Q1「THE」って何の略称?読み方は?

「Times Higher Education」の略称です。ついつい「ザ」と読みたくなってしまいますが、ここでは「ティー・エイチ・イー」とお読みください。「Times Higher Education」は、イギリスの新聞「The Times」から派生した高等教育専門の週刊誌で、さまざまな大学ランキングを発表することで知られています。中でも毎年9月に発表される「THE世界大学ランキング」は、世界で最も利用されている大学ランキングであると言われています。

Q2「THE世界大学ランキング」と「THE世界大学ランキング 日本版」の違いは?

「THE世界大学ランキング」は、79か国/地域の大学を、研究力、教育力、国際性などの面から評価したランキング。2004年に始まり、特に大学院における研究力が重視されています。一方、「THE世界大学ランキング 日本版」は、国内の大学を教育力と国際性を中心に評価したランキングで、2017年に初めて発表されました。特に学部における教育力が重視されているため、高校生の大学選びに役立つと考えられます。

Q3ランキング指標の「分野」とは?

THEは各大学を評価する際、いくつかの分野ごとにスコアをつけ、その合計スコアでランクを決めています。この分野のことを「pillar(ピラー)」と呼んでいます。ピラーの種類や、各ピラーが合計スコアに占める割合は、ランキングによって異なります。「THE世界大学ランキング 日本版」の場合、「教育リソース(38%)」「教育満足度(26%)」「教育成果(20%)」「国際性(16%)」の4つのピラーの合計スコアでランクが決まります。

Q4ランキング指標の「項目」とは?

ピラーは「metrics(メトリクス)」と呼ばれる、さらに細かい項目によって構成されています。メトリクスもピラーと同じく、ランキングによって種類や合計スコアに占める割合が異なります。例えば「THE世界大学ランキング」にも「THE世界大学ランキング 日本版」にも「国際性」というピラーがありますが、それぞれを構成するメトリクスは異なるため、単純にスコアを比較することはできません。

Q5大学ランキングは何に活用されていますか?

高校生が進学先を選ぶ、大学生が留学先を探す、研究者が移籍先を検討する、国が自国の大学を評価するといった、大学同士を比べるときのモノサシの一つとして使われることが想定されます。THEに限らずランキングにはそれぞれ特徴があるので、大学のどの部分を評価しているのかを理解して使うことが大切。日本で大学を比べる際は入試難易度(偏差値)が使われますが、「THE世界大学ランキング 日本版」であれば、教育力の高さを調べられるわけです。

Q6【THE世界大学ランキング 日本版】「教育リソース」はどのような項目から構成されていますか?

「学生一人あたりの資金(10%)」「学生一人あたりの教員数(8%)」「教員一人あたりの論文数・被引用回数(7%)」「大学合格者の学力(6%)」「教員一人あたりの競争的資金獲得数(7%)」で構成されています。資金や教員数が多いほど手厚い教育が行われ、論文数や資金獲得数が多いほど優秀な教員が揃っていると考えられます。また、合格者の学力が高ければ、学びの環境もその分ハイレベルになることが想定されます。

Q7【THE世界大学ランキング 日本版】「教育満足度」はどのような項目から構成されていますか?

教育満足度は、全国の高校の進路指導教員を対象にしたアンケートの結果を基に、教育に対する期待の実現度を示した分野です。アンケートは「グローバル人材育成の重視(13%)」「入学後の能力伸長(13%)」について、それぞれ評価する大学を挙げてもらう形式。進路指導教員は、大学の教職員や大学に送り出した卒業生から情報を得る機会が多く、さまざまな大学の教育を知る立場であるため調査対象に選ばれています。

Q8【THE世界大学ランキング 日本版】「教育成果」はどのような項目から構成されていますか?

2つのアンケート調査を基にスコアが算出されています。「企業人事の評判調査(7%)」は、上場企業の人事担当者に、自社で新卒を採用した実績がある大学のイメージを12項目にわたって尋ねています。卒業生が企業で活躍している度合いが反映されると言えます。「研究者の評判調査(13%)」は、国内の大学研究者に「世界で素晴らしい教育をしていると思う大学」を挙げてもらったものです。大学の実情をよく知る研究者視点での評価となっています。

Q9【THE世界大学ランキング 日本版】「国際性」はどのような項目から構成されていますか?

「外国人学生比率(8%)」「外国人教員比率(8%)」から構成されています。外国人の学生や教員が多ければ、それだけ国際的な学びの環境が整っているという考えに基づいています。大学全体での集計結果を基にしたスコアであるため、この分野を大学選びの参考にする際は、志望する学部の状況を調べることが大切です。どの国・地域から来ているか、実際に触れ合えるのかどうかなども確かめるとよいでしょう。

Q10【THE世界大学ランキング 日本版】ランクイン大学は全部で何大学ありますか?

総合ランキングが150位まで発表されています。日本の大学の数は777校(平成28年度学校基本調査)なので、ランクイン大学は、教育力において上位5分の1に入っていると言えます。また、分野別のランキングも各分野150位まで発表されています。分野別ランキングには総合ランキングで151位以下の大学も含まれていて、これらも含めると292校がいずれかのランキングにランクインしています。

Q11【THE世界大学ランキング 日本版】ランクイン大学は国公立と私立、どちらが多いですか?

総合ランキングを見ると、ランクインしているのは国公立大が86校、私立大が64校。日本の大学777校の内訳は国公立大が177校、私立大が600校なので、国公立大は約半数がランクインしていることになります。各大学の努力に加え、国からの補助が私立大より厚いことも影響していると言えるでしょう。ただし、分野別のランキングを見ると、「教育満足度」や「国際性」は相対的に私立大のランクイン数が多く、一概に「国立大の方が教育力が高い」とは言えません。

Q12次のランキングはいつ発表されますか?

「THE世界大学ランキング」は2017年9月、「THE世界大学ランキング 日本版」は2018年3月の発表が予定されています。THEでは現在、日本版の「教育満足度」に大学生対象のアンケート調査を加えるなど、指標の充実を検討しているため、より時代に即したランキングになることが期待されます。

※この記事は、Between情報サイトより引用しています。