世界ランキングにおける日本の大学のランクイン状況
世界ランキングは、「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5つのランキング指標で大学をランク付けしたものです。
2018年の国別のランクイン大学数を見てみると、1位がアメリカで157校、2位がイギリスで93校、そして3位が日本で89校でした。2018年にランクインしたすべての大学数は1,102校で、これは世界に約23,000校ある高等教育機関のうち、たった5%です。ランクインするだけでも素晴らしいことですが、日本のランクイン大学数は他の国々と比べても、かなり多いと言えます。
日本の大学のランクイン状況について、年を追って見てみましょう。2016年に世界ランキングにランクインした大学は、世界中で800校です。そのうち、日本の大学は41校がランクインしました。2017年は、世界の980大学がランクインする中で、日本の大学は69校。さらに、2018年には、ランクインした世界の1,102大学中、日本の大学は89校がランクインし、そのうち22校が初ランクインでした。
続いて、2016年から2018年までの3年間における、世界ランキング上位500位を見てみましょう。上位500位以内にランクインした日本の大学は、2016年は11校、2017年は12校、2018年は10校でした。なお、3年連続でランクインした大学が10校ありました。ランクインしたのは、ほとんどが国立大学です。また、100位以内にランクインしたのは、THE世界大学ランキング日本版2018で同率1位の東京大学と京都大学の2校でした。
ランキングを上げてきた大学の事例
九州大学は、2016年から2018年の間、世界ランキングにランクインし続けている特徴的な大学です。ランクインするだけでなく、年を追うごとに順位を上げてきた九州大学の取り組みについて、スコアの伸びが大きかったランキング指標分野の順に紹介します。
研究
九州大学では、2016年度の受託研究受け入れ額が約101億円、被引用論文数は58,000件以上という、日本でもトップレベルの研究成果を出しています。
九州大学では、2012年の秋に、日本の主要大学の中でもいち早く、ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター(以下、URA)を導入しました。URAとは、研究者の研究活動活性化のための環境整備などを目指して大学の研究をマネジメントする人材です。
また、2015年4月には、それまでの研究戦略企画室と産学官連携本部を統合し、新しく「学術研究・産学官連携本部」を設置しました。これは、オープン・イノベーション推進の支援、課題解決のために必要な複合・融合分野の研究者が協力できる体制作りの支援などを目指した組織です。その配下である「総括企画調整」「研究戦略推進」「グラントサポート」「産学官連携推進」「知的財産」「学術研究推進支援」「産学・社会連携支援」「ベンチャー創出推進」の8つのグループで研究をサポートしていることが、九州大学のハイレベルな研究成果につながっていると考えられます。
国際性
九州大学は2014年に、文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業に採択されました。スーパーグローバル大学に採択された大学は、2023年までの10年間、毎年、補助金が支給され、大学教育の国際化やグローバル人材の育成を目的とした大学改革等に取り組んでいます。
九州大学では、具体的に、2023年までに外国人留学生を4,700人にすること、日本人学生のうち2,000人を留学経験者にすること、外国人教員等を1,500人にすることなどを目標にしています。これらの目標に対して、九州大学は順調に数値を伸ばしているため、その成果が国際性のスコア向上に結び付いていると考えられます。
また、アメリカのカルフォルニア州にあるサンノゼと、エジプトの首都カイロにオフィスを所有していることや、世界各国の100以上の大学と学術交流の提携をしていることも、九州大学の国際性の高さを物語っています。
教育
九州大学では、教員一人あたりの学生数が7.7人と少なく(2018年)、学生一人ひとりに教員の目が行き届いた教育が可能な環境と言えます。
また、九州大学は2011年の創立100周年を機に、次の100年に向けた新たな教育組織として「基幹教育院」を設置しました。基幹教育院では、「学び方、考え方を学ぶ」姿勢の涵養こそが学問追究の基本であるという観点に立ち、自ら問いを立て主体的な学びのできるアクティブ・ラーナーの育成を目標に、カリキュラムやシラバスの作成、教材や教科書の開発などを行っています。さらに、基幹教育院では、教員への教育や授業改革の取り組みであるファカルティ・ディベロプメント活動にも取り組んでいます。これらの活動が、九州大学の教育を質的に高めていると言えるでしょう。
2018年9月には、THE世界大学ランキング2019が発表されます。日本の大学は何校ランクインするでしょうか? 日本の大学や世界の大学の動向に、ぜひご注目ください。