「らしさをつよさに未来をひらく」学生と共に成長する大学

SDGsの5番目の目標として掲げられる「ジェンダー平等を実現しよう」について、残念なことに日本は、男女格差の指標で世界121位にあるのが現状だ。男女が等しく支え合う社会をつくるには、自分らしく生きていける女性、自分の力を信じて社会で活躍できる女性の育成が大切になる。

京都女子大学では、ジェンダー平等の実現に資する人材の養成を最重要課題の一つと位置づけ、グランドビジョンという形で明確に打ち出した。

2010年から2019年の第1次グランドビジョンでは、女子大学初の法学部開設や、地域と連携したリカレント教育課程などを通じて、新たな可能性を切り開いた。その点検・評価結果を基に、次なる10年に向けて策定された第2次グランドビジョンでは、以下のような5つの方針を設定している。
1.ジェンダー平等の実現に貢献できる女性を養成します。2.教育、研究の両面において、SDGsの達成に貢献します。3.多様な学生が集まり、多様な価値観の中で、生涯学び続けることのできる大学を目指します。4.世界の大学と連携して、人類に資する研究を推進します。5.時代の変化に合わせて新たな価値を創造する大学を目指します。

特に1の「ジェンダー平等の実現に貢献する女性の養成」に関しては、専門分野に加えて、理論的に考える力、自分の考えを発信する力、責任をもって行動する力など、社会で必要となる基本的な力を養うことに注力。その実現に向け、幅広い教養を学ぶリベラルアーツ科目の充実、クラブや社会連携活動など多様な活動の機会を提供している。

グランドビジョンに加えて、10年以上をかけた東山キャンパスの一大整備計画も進む。強力な換気システム、空気清浄器、サーキュレーターも完備され、withコロナ時代も安心安全かつ快適な環境で、学ぶことができそうだ。

「教育成果」分野において女子大学では全国1位を獲得

京都女子大学は日本版ランキング2021の「教育成果」分野で、女子大学中全国1位に輝いた。

「これを機に、人材養成における女子大学の社会的役割をなお一層、明確化し、未来社会に貢献していきたい。また、学生には、女性だからという理由で人生を枠にはめることなく、未来に向けた夢を大きく描いてほしい」と、竹安栄子学長は語る。

生き生きと活動し、社会貢献しようとする学生を支援するために、大学では就職や資格取得について、以前からさまざまな支援を行ってきた。「キャリア形成科目」は、1年時から履修することができる選択授業で、学生が自分の適性や可能性を探る第一歩だ。業界や企業研究を経てインターンシップへとつなぐ段階的なプログラムの中で、就きたい職業をじっくり探すことができるだろう。

就職活動や進路に関するカウンセリングコーナーには、女性のキャリアカウンセラーが常駐。全国の企業データへのアクセスも円滑で、就職支援行事は年間80回以上を数える。2021年4月には、各種資格取得に関心がある学生に向けた「資格サポートコーナー」をオープンした。社会に出て役立つ資格や、就職活動でアピールできる資格などを知るためのガイダンスや、資格試験対策講座を提供している。

そして、誰も経験したことのないコロナ禍での就職活動に対し、進路・就職課や教職支援センターが、対面に加えて電話、メール、Zoomなど、さまざまな方法で学生を支援。ウェブ面接対策セミナーや、予約制の個別相談なども行ってきた。京都女子大学の就職実績は安定的に高いが、こうした手厚い就職支援体制に支えられて、2021年の卒業生も、就職希望者の10倍という求人数を全国から得ることができた。

未来を切り拓く力を養うデータサイエンス学部を新設

社会のあらゆる場面にICTが浸透するこの時代、データやAIを使いこなし、数字の行間を読み解き、新たな価値を引き出すデータサイエンスは、未来を切り拓く武器といっても過言ではない。そのスキルは、通信・情報サービス、物流、マーケティング、メーカー、デザイン、金融・コンサルティング、マネジメント、広告、医療、福祉など、あらゆる分野で求められている。

京都女子大学でも2023年4月に、データサイエンス学部の新設を予定している。文理融合型のプログラムを通し、データサイエンスの運用という視点も含めて、広く丁寧に学べる点が特徴だ。データサイエンスの基盤として、統計学や情報学を体系的に学修する一方、経済学、経営学、心理学、社会学などを通じて、データサイエンスを応用するための広い知見、課題を発見する感性、情報収集力なども一体として伸ばしていく。行政や企業と連携したPBLにより、実社会のデータを基に現実の課題に取り組み、実践力を身につける機会も多い。

データサイエンスは、これからの社会を支える重要分野であり、データを収集・分析・活用するスキルが就職に役立つのはもちろんだが、さらに、時間と場所に拘束されない柔軟な働き方を広げることにもつながるだろう。とりわけ、結婚や出産・子育てなど、ライフイベントの影響を受けやすい女性にとっては、息の長いキャリアを支える新たな力にもなるため、新学部への期待が高まっている。

学長
竹安 栄子
竹安 栄子
たけやす・ひでこ
関西学院大学 大学院社会学研究科修了。追手門学院大学教授を経て、2000年から京都女子大学現代社会学部で教鞭を執る。2016年京都女子大学名誉教授、2017年京都女子大学特命副学長、2020年5月から現職。専門は社会学。著書に「近代化と家族・地域社会」(御茶の水書房)など。