実践事例・ピックアップ

志ある多様な学生が集いグローバルリーダーに育つ

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早稲田大学は、改革ビジョンの冒頭で「世界に貢献する高い志を持った学生」を掲げる。国籍や地域、文化的背景が異なる多様な学生がキャンパスに集い、互いに理解し合い高め合っていく環境の整備に力を注ぐ。 正課内外で豊富な教育リソースを提供することによって、学生一人ひとりの志に応えて多様な成長プロセスを支援し、次代のグローバルリーダーを育成する。

早稲田大学 副総長、理工学術院教授
橋本 周司
はしもと・しゅうじ
1970年早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。 1993年理工学部教授。理工学術院長などを歴任し、2010年から現職。

学部の授業の半数が20人以下の少人数クラス

創立150周年を迎える2032年をゴールに据えた中長期計画「Waseda Vision 150」は、多様性の確保によってグローバル化を推進するというコンセプトで貫かれている。 多様性の土台として本学が一定の規模を有しているからこそ、5000人を超える外国人学生はじめ様々なバックグラウンドの学生を包み込み、それぞれの個性や志に応える多彩な教育プログラムや支援策を提供できる。

「大規模大学といえば大教室での一方通行の講義ばかり」と思われがちだが、本学では少人数の対話型、問題発見・解決型教育への移行が進んでいる。 学部の授業の半数近い48%が20人以下の少人数クラスで開講され、50人以下のクラスは81%に上る。 例えば、レベル別にクラスを分ける「チュートリアルイングリッシュ」はネイティブスピーカーの教員1人が4人の学生を担当し、「話す」「聞く」力を身につける授業だ。2017年度からは新設された語学教室棟で展開し、そこにはTOEFLの試験を受験できる施設も併設する。

大学は現在の産業界の要請に応えて人材を育成するだけではなく、20年後、30年後を見越して教育をデザインし、時代をリードする人材育成をしていく必要がある。 予測不能な時代に向かう中、英語や数学、統計、情報など全ての学問の基礎となる「WASEDA式アカデミックリテラシー」や、 学部の専攻分野を問わず特定のテーマを追究できる全学共通副専攻、多彩なリベラルアーツ教育、そして各専門教育を通じて、自ら問題を見つけて解決策を導き出せるグローバルリーダーを社会に送り出していきたい。

新設された語学教室棟には「チュートリアルイングリッシュ」専用施設もある

国際学生寮は相互理解と学びの場

グローバルリーダーを育成するために、正課外でも豊富な教育リソースを提供している。 2014年に開設した国際学生寮「WISH」もその一つだ。日本全国、世界各地から集まった900人近い学生が共同生活を通して相互理解を深め、グローバル社会で活躍するために不可欠な能力を磨く。 単なる生活の場と位置付けるのではなく、グループワークや企業の方を講師としたセミナー等を通じて課題解決力やコミュニケーション能力を磨く「SI(Social Intelligence)プログラム」を導入し、入寮者に参加を義務づけている。

2032年には全ての学生に海外での学習を体験させるという目標の下、海外協定校の拡大を進め、語学研修や文化体験など多彩な短期留学プログラムをそろえている。 そこから長期留学へとステップアップする学生も増えつつあり、2016年度に海外での体験を積んだ学生は約4000人となっている。 1年を4つの授業期間に分け、世界中の大学のアカデミックカレンダーに柔軟に対応させるクォーター制を導入したり、 留学しても4年間で卒業できるよう留学先で修得した単位の認定を促進したりと、留学しやすい環境の整備にも力を入れている。

国際学生寮・WISHでのSIプログラムの様子

他にも、異文化交流イベントの企画・進行に関わる「ICCイベントサポーター」、企業の課題に取り組む「プロフェッショナルズ・ワークショップ」、 指導教員の専門性を生かした「早稲田ボランティアプロジェクト」など、仲間を作り、社会とつながりながら成長するための多彩な課外活動を用意。 大学がこれらを体系的にとりまとめて情報発信し、全ての学生に参加の機会を提供している。
ここに来れば必ずやりたいことが見つかり、リソースを使いこなすことによって自らを成長させられる。 早稲田大学は意欲ある者に開かれた豊かな学びのコミュニティなのだ。

地方受験生対象の予約採用型奨学金の2017年度採用候補者は 約1400人

豊富なリソースを活用して自ら成長していける多様で優秀な学生を獲得するため、入試改革、さらに奨学金をはじめとする経済支援策の充実にも力を入れている。 推薦・AO入試による募集枠はすでに全体の4割を占め、20年後にはこれを6割まで引き上げる。 2018年度入試から導入するAO型の新思考入試(地域連携型)もその一環で、学習・研究・経験を活用し、地域の発展に貢献したいという志を評価する。 入学後は地域連携プログラムや地元でのインターンシップの機会を提供し、志の実現をサポートする。 既に一部の学部において外部の英語検定試験を取り入れた入試制度を導入し、地方の高校生の受験負担を軽減するためセンター試験も積極的に活用してきた。

優秀な学生が経済的不安を抱えることなく勉学に打ち込めるよう、返済不要の学内奨学金を約100種類設けている。 一都三県以外の受験生が対象の「めざせ!都の西北奨学金」は受験前に受給資格が決まる予約採用型で、2017年度は要件を満たした受験生約1400人を採用候補者とし、4年間継続して授業料の半期分を免除する。 したがって、入学時には入学金20万円と諸経費だけを納入すればよい。
その他にも、学生参画・ジョブセンターのもと、ティーチングアシスタントや学生スタッフをはじめとする様々な学内アルバイト(スチューデントジョブ)の機会を提供するなど、生活費支援策の整備にも力を入れている。