<教育成果>のスコア差に要注目
<教育成果>のスコア分布を見ると、「高スコアの大学は一握り」「スコア50台に大学が集中している」「上位と下位のスコアの差が大きい」という特徴があります。国公私を全て含めた分野別ランキングでは、1位と20位には約33ポイントのスコア差、101位と150位には約24ポイントのスコア差がありますが、21位と100位のスコア差は約12ポイントしかありません。順位の差とスコアの差が直結しないため、<教育成果>について大学間比較を行う際は、特にスコアに注目した方が良さそうです。
スコア50~60台には特色ある私立大がランクイン
評価項目として「研究者の評判調査」に比重が置かれていることもあり、一般的に研究重視とされる国立大に高スコアの大学が多く、スコア70以上の14校のうち12校が国立大です。
私立大のみのランキングではTOP2の慶應義塾大学、早稲田大学のスコアが3位以下を大きく引き離しています。
一方で、特色ある教育を行っている中規模以下の大学もランクインしている点は注目したいところです。例えば6位の金沢工業大学は、全学生が4年間かけて問題発見・解決の手法を学び実践する「プロジェクトデザイン教育」をはじめ、課題解決型教育に定評があります。
規模・歴史、研究力、就職力などがスコアに影響
高スコアの大学に見られる傾向としては、「理工系の研究力が強みで、研究者からの評判が高い」(旧帝大や東京理科大学など)、「大規模大学で歴史が長く、多くの卒業生が社会で活躍中」(慶應義塾大学、早稲田大学、立命館大学など)、「文理問わず実学系の学部を持ち、就職に強いと認知されている」(大阪府立大学など)といった特徴に分類できます。
総合ランキングが高くないにもかかわらずランクインしている大学には、どこかしら光る部分があると考えられます。例えば、東京電機大学の総合ランキングは121~130位ですが、<教育成果>の私立大ランキングは青山学院大学(20位)や学習院大学(=22位)を上回る、18位です。1年次から行われる就職支援プログラムや、約250の企業から集まる卒業生と面談ができる「卒業生による仕事研究セミナー」などを例に、同大学はホームページで就職への強さをうたっています。
<教育成果>は、評価項目がシンプルながら、様々な観点を含んだスコアになっています。大学選びに活用する際は、その大学のどんな特色が高スコアに結びついているのかを確認するとよいでしょう。