的知識・技術)と行動特性(コンピテンシー)を効果的に高めるために、授業や課外行事をセットにした数多くの「プロジェクト」が設けられています。

 「MARCH」と一括りにされる5大学ですが、獲得したスコアから、それぞれの大学の強みを探ることができます。