3年連続ランクアップを実現した「学生第一」のモットー
秋田大学は、国際資源、教育文化、医、理工の4つの学部と大学院研究科のほか、附属病院や多くのセンターを備える総合大学だ。大学の基本的な目標として「学修者中心の大学たること」を目指し、「学生第一」のスローガンの下、学生の声を傾聴した大学運営を行っている。その成果は日本版ランキングの結果にも表れ、総合順位では3年連続ランクアップ。特に学生調査における「授業・指導の充実度」や「大学の推奨度」などの数値を伸ばしている。
2020年に3年目を迎えた「学長カフェ」は「学生第一」を象徴する取り組みだ。山本文雄学長が、学長室に毎回6名程度の学生を招き、1時間以上かけてじっくりと対話する。入室直後は緊張の面持ちの学生たちも、時間の経過とともに少しずつ本音を語り始めるそうだ。そして、ここで聞かれた意見や要望には、できる限り迅速に対応。教育面のみならず、「駐輪スペースを増設してほしい」「昼食時の混雑が激しいので解消してほしい」といった生活環境面の声も親身に受け入れ、改善している。
また、夜間・休日でも気兼ねなく相談ができる24時間対応の「秋田大学学生相談ダイヤル」を開設し、その対応を役員や部局長で構成する全学会議で共有している。
「学生第一」の姿勢が大学全体に定着していることは、新型コロナウィルス感染症への対応でも証明された。修学環境の整備や経済支援はもちろん、学生の精神的ケアにも配慮し、教員から学生に生活状態調査を実施。電話やメールでの遠隔面談を通して、きめ細かく日常生活のアドバイスを行っている。
「次代を担う学生たちを大事に育てることによって、地域に貢献し、世界に通用する大学となることを目指しています。学生がどれだけ成長できるか、卒業時に胸をはって社会に踏み出せるかという観点から、教職員が一丸となって学生を支援します」と山本学長は力強く語る。
先進的な教育研究と学びを後押しする成長支援
秋田大学が日本版ランキングの「教育成果」で高いランクを維持する背景には4つの学部がそれぞれに取り組む先進的な教育研究がある。
例えば理工学部では、2020年に秋田県の産学官連携で、主に航空機の電動化実現を目指した新世代モーターの開発を行う「小型軽量電動化システム」の共同研究を開始。学内に秋田大学電動化システム共同研究センターを設置し、秋田県立大学との大学院共同サスティナブル工学専攻(仮称)を置いて、専門人材の育成を図る。また、医学部では、認知症と地域社会学の知見を踏まえた高齢者医療の先端的研究を推進。2017年に設置した高齢者医療先端研究センターを拠点に、健康・長寿の教育研究を進めている。
こうした各学部の先進的な学びを支えるのが、大学全体で展開する成長支援の取り組みだ。
英語教育の底上げのために実施する「イングリッシュマラソン」は、夏季休業期間中の短期留学を含めた1年間の特別プログラムだ。TOEIC対策講座の受講や、語学自習室「The ALL Rooms」での週3回以上のトレーニングなどが課され、参加者の多くが英語力を飛躍的に伸ばす。「The ALL Rooms」には、英語が堪能な学生スタッフが常在し、「学生による学生のための自律学習」をテーマに、英語に関わるさまざまな活動を支援する。英語のみの空間で、学内にいながら留学の疑似体験ができるのが特徴だ。
そのほか、先輩学生が1年次の学習上のサポートを行う「学習ピアサポート・システム」や、授業や高校までの学習内容で理解が不十分な箇所の復習等に教員や先輩が直接対応する「質問教室」によって、学習支援を充実させ、一人ひとりの学びを後押ししている。
社会の発展に寄与する地(知)の拠点を目指して
2019年、秋田大学は創立70周年の節目を迎えた。これを契機に、さらなるステイタスアップを目指した取り組みを始めた。Society5.0(超スマート社会)時代の到来、第5・第6世代移動通信システムの普及を見越し、教育研究体制改革を行っている。2020年度からは『AI・数理データサイエンス教育』の教養基礎教育科目を全学で展開。新時代で活躍できる人材を育成できるよう、数理データサイエンス教育の充実を図っている。また、各学部でSDGsの目標に照らしながら、秋田をはじめ世界の諸問題を解決する研究や取り組みを進めるとともに、産業の創出や振興、活性化など、地域に貢献する研究事業を展開している。
山本学長は、秋田大学を「社会の発展に寄与する地(知)の拠点」にすることを目指している。持続可能な社会の構築に寄与する新たな価値を創造し続けるとともに、グローバルな環境下でイノベーティブな人材を育成する。
「ポストコロナ時代、変化への対応を余儀なくされる学生たちが、自信を持って羽ばたいていくために、より一層の学力を身に付けさせる必要があります。これまで以上に『学生第一』に注力し、知的好奇心を育んでいけるよう努力します」。
ステイタスアップに裏付けられた、より魅力ある大学へと秋田大学は進化を続けていく。