国際学部をけん引役にグローバル化を図る

 本学は、THEの世界版ランキングでは研究力が評価され、 601-800位にランクインしました。教育力を評価する日本版の結果は、「教育満足度」は高い一方で、「国際性」についてはまだこれから、という評価でした。「教育満足度」の高さは、教職協働で高校教員とのコミュニケーションを強化してきた結果でしょう。「近大では進学した生徒を伸ばす、質の高い教育が受けられる」という、高校からの信頼の表れだと自負しています。
 スコアの低い「国際性」は、外国人教員比率などが指標となっていますが、外国人を増やすことだけが国際化ではないと考えています。教員は、日本人であっても海外経験があり、国際的な視点と教養を教えられる素養を持ち、かつ英語で授業ができれば、積極的に採用する方針です。
 私費留学生の獲得も課題です。交換留学生を増やすために、海外大との連携協定締結を進めていますが、国際化はシステムづくりが大切。本学の200校近い協定校は約40の国・地域にわたりますが、今後も拡大を進め、多様化を図ります。英米とは異なる英語を話す国々とも交流する中で、さまざまな価値観に触れ、グローバルな観点、素養を養うしくみを整えます。
 本学のように大規模な私大では、一挙にグローバル化を図ることは困難なものです。そこで、国際化のけん引役として昨年国際学部を新設しました。一学年500人のこの学部では、1年間の海外留学が必須です。これにより4年後には英語による授業に対応できる学生が約2000人いることになります。彼らに帰国後も授業の多くを英語で行うカリキュラムを提供し、全学に普及させます。

自学のステージに適した改革のための指標として

 指標のスコアを分析し、改善につなげる際は、大学の状況に合った方策を取るべきだと考えます。グローバル化が進んだ段階の大学であれば、国際性を上げるのに外国人教員を増やす方策も有効でしょう。本学では国際学部の設置や協定校の拡充などによって海外留学を奨励するしくみをつくり、多くの学生に海外での経験を積ませる取り組みを進めています。
 自己点検評価も重要です。中期プラン、アクション・プランに対する大学全体の自己点検を、自己点検・評価委員会が行うほか、学部単位でも点検しています。今回のランキング結果も自己点検の指標の一つとして活用します。
 本学の教学改革はまだ進行中。国際化、カリキュラム改革をはじめ、文理融合の教育など、これら改革が進んでいけば、自ずと教育力の評価も上がっていくでしょう。

副学長
細井 美彦
細井 美彦
ほそい・よしひこ
1979年京都大学農学部卒業。1987年同大学大学院農学研究科博士課程修了。1993年近畿大学生物理工学研究所講師。1997年近畿大学生物理工学部助教授、2002年同大学生物理工学部教授。2010年近畿大学先端技術総合研究所長、生物理工学部長、2014年より現職。