英語4技能とは何か?求められる理由は?
英語4技能とは、英語の「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」という4つのスキルを表しています。TOEFL、IELTS、英検など、一般的な外部英語検定試験は、英語4技能の測定を目的としています。また、教育現場でも、英語4技能の育成が、重要視されています。
では、なぜ英語4技能が求められるのでしょうか。まずは「国内外でのグローバル化に備えるため」という理由が挙げられます。昨今、街を歩いているだけでも、多くの外国人を見かけるようになりました。例えば、2017年10月の訪日外国人は259万5千人で、前年同月と比べて21.5%も増加しています。このように、国内にいるだけでも、訪日外国人とコミュニケーションを取るために、英語4技能は必要不可欠です。
加えて、2020年に予定されている東京オリンピック・パラリンピックの影響があります。多数の外国人の訪日が見込まれ、国内における英語対応を充実させようという意識に、より拍車をかけています。文部科学省は、2020年を「ターゲットイヤー」と定め、これまで以上にコミュニケーションを重視した英語教育にシフトしました。この影響を受け、現在、高校外国語の必履修科目として「コミュニケーション英語」が設けられています。
また、こうしたコミュニケーション重視の方針は、大学入試にも影響を与えています。2020年度よりセンター試験にかわって導入される「大学入学共通テスト」にて、英語試験と併存して外部英語検定試験の活用が始まります。さらに、2024年度以降は、外部英語検定試験に一本化される見通しです。
大学入試にも利用されている英語4技能を測定できる外部検定試験
2020年度より、大学入試改革の一環として、「大学入学共通テスト」が導入されます。そして、英語4技能を測るために、外部英語検定試験が大学入試で利用されるようになります。文部科学省の資料では、英語4技能を測る主な外部英語検定試験としていくつかの試験が示されています。また、各検定と「ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages:以下、CEFR)」との対照表も示されています。
語学力の指標となるCEFRとは?
「CEFR(セファール)」は、主に欧米において普及している外国語のコミュニケーション能力を測る指標です。基礎段階のA1から、最高レベルのC2まで、6つのレベルが設けられています。日本で一般的な実用英語技能検定やTOEICなども、ランクやポイントに応じて対応するCEFRのレベルが決められています。
上述した大学入試での検定試験の活用では、異なる試験の結果を共通の基準で見るために、成績表示にCEFRが用いられる予定です。入試で利用できる検定を限定すると、受験スケジュールや受験会場の違いにより、地方によって生徒の受験機会に差が生じてしまいます。また、検定を限定することによる受験生のとりこぼしは、大学にとっても好ましい事態ではありません。複数の民間検定を評価基準として採用し、かつ、各検定のスコアを共通の基準で見るために用いられるのが、CEFRという指標なのです。
それでは、実際に英語4技能の測定ができる外部英語検定試験を3つご紹介します。
継続的に英語力の伸びを測定できるGTEC
GTECは、ベネッセコーポレーションとベルリッツから提供されている、スコア型の英語技能検定です。英語4技能を測定できる試験として、コンピューターベースの「GTEC CBT」が展開されています。試験は、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングで構成され、満点は1400です。CEFRでは、509までが A1、1370から満点の1400までがC1として判定されます。
アジア圏で普及しているTOEIC
TOEICは、主にアジア圏で普及しているスコア型の英語検定です。マークシート型の一般テストで測定できるのは、リスニングとリーディングのスキルのみ。英語4技能を正確に測定するためには、「TOEIC S&W」を別途受験する必要があります。CEFRでは一般テストとS&Wの合計が200以上でA1、1305以上でC1と判定されます。
国を超えて移住する基準にも使われているIELTS
IELTSは、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationが運営する英語検定です。オーストラリア、ニュージーランド、カナダへ移民する必要条件のひとつとしても採用されています。CEFR上では2.0でA1、8.5以上でC2として判定されます。
紹介した外部英語検定試験以外にも、実用英語技能検定、TOEFL、TEAPなど、英語4技能が測定できる試験はあります。大学によって、外部英語検定試験をどのように位置づけているかが異なりますので、各大学や外部英語検定試験の公式ホームページよりご確認ください。また、一部検定とCEFRの対照表は以下の通りです。
英語4技能を大学入試に取り入れている事例
すでに、英語4技能が測れる外部英語検定試験の結果を、入試に取り入れている大学もあります。大学の外部英語検定試験の活用方法は、以下の5パターンがあります。
①基準スコアを満たす者のみが出願できる”出願資格としての活用”
②合否判定時にスコアを使用する”書類審査としての活用”
③スコアがそのまま得点として使用される”試験の代替としての活用”
④スコアに応じてみなし得点が設定されており、入試での点数と比較して、高いほうを選択する”みなし得点としての活用”
⑤スコアに応じて現状の得点に追加で点数が入る”加点としての活用”
その中でも今回は、THE世界大学ランキング 日本版で上位にランクインした大学で、外部英語検定試験を”①出願資格”や”④みなし得点”として取り入れている2つの大学をご紹介します。
外部英語検定試験を出願資格として導入する首都大学東京
2018年度入試において、THE世界大学ランキング 日本版において総合24位を獲得した首都大学東京は、国際社会で活躍する意欲のある学生を受け入れるために、グローバル人材育成入試のAO入試で外部英語検定試験を出願資格として活用しています。以下のいずれかのスコア・等級を獲得している学生のみが出願できます。
□TOEFL iBT:64 以上
□TOEFL PBT:510 以上
□IELTS:5.5 以上
□実用英語技能検定(英検):準一級以上
□GTEC:700 以上
□GTEC CBT:1040 以上
※IELTS は、アカデミック・モジュールによるスコアに限る。
※GTECは、オフィシャルスコアに限る。
外部英語検定試験をみなし得点として活用する広島大学
2019年度入試より、THE世界大学ランキング 日本版において総合12位を獲得した広島大学は、英語を習得する意欲のある学生を受け入れるために、外部英語検定試験でCEFRのB2以上に相当するスコアを獲得している場合、AO入試と一般入試の双方において英語を満点扱いとすることを発表しました。満点扱いとなるのは、以下のようなスコア・等級です。
□Cambridge English:FCE(160~179)以上
□英検(実用英語技能検定):準1級以上
□GTEC CBT:1250以上
□IELTS(Academic Module):5.5以上
□TEAP:334以上
□TOEFL iBT:72以上
□TOEFL Junior Comprehensive:341以上
□TOEIC L&R TOEIC S&W:1095以上(L&R 785以上、S&W310以上)
従来は、英語の2技能だけが求められていましたが、これからの大学入試では英語4技能が必要となってきます。
英語4技能を測る外部英語検定試験を入試に利用できる大学は、上記以外にも数多くあります。ランキングで気になる大学があれば、その大学の外部試験の取り組みを調べてみてはいかがでしょうか。