最先端の学問でSDGsやSociety5.0の貢献に挑戦
工学院大学は1887年に日本で最初の工科系大学として創立した大学である。開学以来、建学の精神「社会・産業と最先端の学問を幅広くつなぐ『工』の精神」のもと、進歩し続ける科学技術や社会の変化に柔軟に対応できるように、基礎を確実に修得したうえで専門分野の知識や応用力を磨き、それを社会で活かす実践的教育を重視し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成やSociety5.0の実現に向けた教育研究を進めている。
教育・研究施設の充実に力を入れており、2016年に竣工した八王子キャンパス4号館の化学実験室は高校生以下を対象とした「化学グランプリ」の会場としても利用された。新宿キャンパスでは2020年夏に1階アトリウムがリニューアルされた。日本初となる常設キネティック・ウォール(可動式の壁)が立体的に動き、最新のプロジェクションマッピング装置や立体音響システムも設置され、映像・音響・照明を用いたさまざまなクリエイティブ表現を行うことが可能となった。
地域と密着したプロジェクトも積極的に展開している。キャンパスのある東京都八王子市、新宿区と包括連携を結び、相互の協力のもと、さまざまな取り組みを行っている。八王子キャンパスでは、産学共同研究センターの一部と建物使用貸借契約を締結し、研究開発のための入居施設「八王子市新産業創出センター」として提供を開始。八王子商工会議所を含めて連携をより強化した。新宿キャンパスでは、昔からある商店街に新しい魅力を付加して再構築するなど、まちづくりの領域で学生たちが貢献しているほか、区が掲げる「新宿ならでは防災」と連携し、「逃げる必要のない建築・まち」の実現を目指したさまざまな取り組みを行っている。これは、SDGsが目指す未来の実現に研究力で貢献しようという大学の方針が、良く表れた取り組みでもある。
多様性が広がる社会で生き抜く力を持った人間力を
工学院大学では、創立150周年を迎える2037年に向け、「VISION150」を定めている。その中では、建学の精神のさらなる発信とグローバル展開などを強調している。海外の大学・研究室との交流、留学生の受け入れ、学生の留学や国際交流などを通じて、国際的にも開かれた人材育成と研究拠点になることを目指す。
「ハイブリッド留学®」は、ホームステイ生活で英語力を高めながら、工学院大学の教員が現地協定校で行う授業を受けられるプログラムだ。また、本格的に留学したい大学院生向けの「ディプロマット留学」を2020年から試行。留学制度を充実させ、グローバルな視点で革新的な技術・価値を生み出す人材育成を図る。
2019年には「共生工学(ジェロンテクノロジー)研究センター」を設立。世界に先立って少子高齢化という社会課題に直面する日本で、世代や国境を超えた多様な人々が共に暮らせる社会の実現を、科学技術の側面から研究・教育する。
さらに、2020年から先進工学部で「大学院接続型6年一貫コース」がスタートした。学部と大学院を一体的に捉え、専門分野(メジャー)に加えて副専攻分野(マイナー)を学修する研究者・開発者育成プログラムだ。大学3年次から研究室に配属され、研究活動を4年間行うことができ、より高度な研究課題にじっくり取り組むことができる。これにより、企業等の研究開発に求められる研究実践力をしっかりと身に付けられる。また、教育年限が柔軟になることにより、学生がインターンシップや留学などに参加しやすくなり、多様性に触れる機会が増える。そのような経験が広い視野や複眼的な思考を養い、多様性が広がる社会で生き抜くための人間力を育んでいく。
個性を伸ばし、好奇心を育む……そして「カタチ」へ
工学院大学では、学生の好奇心を大切にする多彩なプログラムを揃えている。
その一つに、学生グループによる理工学に関する創造活動を行う「学生プロジェクト」がある。学部・学科・専攻を超えて学生が集い、大学から施設・設備の提供や活動費の補助を受けて活動する。
「工学院大学ソーラーチーム」は、大学の姿勢を象徴するプロジェクトだ。“50年後の未来を考えた地球の持続的利用”を理念に掲げ、学内のものづくり施設を活用し、学生自ら設計・製作を行い、新車両の開発に挑戦。約50のサポート企業から最先端素材・技術支援を受けるほか、「総合研究所ソーラービークル研究センター」の教員陣もアドバイザーとなり、学部・学科・専攻の枠を越えた技術支援を展開している。2019年に参戦した世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」では、クリーンエネルギーを動力源にオーストラリア大陸約3,000kmを走破し、チャレンジャークラスで5位入賞、日本チーム初の技術賞に輝いた。
工学院大学は、理念として掲げる「無限の可能性が開花する学園」で今後もあり続けるために、多様な個性を活かし、さらなる教育・研究活動の充実に邁進する。工学の分野から未来社会を考え、学生が持つ興味・好奇心を「カタチ」にしていく。