個々の学生を多面的に支える自立学習支援センター「SALC」
「大学とは、人生を豊かに、そして面白く生きていくための鍛錬の場。自立的な学習者として、知的探究心に遊び、社会や人間の多様性と戯れ、刺激や新たな発想を得る醍醐味を知ってほしい」。三菱商事副社長から神田外語大学に転身した宮内孝久学長は、自身の教育哲学をそう語る。
「教育充実度」「国際性」で高スコアを得た神田外語大学は、学生が自ら学ぶ「自立学習」に力を入れてきた。自立学習とは、「なぜ?」「どうして?」を大切に、教員からの支援や学生同士の協働学習を通して、自分の学びを客観的に評価し、強い意思で計画的に学習を進めることを指す。生涯にわたって学び続ける「自立的な学習者」を育てようと、大学ではさまざまな仕組みを用意している。その筆頭が、Self-Access Learning Center(SALC:サルク)と呼ばれる自立学習支援センターだ。
図書館さながらに広々としたこの学習施設は、自立学習用教材の宝庫だ。SALCには、学生をサポートするための専門知識をもつ「ラーニングアドバイザー」が常駐。SALC専属の教員として、学生一人ひとりが掲げる学習目標に向かって意欲的に取り組んでいけるよう支えている。館内には英会話の練習スペースやプレゼンテーション用ステージ、PCエリアなども完備。また、English Language Institute(ELI:イー・エル・アイ)に所属する教員から、スピーキング、ライティング、プレゼンテーションなどの指導を受けることも可能だ。
「何事にも能動的に関心を寄せ、必要な知識も、助言すらも、自分から進んで求めていく。社会に出る前にそうした自主性が身につくよう、学生の背中を上手に押してあげるのが、我々のミッションです」と宮内学長は言う。
「ASC」のピアチューターが語学習得をバックアップ
一方、Academic Success Center(ASC:アスク)では、外語大における学びの基礎、つまり英語力と日本語力の向上に向けて、各種プログラムを提供している。
例えば、日本語の文章力を鍛えるワークショップや、教員とマンツーマンのライティングセッション。あるいは、英語学習に関する相談デスク、そして語学学習に関するセミナーなどだ。その一つひとつが、学びを成功に導く“システム”として機能している。
特に注目されるのが、ピアチューターの存在。TOEFLやTOEICの高得点取得者で、所定の研修を受けた学生が1・2年生の学習をサポートする。間違えやすいところや押さえるべきポイントについて同じ学生目線で伝えるため、勉強になるうえ、先輩の学習方法も参考にできるという仕組みだ。
SALCやASCを通じて、主体的に学ぶ面白さに目覚めた学生は、大きく力を伸ばしていく。多くの学生が在学中に留学を経験するが、「神田外語大学の学生は日本人には珍しく、万事、積極的で発言も活発」と、留学先の大学からの評価も高い。
リベラルアーツに新風! 2021年度新学部設置構想中
2021年4月、神田外語大学は「グローバル・リベラルアーツ学部(仮称)※」の開設を検討している。新学部ではリベラルアーツ教育を通して、豊かな教養と高度な語学力で世界の困難な課題に立ち向かい、平和と繁栄の招来に主体的に貢献できるグローバル人材の育成に取り組んでいく。まさに、建学の理念「言葉は世界をつなぐ平和の礎」の具現化へのさらなる挑戦だ。
教養分野に関しては、Humanities、Societies、Global Studiesの領域における国際教養科目を学習。語学は英語+1言語を必修とする予定だ。
新学部の目玉というべき特色は、入学直後に6カ月間の「グローバル・チャレンジ・ターム(仮称※)」を設けていることだ。本格的な学部教育が始まる前の、いわば準備期間中に全員必修の「海外スタディーツアー」を行う。期間は4週間程度。「多様性(多民族・多宗教・多言語)」「宗教と平和」「難民問題」などをテーマに学ぶ。早い時期に、グローバル化する社会が抱える課題に目を向け、今後の学修の動機づけにつなげることが目的だ。
同学部では長期海外留学も奨励する予定だ。すべての学生が在学中に2回、海外を体験することになる。
国際性と実践を大切にした、神田外語大学独自のリベラルアーツ教育。その成果を楽しみにしたい。
※2021年度開設に向けて設置構想中