「芥川賞」「直木賞」受賞者の出身大学

 公益財団法人日本文学振興会による「芥川龍之介賞(以下、芥川賞)」「直木三十五(以下、直木賞)」は、いずれも1935年(昭和10年)に制定された歴史ある文学賞です。「芥川賞」は『羅生門』や『蜘蛛の糸』などで有名な芥川龍之介の名を冠した賞で、新進作家による中・短編の純文学作品に贈られます。「直木賞」は大正から昭和初期にかけて活躍した大衆文学作家である直木三十五を記念した賞で、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本に贈られます。どちらの賞も、前年の12月からその年の5月までに発表された作品を上半期に選考し、6月から11月までに発表された作品を下半期に選考します。そのため、それぞれ7月と1月の年2回、発表されます。
 2019年1月には、第160回(2018年下半期)の受賞作品が発表されます。
 2013年以降の「芥川賞」「直木賞」受賞者の出身大学をまとめ、一覧表にしました。2013年以降の受賞者たちが通った大学のうち、「芥川賞」「直木賞」合わせて2人以上の受賞者がいる大学は、早稲田大学、同志社大学、西南学院大学の3校です。このうち、早稲田大学は4人もの受賞者が輩出しています。
 日本版ランキング2018を参考に、これらの3大学を見ていきましょう。

日本版ランキングの活用法

 早稲田大学、同志社大学、西南学院大学の3大学を、日本版ランキング2018で調べてみると、総合ランキングにおいては、早稲田大学が11位、同志社大学が28位、西南学院大学が101-110位と、いずれの大学もランクインしています。

■分野別のスコアでは、3校とも「教育充実度」が高い
 日本版ランキング2018では、4つの分野のスコアを算出しています。その分野の1つである「教育充実度」は、どれだけ教育への期待が実現されているかがわかる指標です。「グローバル人材育成の重視」と「入学後の能力伸長」に関する、高校教員への評判調査から算出されています。早稲田大学、同志社大学、西南学院大学の3大学は、この「教育充実度」スコアが高い傾向にあります。

■「教育成果」のスコアが高い大学は?
 「教育成果」分野のスコアは、どれだけ卒業生が活躍しているかがわかる指標です。企業人事や研究者への評判調査をもとに算出されます。日本版ランキングの中で、「教育成果」分野は研究の成果が出やすい分野であるため、理系学部を有する大学や就職活動に強い大学が上位になる傾向が見られます。
 3大学の中で、西南学院大学は「教育成果」分野のスコアが比較的低い数値ですが、これは文系の学部のみの大学であることが関係していると考えられます。
 一方で、総合大学である早稲田大学と同志社大学は、「教育成果」分野で高いスコアを獲得しています。特に、同志社大学の理工学研究科は、海外の大学の学位と同志社大学理工学研究科の学位とを、同時に2つ取得できるダブルディグリー協定を日本で初めて結びました。それ以来、同志社大学の理工学部や理工学研究科では、多くの学生がダブルディグリーを取得しています。
 また、同志社大学は、キャリアサポートが充実していることも特徴です。2009年秋に導入されたキャリア支援システム「e-career」は、同志社大学キャリアセンタ一の独自情報を提供する最新のWebシステムです。求人・採用試験情報、就職活動体験記情報、採用状況アンケ一卜情報、学生一人ひとりの就職希望と求人募集のマッチング情報などが提供されます。掲載される企業のデータ件数は約20‚000社、求人件数は年間約5‚900社。自宅や外出先からも24時間アクセスできるので、学生の就職活動の貴重なツールとなっています。

■早稲田大学は「国際性」で高いスコアを獲得
 どれだけ国際的な教育環境になっているかを示す「国際性」分野は、3大学ともスコアが高い傾向が見られます。その中でも、早稲田大学の「国際性」分野のスコアは73.6とかなり高く、「国際性」分野で19位にランクインしています。
 早稲田大学の「Waseda Ocean構想〜開放性、流動性、多様性を持つ教育研究ネットワークの構築〜」は、文部科学省スーパーグローバル大学創成支援事業に採択されています。また、グローバルエデュケーションセンターを起点に、語学学習や国際交流のみに限定しないグローバル教育を行っています。さらに、686校もの海外の大学と大学間交流協定を結んでいることや、全学生のうちの1割以上が海外からの留学生というように、海外留学生の受け入れにも積極的な環境。これらのことにより、大学内でも異文化に触れる機会が豊富にあるといえるでしょう。
 これらの取り組みが、学生の経験や思考を深め、文学界のみならず様々な分野で活躍する卒業生の育成につながっていると考えられます。

 このように、関心あるテーマに関連する大学について、日本版ランキング2018を使って調べてみると、大学ごとの違いや共通点がわかり、大学をより深く知ることもできます。
 ニュースなどで興味を持ったテーマについて、日本版ランキング2018を活用してみてはいかがでしょうか?