1位の大学は在学生の半数が外国人学生

 日本版ランキング2018の調査過程で収集されたデータのうち、「外国人学生比率」のデータ上位50校が日本版ランキングの Official Guide 2018の誌面に掲載されています。これは、外国人学生数を在籍学生数で割って算出された数値によるものです。このランキングで1位だったのは立命館アジア太平洋大学で、外国人学生が過半数を超える53.4%を占めています。
 外国人学生比率が高いということは、外国人学生にとって学びやすい環境が整っていると言えます。さらに、日本人学生にとっても、学内で異文化交流がしやすく、グローバル力を身に付けられる環境であると考えられます。
 ランキングを設置区分別に見てみると、私立大学が28校、国立大学が20校、公立大学は2校という内訳になっています。私立大学の上位は国公立大学と比べ、観光や経済といった学問系統を有する大学が目立ちます。

外国人学生を受け入れるための取り組み

 私立大学が「外国人学生比率」ランキングの大半を占める中、公立大学の2校が健闘しています。そこで、「外国人学生比率」ランキング6位の国際教養大学と29位の福岡女子大学について、外国人学生を受け入れるための取り組みを紹介します。

国際教養大学(秋田県)
 国際性ランキングで1位にランクインしている国際教養大学は、「国際教養教育」を教学理念に掲げ、グローバル社会におけるリーダーを育成することを使命にしています。その中で、英語教育の充実のほか、留学支援や海外からの留学生の受け入れに積極的です。47か国・地域185大学と提携し、29か国・地域から173名の交換留学生を受け入れている(2017年4月時点)のも、その表れと言えるでしょう。
 海外の大学とのパートナーズプログラムは注目すべき取り組みの1つです。これは1ヵ月間、海外の大学の学生を受け入れ、パートナー大学と共同開発した日本研究のプログラムを受講させるというものです。2017年度は「上級日本語・秋田学冬期集中プログラム」が開講され、オーストラリア国立大学の学生が日本文化を体験・体感するとともに、少子高齢化や過疎化の問題についても学んでいきました。
 また、学部生たちは、1年次に寮生活を義務付けられています。外国人学生にとっては、日本人学生との共同生活で、日本文化を知ることができ、さらには日本語力の向上に役立つでしょう。一方、日本人学生は、世界各国から集まる外国人学生との共同生活により、語学力向上のみならず、異文化に触れ、国境を越えた社会性や国際性を養えるといたメリットが考えられます。

福岡女子大学(福岡県)
 国際性ランキング14位で、女子大学では最上位にランクインした福岡女子大学は、国際化、多様化する社会で幅広く活躍できる女性リーダーの育成を理念に掲げています。2011年度にそれまでの2学部5学科が再編され、「国際」と「教養」が重視された1学部3学科の大学として生まれ変わりました。その時に設置されたのが国際文理学部です。
 福岡女子大学は、この国際文理学部発足を記念し、外国人留学生向けの短期留学プログラム「WJC/福岡女子大学記念プログラム)」を実施しています。このプログラムでは、日本語の授業のほか、大学周辺の博物館や美術館を訪れる“日本文化体験”や日本語のみを使用することが義務付けられた“日本語合宿”などを通じ、外国人学生が現代日本文化を学べます。
 また、国際教養大学同様、1年次の寮生活が義務になっています。2011年に新設された3棟の寮を含む「国際学友寮 なでしこ」には、大広間やミーティングルームなどの共有スペースがあり、ルームメイト以外の寮生と交流する機会も多くあります。そのため、海外からの留学生らとともに1年間の寮生活を送る中で、異文化に対する理解力を深め、外国語コミュニケーション能力を身に付けられる環境が整っていると言えるでしょう。

 いずれの大学にも共通するのは、外国人学生向けの短期留学受け入れプログラムの実施をしている点と、1年次に学生寮で外国人留学生とともに生活する点です。これらの取り組みを通じ、両校には外国人学生が学びやすい・通いやすい環境が整っています。
 外国人留学生が多い大学では、キャンパス内や寮での交流を通じ、日本人学生にとっても、多様な文化を経験したり、言語に触れたりする機会が期待できるため、大学のグローバル力を測る参考として、「外国人学生比率」に注目してみてください。