体験プログラムを通して大学のグローバル教育を知る

 THE世界大学ランキング 日本版の国際性ランキングは、外国人学生比率、外国人教員比率がスコア化されたもので、各大学のグローバル化への対応度合いを見るのに、参考になるランキングです。
 しかし、実際に進路を決めようとする高校生が、大学での学修や研究がどのようなものか、しっかりとイメージするのは難しいことです。そこで、参考になるのが、各大学による高校生向けの体験プログラムです。
 大学での高校生向けのイベントとしては、夏期のオープンキャンパスが一般的ですが、それ以外にも様々なプログラムが設けられています。大学が行う体験プログラムは、大学の雰囲気を自分の目で確認し、自分の興味のある学びについて理解を深めることができるため、進学を希望する高校生にとって、貴重な機会と言えます。
 そこで、国際性ランキングにランクインした大学の中から、特徴的な取り組みを行う大学をピックアップして紹介します。

高校生と大学をつなぐユニークな取り組み:麗澤大学

 麗澤大学は国際性ランキング4位にランクイン。「授業公開」と「英語劇ワークショップ」が特徴的です。
 「授業公開」は、事前申し込みによって、麗澤大学での授業を聴講・見学できる制度です。外国語学部や経済学部の授業が対象で、その中には外国人教員によってすべて英語で行われる授業もあります。さらに、専門ゼミナールも見学可能となっているため、将来の研究にも目を向けた大学選びの参考になるでしょう。
 「英語劇ワークショップ」は、中学生と高校生を対象に、開催されています。ネイティブ教員が顧問を務め、練習から指導まですべてを英語で行います。参加者にとって、このワークショップはグローバル社会で必須である英語力が鍛えられるだけではなく、さらに、人前で体を動かしながら英語で話す経験によって、プレゼンテーション能力の向上も期待できます。

 麗澤大学は、大学の中でも卓越したグローバル環境を整えています。2016年度、麗澤大学から海外留学への派遣者数は257人、海外からの留学生数は408人にも上ります。その高い「国際性」を支える様々な在学生向け国際交流プログラムを行っています。
 例えば、iLounge(International Lounge)という、学内でも外国語力を磨くことができるスペースがあります。ここにはネイティブ教員が駐在しているため、気軽なおしゃべりを楽しみながら英会話力を身に付けることができます。また、留学生歓迎懇親会やもちつき大会、留学生と日本について知る「留学生バス1日旅行」など、留学生との交流の機会も豊富です。

大学で文化の世界一周体験:京都外国語大学

 国際性ランキング20位にランクインしている京都外国語大学では、「ナショナル・ウィーク」というイベントが学科ごとに行われ、一部が一般公開されています。「ナショナル・ウィーク」では、それぞれの外国語を学ぶ各学科の学生と、教員や留学生が一体となり、その言語圏の文化や芸術を紹介します。期間中は、キャンパスがその言語圏の文化のカラー一色に染まり、参加者たちは、その言語圏の文化や芸術を楽しみながら体験できます。
 例えば、「ブラジルポルトガルウィーク」では、サンバショーやカポエイラ実演が催され、ブラジル北東部地方の民俗芸能である「マラカトゥ」のワークショップ、翻訳体験を語る講演会などを通じ、参加者は様々な角度から文化に触れることができます。また、「フランスウィーク」では、フランス語圏留学生との交流会や、フランスのゲーム体験、フランス語の弁論大会など、フランス語学科の志望者に最適な体験プログラムとなっています。

 京都外国語大学には、在学生に向けても、多様な国際交流プログラムがあります。長期・短期の留学サポートはもちろんですが、学内での学修やイベントも国際色豊かです。
 例えば、特徴的なものに「エアラインスタディプログラム」があります。すべての講習・演習や指導を英語で行うため、実務に役立つ英語を身に付けることができます。これは、客室乗務員やグランドスタッフになるための本格的な講習・訓練プログラムで、航空会社等との連携により、実際に訓練を行う空港・研修施設で、本格的な講習や訓練を行います。
 なお、学内で留学生や外国人教員と交流する機会も多く設けられ、ホストファミリー制度や京都文化を体験する授業があるほか、外国語自律学習支援室NINJAでは、ネイティブ教員によるマンツーマンセッションや、留学生とのランチ会、ハロウィンやクリスマスのイベントを行っています。

英語漬けのキャンプ:西南学院大学

 国際性ランキング69位にランクインした西南学院大学には、「Seinan English Camp」というプログラムがあります。このプログラムは、高校1・2年生で、30人を公募で集めます。費用は宿泊費も含めて無料。2016年度にスタートし、年1回開催されています。
 このプログラムでは、海外の大学から西南学院大学に留学している留学生10人と高校生が、英語漬けで2日間、生活をともにします。期間内、参加者はグループに分かれ、テーマに関するリサーチやディスカッション、プレゼンテーションまでをすべて英語で行います。参加者は、英語で学び、考えることによって、将来、世界で活躍するための様々な能力を育成することができます。また、留学生と寝食をともにするため、高校生活ではなかなか経験することのできない国際交流を行うことができます。
 
 このほか、西南学院大学では、在学生に向けた国際的なプログラムも数多く設けています。
 例えば、日本人学生の支援として、留学や修学資格取得に向けた語学の授業を行っているほか、語学検定の費用補助など、きめ細かいサポート制度が整っています。
 また、国際交流プログラムも充実しており、留学生とのイベントの開催や、ホームステイの受け入れ募集、日本語学習チューター制度、留学生サポーター制度、留学生と共同生活が送れる寮の学生アドバイザー制度など、留学生と学修、生活どちらの面でも交流を深めることができる機会が設置されています。

 実際に、大学での学びを体験することは、高校生に、文章や写真の資料で知るよりも多くの気づきを与えます。ランキングを見て気になる大学があれば、体験できるプログラムを探し、参加してみるといいでしょう。