高校生たちは大学の実情を知りたい

 関東学院六浦高等学校では、ほとんどの生徒が4年制大学へ進学しています。中には、海外大学へ進学する生徒もいて、進学先は多様です。それに伴い、進路指導に求められる内容も、年々変化していると感じています。
 大学のランク付けをする上で、広く周知されている偏差値は、入学前の学力を基準にしているため、大学で学びたいことや、生徒と大学の相性まではわかりません。さらに、受験時の学力と大学卒業時の学力や就職力には、大学によって差があるのではないでしょうか。しかし、それらを客観的に測れる指標は、これまでありませんでした。
 本校では多くの生徒や保護者が、中学校入学時から大学進学を見据えています。しかし、偏差値以外の判断基準を知らず、大学の実態を知らないまま、ただ大学進学を思い描いているだけという生徒も少なくありません。
 このような状況の中で、1つの大きな情報源になりそうなのが、教育力を指標に取り入れた「日本版ランキング」だと考えています。
 今後の進路指導では、大学入学後の成長や、大学でどんなことを学べるかなどの情報が今以上に求められていきます。現在は、「大学でどういうことを学びたいか」、そしてそれを生かして「どんな社会人になっていきたいか」を生徒たちに考えさせていますが、今後はそれと同時に、「日本版ランキング」を見ながら、「入学後にどのように成長できるのか」「大学にはどういう環境が整っているのか」などを生徒たちに探らせてみるのも面白いと思います。

参考データから大学の個性を知る

 もともと本校は、日本工学協会(JEAT)が認定する学校情報化優良校で、積極的にICTを活用した教育を進めてきましたが、4月以降、高校1年生全員がノートパソコンを持ち、多くの授業で活用していきます。進路学習においても、それぞれの生徒が「日本版ランキング」のサイトを見ながら大学研究を進めていく活動を始めたいと考えています。
 具体的には、ただランキングを見るのではなく、国際性のスコアが高い大学について、「どうして国際性が高いのか」「外国人留学生を受け入れるためにどのような取り組みをしているのか」など、スコアの背景にあるものを生徒たちに探らせようと考えています。
 「日本版ランキング」の中で、特に、私が興味を持ったのは、大学個別のプロフィールページに記載されている参考データです。生徒たちが知りたい情報が詰まっていると同時に、各大学の個性が出ていると感じました。
 各大学の参考データを細かく見ながら、大学同士を比較し、大学の特徴を生徒と教員が一緒に考えると、今まで気付かなかった大学の側面も発見できるのではないでしょうか。
 「日本版ランキング」を活用した進路学習で、生徒たちの“データリテラシー”を養えれば、大学研究以外のみならず社会で役立つ力が身に付くのではないでしょうか。そして、「日本版ランキング」をきっかけに、生徒たちが自発的に調べたり、大学の情報を集めに大学を訪問したりすることを期待しています。

私立関東学院六浦中学校・高等学校 進路指導部長
峰 康治
峰 康治
みね・こうじ
教職歴30年。自分を成長させる環境を、生徒一人ひとりが選択するための進学指導に尽力。さらに、専門教科の国語では、言語技術指導としての国語科教育に力を入れ、教鞭をとっている。