ランキングがもたらす国際的な質保証の波
教育の質保証という面で、日本の大学はガラパゴス化しています。世界に向けて教育の質を情報発信する、今回の日本版のようなランキングは、いわば「黒船」。どれだけ早く開国し、海外と対等に渡り合えるようになるかが、今、まさに問われています。その意味では、表面上のスコアを指標とするだけでなく、質を問うことが重要になります。
本学の学生の約半数は留学生で90の国・地域から国籍に偏りなく集まっています。教員の約半数も外国籍です。質量ともに多様性のある環境が「国際性」で1位という結果につながりましたが、この環境を学びに還元できなければ看板倒れです。そこで、日本人と留学生が学び合う「多文化協働学習」を授業で100%実施することに取り組んでいます。また、米国ミネソタ大学と連携し、教員向けに文化が異なる学生集団への効果的なアクティブ・ラーニングの指導法を研修しています。
教室外の活動を中心とした非認知能力の育成も、本学ならではの教育です。APハウス(国際教育学生寮)での共同生活や、入学して 2か月後に1年生約160名が韓国でフィールドワークを行う「FIRSTプログラム」、各国の学生が他国の学生と共に、自国の文化を披露するイベント「マルチカルチュラル・ウィーク」など、多国籍な学生が混ざり、主体的、協働的に活動する機会を数多く設けています。
これらは教育理論に基づいて実施し、ルーブリック(指標)を用いて評価し、教育効果を測定することで学びの質を確認しています。それをまた教授法に還元させ、教育の質向上につなげています。
国内の順位に満足せずあくまで視野は世界に
国際競争力を高めるためには、世界の大学の水準を見据えて、教育の質保証に取り組み、その成果を世界に向けて情報発信することが重要です。したがって世界に向けて発表された日本の大学ランキングを活用することや、国際認証の取得に取り組むことは、本学にとって必然的なことなのです。
国際経営学部と経営管理研究科は2016年、世界トップクラスのビジネススクールであることを示す*AACSBを取得しました。AACSBの取得は日本では3校目ですが、中国、台湾は20校以上、韓国も10校以上が取得しており、アジアの中でさえ先進校ではありません。
自学の強み・弱みを分析し、改善に取り組み、より力をつけていくために、今回のランキングを活用していきます。そのためにも、THEには指標の改良に取り組み、ランキングの信頼性を高めてもらいたいと思います。
*The Association to Advance Collegiate Schools of Business: ビジネススクールの教育の質を保証する国際認証制度。