日本版ランキング2019でランクアップを果たした私立大学の顔ぶれ

 2019年3月27日、日本版ランキング2019が発表されました。総合ランキングで150位以内にランクインした大学のうち、私立大学は70校です。そのうち29校が日本版ランキング2018と比較して順位を上げました。
 昨年より順位を上げた私立大学のうち、上位にランクインした3大学(国際基督教大学、豊田工業大学、芝浦工業大学)では、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

総合11位:国際基督教大学

 国際基督教大学は、「教育充実度」「国際性」の分野別ランキングで2位を獲得。多様性・国際性を重視する学修環境を生かした人材育成に圧倒的な強さを見せています。
 国際基督教大学は日英バイリンガル教育を推進しています。日本語を母語とする学生は、必修科目として1年次に集中的に英語運用能力を伸長させる「リベラルアーツ英語プログラム」を受講します。学生は、少人数制を生かしたこのプログラムを通して、英語力だけでなく大学で学問を学ぶために必要な批判的思考力などを身に付けます。また、教員の3人に1人が外国籍で、授業を通して日常的に異文化に触れる環境があり、様々な立場に立って考える機会が多いことも国際基督教大学における学びの魅力です。
 また、日本版ランキング2019で国際基督教大学がランクアップした背景には、「教育成果」分野のスコアを伸ばしたことも影響しているでしょう。「教育成果」分野のスコアは、企業人事からの評判調査をもとに、どれだけ卒業生が活躍しているかを示すものです。
 国際基督教大学は、専攻を限定しないリベラルアーツ教育を特徴とする大学です。学生の傾向として、多角的な視野と好奇心を持ち、幅広い業界を視野に入れているという点が挙げられます。グローバル企業を中心に希望する進路に進む学生が多く、また、約2割の学生は、国際機関で働くことを視野に入れて大学院進学を選択し、教育・研究分野で活躍しています。

総合41位タイ:豊田工業大学

 豊田工業大学は「教育リソース」の分野別ランキングで高いスコアを獲得し、16位でした。前年のランキングから引き続き、「教育リソース」分野で高いスコアを獲得している豊田工業大学の取り組みをご紹介します。
 「教育リソース」分野のランキングは、どれだけ充実した教育が行われている可能性があるかを測るものです。豊田工業大学では、少人数制を重視し、高度な最先端設備を生かした研究活動が活発に行われています。また、トヨタグループ各社の支援によって、学費が抑えられ、さらに、独自の奨学金制度も設けられています。そのため、学生の経済的負担が軽減され、勉学に専念できる環境が整っています。このように研究環境面、経済面ともに充実した支援体制があることが「教育リソース」分野の高いスコアにつながっていると考えられます。
 また、豊田工業大学は、昨年度ランクインしなかった「教育充実度」「教育成果」の分野にもランクインしています。豊田工業大学の教育は、少人数制を生かした綿密な学習支援体制が大きな特徴です。アカデミック・アドバイザー制度では、学生一人ひとりに選任の教員が、履修や学業成績、休学等についての相談や指導を受け持ちます。入学時から卒業に至るまで、教員と学生が接触する機会が多く、履修面以外にも進路や生活全体の相談を気軽にできます。

総合44位:芝浦工業大学

 日本版ランキング2019の「教育充実度」「教育成果」分野で高いスコアを獲得した芝浦工業大学は、3大学の中で唯一、THE世界大学ランキング2019にもランクインしていることが特徴です。毎年、「教育充実度」分野で高いスコアを獲得している芝浦工業大学の取り組みを紹介します。
 工学部では、「学習サポート室」を大宮キャンパスの大学会館に開設し、数学、物理学、化学、英語それぞれの担当教員が学生の質問に対応しています。また、疑問点を解消するだけでなく、学力に応じた補助教材を紹介したり、基礎的な演習問題を出題したりするなど、継続的に基礎固めを図るプログラムも提供されています。学生が理解できていない部分を放置しないような学習支援体制といえます。「学習サポート室」の有用性は、工学部1・2年生の半数以上が利用するという利用率の高さに表れています。
 日本版ランキング2018と比べてランクアップしたのは、分野別に見ると「教育成果」「国際性」の2分野でした。芝浦工業大学は、海外の学生や技術者と英語で専門分野のコミュニケーションを取ることができる「グローバルエンジニア」の育成を視野に、英語教育に力を入れています。その結果、理工系単科大学で唯一、大学改革と国際化の推進によって日本社会のグローバル化をけん引する「スーパーグローバル大学創成支援事業」に文部科学省から採択されました。海外英語研修や海外協定校との課題解決型学習、産学官連携による人材育成プログラムなどの充実した英語プログラムを通して、エンジニアとして世界で通用する英語力を身に付けます。

 本記事で取り上げた3大学は、3年連続でスコア・順位を上げています。今後も、大学教育の一層の充実が期待されます。学生調査が新たに加わり、より充実した日本版ランキング2019で、大学のスコア・順位を見てみませんか。