東海大学が総合ランキングに、ほか3大学が分野別ランキングにランクイン

 5大学のうち、総合ランキングにランクインしたのは東海大学だけでした。東海大学は、分野別ランキングでは「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」の3分野でランクインし、優れた教育力を持っていることが伺えます。
 大東文化大学、亜細亜大学、帝京大学は、分野別ランキングでのランクインを果たしました。そのうち大東文化大学は、「教育成果」「国際性」の2分野でランクインしています。
 国士舘大学は、2018版のランキングではランクインを果たしませんでしたが、2017版では「教育成果」「国際性」の2分野でランクインしていました。次回の巻き返しが期待されます。

総合大学のスケールを生かし学生のチャレンジを後押し<東海大学>

 東海大学は「国際性」分野以外の全てでランクインし、5大学の中で唯一、「教育リソース」「教育充実度」の各分野でもランクインしました。「教育リソース」は、大学の資金力、研究力などを基に充実した教育が行われる可能性を、「教育充実度」は高校教員への評判調査を基に、教育への期待の実現度合いを示す分野です。これら2つの分野でのランクインに貢献したと考えられる取り組みに、「チャレンジプロジェクト」があります。
 「チャレンジプロジェクト」は、学生が企画します。学生自らが参加者を集めて行うプロジェクト活動を通じて、「自ら考える力」「集い力」「挑み力」「成し遂げ力」を高めることが目的です。企画がプロジェクトとして認定を受けるためには、「学部・学科を横断したメンバー構成であること」「メンバーが30人以上であること」という2つの条件があります。8キャンパス20学部を持つ東海大学のスケールを生かしたこのプロジェクトによって、学生は、得意分野や性格が異なる学生と協働して目標に向かうことを経験します。
 2017年度には、地域の小学生や中高生を対象とした理科の実験教室や、体育学部の学生を中心としたダンスパフォーマンス、病院を訪問してのボランティアプロジェクトなどが実施されました。

留学を通して自分の成長を可視化<亜細亜大学>

 亜細亜大学の「国際性」のスコアは72.3で、全ランクイン大学の中で25位と、上位にランクインしています。この背景にあるのは、世界20か国・地域の36大学と提携した、充実の留学制度です。
 亜細亜大学が提供する留学プログラムは、大きく分けて4種類あります。語学力の向上や異文化理解を目的に5か月間アメリカに赴く「アメリカプログラム(AUAP)」、16の留学先から選べる3~5週間の短期留学「グローバルプログラム(AUGP)」、自分で立てた学修計画に沿って1年間学ぶ「交換・派遣留学生制度(AUEP)」、2年次前期の約6か月間、中国に留学し、現地企業でインターンシップも行う「アジア夢カレッジ―キャリア開発中国プログラム―(AUCP)」です。
 いずれのプログラムも、留学による成長の度合いを評価する「My Before‐Afterシート」で、留学の経験をキャリア形成に生かす目標設定と振り返りがなされます。「My Before‐Afterシート」では、留学前に自分の得意・不得意分野を把握し、留学中の目標を設定、留学後の達成度を明確な指標で「見える化」します。リーダーシップ力、コミュニケーション力、問題解決力、言語適応力、環境適応力の5つの能力を留学前、留学中、留学後に数値化し、自分の成長度合いや課題を明確にするしくみです。目標の達成度合いやそれに関連するエピソードを書き込むことにより、学生は自分の成長や、さらに上の目標を自覚することができます。このような取り組みが、学生の充実した留学体験を可能にしているといえます。

企業から定評がある社会で役立つ力の育成<大東文化大学><帝京大学><国士舘大学>

 「教育成果」分野のスコアは、企業人事や研究者の評判調査を基にしています。そのため、日本版ランキング2018の4分野の中で、卒業生の企業や研究での活躍度合いが最もスコアに表れやすい分野だといえます。この分野でランクインを果たした大東文化大学と帝京大学、2017版でランクインしていた国士舘大学について、社会で役立つ力をどのように育成しているのかを見てみましょう。

 大東文化大学は地域連携活動が盛んで、学生と社会人が触れ合う機会が豊富です。板橋キャンパスでは、近隣の中板橋商店街の活性化や、高島平団地の住民支援などの活動が行われ、学生は住民との協働を通して実社会で必要とされる力を学びます。課外活動を中心に学内のさまざまな活動を学びの場と捉え、2017年には社会で活躍する力を身につける取り組み「Daito Education PLUS」を開始しました。学生は、事前にリーダーシップを育てるプログラムを受講し、各自の課外活動に生かしています。

 帝京大学は、インターンシップ制度に力を入れています。1年次から参加できる「アドバンストインターンシップ実習」では、早期に社会人の働きぶりに触れ、キャリア形成を強く意識しながら、その後の学生生活を送ることができます。3年次の「インターンシップ実習」では、各企業での実習に入る前に、15回の授業で業界・企業研究、履歴書の作成などを行います。このようなしっかりとした事前準備作業が、インターンシップを実り多いものにしているといえます。さらに、学生は実習後の授業で成果発表を行います。ただ活動するだけでなく、振り返りやほかの学生の経験を聞く機会があるため、学生はインターンシップの経験を今後の糧にできるでしょう。

 国士舘大学の特色の一つは、公務員の採用実績の高さです。警察官、消防官、自治体の行政職、教員などをめざす学生のために、専門学校と提携した講座がそれぞれ数十回単位で開かれるなど、バックアップ体制が充実しています。また国士舘大学は、オリンピックや各種の大会で多くの実績を残すなど、体育会系の部活動が盛んです。これらに象徴される、一つの目標に向かって努力し続ける人間性が、企業の好評価を生む一因かもしれません。