指標の比重を「教育リソース」から「国際性」に4ポイント移動

 「THE世界大学ランキング日本版」はTHEがスコア化し、ベネッセグループはそのサポート役を務めています。「THE世界大学ランキング」が大学院の研究力に比重を置いたランキング指標を採用しているのに対し、日本版は学部の教育力を重視。偏差値以外の指標で大学をランキングすることによって高校生に大学選びの新たな基準を提供し、大学に対する社会の価値基準を変えるねらいがあります。日本への留学希望者に対して日本の大学の魅力をわかりやすく伝えることもこのランキングの目的の一つです。
 資金力や学生一人あたりの教員数などの「教育リソース」、高校教員の評判調査に基づく「教育充実度」、企業や研究者の評判調査に基づく「教育成果」、学生数や教員数に占める外国人の比率などを見る「国際性」の4分野について、公表されているデータや大学入力データ、各種調査等を基にスコア化され、150大学がランクインしました。
 今回、より教育力を重視するため、ランキング指標に変更がありました。「国際性」に「日本人学生の留学比率」「外国語で行われている講座の比率」の2項目が追加され、「教育リソース」の比重が4ポイント下がったほか、他の分野でも一部項目の比重が変わりました。

「国際性」のスコアが変動し、ランキングにも変化

 150位までにランクインした大学は国立62、公立24、私立65の計151校。立教大学(27位)、法政大学(53位)などを含む23校が総合ランキングへの初のランクインを果たしました。
 1位から9位までは順位の変動はあるものの前回と同じ顔触れの国立大学が占めています。前回、総合3位だった京都大学は国際性のスコアが7.1ポイントアップ。教育リソース、教育成果のスコアも上がり同率トップになりました。2年連続トップの東京大学は教育成果と国際性のスコアがアップ。一方、前回2位だった東北大学は4分野すべてでわずかにスコアを落としました。
 トップ10に入った国立大学の各分野のスコアを前年と比べると、「教育充実度」と「教育成果」はおおむね2ポイント以内の変動にとどまるのに対し、「国際性」は前述の京都大学に加え、東京工業大学(10.4ポイントアップ)、北海道大学(8.3ポイントアップ)、九州大学(7.8ポイントアップ)など、大きくスコアを伸ばした大学が目立ちます。「国際性」の項目追加の影響に加え、国立大学群が留学生の受け入れや外国人教員の採用にも力を入れだしていると言えそうです。
 公立トップの国際教養大学は「国際性」のスコアが25.6ポイントアップの100.0ポイント、教育充実度も国公私を通じてトップで総合ランキングが20位から12位に上がりました。全ての授業を英語で行い1年間の海外留学を必修にしているため、追加された2項目で大きく抜きんでた格好です。
 私立トップの慶應義塾大学は「国際性」のスコアを前年から16ポイント上げ、総合11位の早稲田大学と順位が逆転しました。
 前回同様、「教育リソース」では国立、「国際性」では私立が優勢となっています。「教育リソース」でスコアが高い公立大学・私立大学はほとんどが医科大学。一方の「国際性」は項目の追加によって外国語大学の優位が目立っています。

「順位の変動よりも項目のスコアの相対的位置に着目を」

 大学に「高大接続改革」「大学教育改革」「大学経営改革」の取り組みが求められる中、教育・経営におけるPDCAサイクルの導入とデータ収集・分析を行うIRの活用がますます重要になります。
 進研アド改革支援室の高坂栄一室長は「各大学は自学の順位が上がった、下がったということ以上に各項目のスコアの相対的位置に着目してほしい」と話しています。ベンチマークする大学と比べて自学の位置はどうなのか、相手の大学はどの項目でスコアが高く、それはどんな取り組みによるものなのか。IRを通してこうしたことを把握すれば次の打ち手を考えることができます。大学の特性を分解して可視化するこのランキングを活用して自学の実態を客観的に捉え、強みを伸ばし弱みを克服するために役立てることが重要だと言えるでしょう。