国際性ランキングのメソドロジー改定
日本版ランキング2018の国際性分野には「日本人学生の留学比率」と「外国語で行われている講座の比率」という2つの項目が加わり、より充実した指標によるランキングになっています。
「日本人学生の留学比率」からは、学生にとって大きな体験である「留学」が実際にどの程度行われているのかがわかります。国際的に活躍していきたい学生に対して、留学しやすい環境を整えている大学かどうかを判断する材料になるでしょう。また、「外国語で行われている講座の比率」からは、日常的に外国語力を養う環境が整っているかを知ることができます。これらの項目が加わったことによって、国際性ランキングには、大学の国際化への対応力がより強く反映されていると言えます。
日本版ランキング2018を分野別に見てみると、「国際性」分野では、前年13位の国際教養大学がスコアを上げ1位になりました。前年1位の立命館アジア太平洋大学が2位と、依然として高いスコアをキープしています。また、前年度9位の国際基督教大学もスコアを上げ、トップ3にランクインしました。
国際性トップ3大学の取り組み
国際性ランキングベスト3の国際教養大学、立命館アジア太平洋大学、国際基督教大学について、具体的な取り組みを見ていきましょう。
国際性1位:国際教養大学(秋田県)
すべての授業を英語で行っている国際教養大学の国際性スコアが高い秘訣は、留学に対する取り組みにあります。
国際教養大学では、全ての学生に1年間の海外留学が義務づけられています。留学は「多様な価値観」と「人間的な成長」を育むとの考えから、これら2つは「世界を舞台に活躍する人材に不可欠な資質」であり、その習得を目指した取り組みを行っています。
さらに、国際教養大学は47か国、187大学と提携し、学生が留学を希望する国で学びたい分野を学ぶためのネットワークが充実しています。主に3年次学生が提携大学に留学し、提携大学からは同数の留学生を受け入れるという文字どおりの交換留学制度が、国際性スコアを押し上げている大きな要因です。さらに、出発前はもちろん、留学中も情報提供や問題解決の手助けを行い、学生の留学をきめ細かくサポートしています。
そのほかにも、学生の約9割がキャンパス内の寮に居住しているという特性があります。これを生かし、リベラルアーツ教育を24時間実践するための「テーマ別ハウス」の取り組みも行っています。これは、特定のテーマの下、集まった日本人学生と留学生が「教育寮」と呼ばれる学生宿舎で1学期間の共同生活をするものです。学生は、主体的に「日本の自然と文化」や「ロマンス語」などのテーマに沿った活動に取り組んでいます。
国際性2位:立命館アジア太平洋大学(大分県)
立命館アジア太平洋大学のキャンパスでは、日本語と英語が公用語で、学部講義の約90%が日英2言語で開講されています。専門科目を英語や日本語で学び、国際ビジネスや学術の世界で通用する高度な言語運用能力と専門知識の習得を目指しています。
留学プログラムも充実していて、期間や学修内容、研修で用いる言語の様々な14種のプログラムがあります。中には、入学前の3月に始まる2週間の異文化体験研修や、アメリカ・オーストリア・韓国の大学との共同単位プログラムなどが設置されています。
海外研修も豊富で、数日間から数か月間までのプログラムがあり「異文化」「言語」「キャリア」「専門分野」と4つのカテゴリに分かれています。例えば、日本語教育に関わるキャリアを目指す学生に向けた、キャリアカテゴリの「SEND」プログラムは、学生がタイやベトナムに1か月程度ホームステイして、現地で日本語を学ぶ学生に日本語や日本文化についての授業を行うインターンシッププログラムです。
立命館アジア太平洋大学の高い国際性スコアは、学生に多様なグローバル体験の選択肢を提供している結果と言えそうです。
国際性3位:国際基督教大学(東京都)
国際基督教大学は、「国際社会において信頼される人=『地球市民』の素養」を目指しています。4人に1人の留学枠がある世界23か国72大学への交換留学、毎年1年生の約4割が参加する夏休みを利用した海外英語研修プログラム、夏休み期間中に海外大学で学ぶサマープログラム、海外で30日以上の奉仕活動に従事する国際サービスラーニングなど、目的や期間に応じた様々なグローバルプログラムを設置しています。
国際基督教大学は、世界15か国から29のリベラルアーツ大学が参加する大学連盟「グローバル・リベラルアーツ・アライアンス」に、日本で唯一加盟しています。その取り組みの1つとして、3年次・4年次に2つの地域のリベラルアーツ大学に留学するプログラム「Global Scholar Program」が挙げられます。これにより、学生は目的に応じて多様な留学先を選択でき、学びを深めることができます。また、日本を含めて3つの異なった国の社会・文化・教育を経験することによって、広く国際的な視野が身に付きます。
国際基督教大学の授業は日英バイリンガリズムの教育理念に基づいています。学生は日英どちらの言語でもアカデミックな論文を書き、議論することができる力を養います。さらに、国際社会で必要とされる9言語から1言語を選択した、「日英2言語、プラス1言語」を習得した人材の育成を進めています。外国籍教員と、海外大学で学位を取得した日本人教員の比率は92.7%であり、バイリンガル教育を支える環境が整えられています。
いずれの大学も多様な留学・海外研修プログラムを設置し、学生のニーズに寄り添っていることが、国際性ランキング上位の秘訣と考えられます。各大学の取り組みを見てみると、大学でグローバルな体験をする機会は留学だけではないということもわかります。大学でのグローバルな経験を求めるのであれば、国際性ランキングを参考に大学研究をしてみてください。