THE世界大学ランキング2019発表

 イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」は9月26日、15回目となる2019年の「THE世界大学ランキング」を発表、86カ国1250校以上(前回は1102校)の順位を示しました。トップは前回と同じオックスフォード大学で、2位のケンブリッジ大学も変わらずです。3位は前回、同順位だった2校のうちスタンフォード大学が単独で同じ順位を維持しました。日本からは東京大学と京都大学が引き続きトップ100入りし、東京大学は順位を4つ上げて42位、京都大学は9つ上げて65位でした。日本からは前回より14校多い103校がランクイン、その数で初めてイギリスを抜き、アメリカに次いで2位に。THEは「日本は数年にわたる衰退と停滞を乗り越え、確かな進歩を遂げた」と称賛しました。
 「THE世界大学ランキング2019」のトップ10はアメリカ7校、イギリス3校と米英が独占。3年連続トップのオックスフォード大学は、世界ランキングで重視される「研究力(論文数、収入、評判)」におけるトップの強さを見せつけました。上位校の中で注目されるのは前回の12位から8位に躍進したイェール大学で、トップ20校中、順位の上げ幅が最も大きくなっています。前回は同率10位だったスイス連邦工科大学チューリヒ校(11位)とペンシルバニア大学(同率12位)はいずれもトップ10から脱落しました。

東大、京大は「教育力」「産業界からの収入」等の改善でランクアップ

 日本からのランクインは前回の89校から103校に。設置者別に見ると、国立55・公立10・私立38となっています。前回、日本でトップだった東京大学は46位から42位にランクアップ。日本で2位の京都大学も74位から65位に順位を上げました。
 東京大学のランクアップは「教育力(学習環境)」「研究力」「産業界からの収入(知識移転)」の各分野の改善によるもので、「教育力」は16位、「研究力」は19位でした。京都大学は前回の17ランクアップに続く躍進で、「教育力」「引用数(研究の影響力)」「産業界からの収入」が改善され、「産業界からの収入」は37位でした。
 私立大学の最上位は401–500位で、前回の501-600位からランクアップした藤田保健衛生大学と初ランクインとなる帝京大学が同順位。いずれも「引用数」が強みで、総合順位は北海道大学、九州大学などと同じでした。
 初めてランクインしたのは帝京大学のほか立教大学、青山学院大学、東京農業大学など16校。日本医科大学、愛知医科大学、兵庫医科大学など医学系も目立ちます。

THEは「日本は堅実に改善」するも「大学の大半は衰退、静止」と指摘

 日本のランクイン校の増加数「14」は今回、アメリカに次ぐ2位で、東京大学と京都大学がそろって順位を上げたことと合わせてTHEから賞賛されました。THE編集長のフィル・ベイティ氏は「日本は長期的な下落の後、主要大学と有望な新規参入大学、両方の堅実な改善によって強固な結果を残した」とコメント。
 一方で「競争が激化する中で、日本の大学の大半は依然として衰退、あるいは静止状態を維持しています。人口減、高齢化、留学生獲得の地域的・国際的競争激化などの課題が今後、日本の大学の存続を脅かす可能性がある」と懸念を示し、「日本の大学が真の意味で競争力を強化するには、はるかに大きな投資と国際化の努力が必要」と述べています。
 日本以外の各国の状況を概観すると、今回も中国の躍進ぶりが目を引きます。順位を8つ上げて22位になった清華大学は北京大学(27位→31位)を抜いて中国トップに。シンガポール国立大学(22位→23位)をも上回り、現在のランキング方法になった2011年以降で初めて、中国の大学がアジアトップの位置を獲得しました。清華大学の「研究力」6位はプリンストン大学、イェール大学、マサチューセッツ工科大学などを上回っています。
 香港は3年連続で5校がトップ200入り。そのうち4校が前回から順位を上げ、世界ランキングでの存在感を強固なものにしています。
 アメリカはランクイン校数を157から172に伸ばしましたが、そのうち130校は成績に変化がないか下降しています。トップ200のランクイン校数は62から60に減り、その半数以上が順位を下げました。ヨーロッパ、オーストラリアと同様、国際競争の激化、資金削減、移民政策の緊縮による停滞の兆しが見られます。
 イギリスはランクイン校数を93から98に伸ばしましたが、日本の103校には及ばずランクイン校数2位の地位を譲りました。トップ200のランクイン校数29は今回も2位を維持しましたが、そのうち21校は成績に変化がない、または下降しています。
 このようにアメリカ、およびイギリスをはじめとするヨーロッパの大学に停滞の兆しが見られる一方で中国、香港の大学が引き続き勢いを増しています。世界における高等教育の勢力図が描き替えられつつある中、日本の大学がいかに存在感を高めていけるか注目されています。

博士号取得状況や研究費収入等、研究力重視の指標

 「THE世界大学ランキング2019」は基本的に前回と同じ指標を用い、教育力、研究力、国際性など5つの分野について、13の指標で各大学のスコアを算出しています。学部卒業生数や教員数と博士号取得者数の比率、研究費収入を指標として取り入れ、論文引用数の評価比重を高くするなど、研究を重視している点が「THE世界大学ランキング日本版」との違いです。

各分野・指標の比重は以下の通り。
◇教育力(学習環境) 30%
・評判調査 15%
・教員数と学生数の比率 4.5%
・博士号取得者数と学部卒業生数の比率 2.25%
・博士号取得者数と教員数の比率 6%
・大学全体の予算 2.25%
◇研究力(論文数、収入、評判) 30%
・評判調査 18%
・研究費収入 6%
・研究の生産性 6%
◇引用数(研究の影響力) 30%
◇国際性(教職員、学生、研究) 7.5%
・海外留学生数と国内学生数の比率 2.5%
・外国籍教職員数と国内教職員数の比率 2.5%
・国際共同研究 2.5%
◇産業界からの収入(知識移転) 2.5%