留学機会が多い大学が見えてくる
日本版ランキング2018の調査過程で収集された国際性に関わるデータのうち、「日本人学生の留学比率」のデータ上位50校が、日本版ランキングの Official Guide 2018の誌面に掲載されています。これは、日本から海外への留学を経験している日本人学生数を在籍学生数で割って算出された数値によるものです。
日本人学生の留学比率が高ければ、入学後の留学機会が多く、留学をサポートする制度が充実している大学と考えられますので、留学を軸に大学を比較する際の、参考にしてみてください。
ランクイン大学では、私立大学が32校と過半数を超え、公立大学10校、国立大学9校となっています。この記事では、「日本人学生の留学比率」ランキング上位の大学のうち、国立大学3校をピックアップし、各大学の留学に関わる取り組みを紹介します。
留学に関する各大学の制度
「日本人学生の留学比率」ランキングで上位にランクインした国立大学は、2位の東京外国語大学、18位のお茶の水女子大学、22位の東京医科歯科大学です。各大学は留学に対し、三者三様の制度によって成果を挙げています。
交換留学に積極的:東京外国語大学
東京外国語大学は、58か国・地域139機関と学生交流等協定を結んでいます(2017年5月時点)。その影響もあり、交換留学で海外への派遣学生を増やしていると考えられます。海外の提携大学の中には、東京外国語大学に赴き、留学説明会を行っている大学もあります。これにより、学生は留学前に直接、現地の大学スタッフに質問することができ、留学前の不安要素を払拭することができます。
さらに、交換留学を後押しするため、いくつかの制度があります。例えば、休学することなく、交換留学期間を含めて4年で卒業可能である点などが挙げられます。また、留学先の大学の授業料が免除になるなど、金銭的にも学生の留学がサポートされています。
短期留学が充実:お茶の水女子大学
お茶の水女子大学は「グローバル女性リーダーの育成」を掲げ、学生の海外派遣の促進に力を入れています。その取り組みの1つが海外短期研修です。これは、英語圏の大学付属機関で5~6週間の英語プログラムを受講後、大学学部の正規授業を聴講できるというものです。短期間での英語力向上が期待できるため、長期留学を目指す学生にも最適な研修です。
また、夏休みや春休みに協定校等が主催している10日間~6週間の短期留学プログラムもあります。複数の国・言語の中から自分が学びたい外国語を選んで参加できる「語学プログラム」のほか、専門分野を学べる「専門プログラム」もあり、海外留学のはじめの一歩として位置付けられているようです。プログラムによっては、単位が認定されるものもあり、学生の海外派遣を後押ししていると言えるでしょう。
2015年度からは大学独自の奨学金『国立大学法人お茶の水女子大学国際交流事業基金』が始まり、留学支援が強化されています。
実習プログラム多数:東京医科歯科大学
医・歯学部を有する東京医科歯科大学は、その専門性を生かした、海外実習プログラムが充実しています。異文化の医学・歯学・看護等に触れることにより、視野の広い国際的な医療人材の育成を目的としています。
医学部には、最大半年間の「学生海外基礎医学実習(プロジェクトセメスター)」や1~3か月間の「海外臨床実習」があります。いずれも、大学内で基礎的な知識を身に付けた上で、専門分野を学んだり、医師として必要な素養を身に付けたりする目的で設けられているプログラムです。
歯学部でも、「海外歯科研修プログラム」や「歯学科研究実習」など、実践型の留学プログラムが充実しています。1週間から3か月程度まで、プログラム内容によって期間は異なりますが、毎年多くの学生が参加し、スキルの向上に役立てています。
日本学生支援機構(JASSO)の調査結果によると、2017年度には96,641人の学生が留学を経験し、2016年度の84,456人と比較して、約1.14倍になっています。ここ数年、日本から海外へ留学する学生数は増加傾向にあり、今後も留学への需要は高まることが予想されます。
日本人学生の留学比率のランキングを参考に、各大学の留学制度や英語教育について調べてみると、大学の新たな側面を発見できるのではないでしょうか。