指定国立大学の概要と日本版ランキング2018へのランクイン状況
2018年12月現在、文部科学省によって6大学が指定国立大学の指定を受けています。指定国立大学は、世界最高水準の教育を提供し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待される国立大学です。東北大学、東京大学、京都大学、東京工業大学、名古屋大学に加え、2018年10月23日に大阪大学が指定されました。
指定国立大学の6大学すべてが日本版ランキング2018の総合ランキングで10位以内にランクインしています。特に「教育充実度」「教育成果」のスコアは、いずれの大学も90ポイント以上です。また、「教育リソース」分野に関しても、概ね高スコアであるといえるでしょう。
一方、6大学の「国際性」のスコアには、ばらつきがあります。今後、各大学がどのように「国際性」分野のスコアを伸ばすのか、各大学の目標や取り組みと合わせて注目していきましょう。
指定国立大学と日本版ランキング
指定国立大学は、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していくために、「研究力」「国際協働」「社会との連携」の3つの領域において、一定の要件を満たしていることが条件とされています。このうち、「国際協働」の項目は日本版ランキングの「国際性」、「研究力」の項目は日本版ランキングの「教育リソース」「教育成果」の項目とそれぞれ関連性が高いと考えられます。
日本版ランキング2018は、教育に特化した指標を用いていますが、指定国立大学が満たすべきとされる要素もカバーしているといえるでしょう。指定国立大学は、大学と社会の関わり方を考慮に入れた総合的な大学の質の向上を目指しています。
指定国立大学の「国際性」分野における取り組み
スコアにばらつきのある「国際性」分野について、各大学はどのような目標を掲げ、取り組みを行っているのでしょうか。
指定国立大学の中で最も「国際性」のスコアが高いのは、東京工業大学でした。東京工業大学の特徴的な取り組みとしては、大学を挙げた世界展開力強化事業があります。これは、国際的に活躍できるグローバル人材の育成と大学教育のグローバル展開力の強化を目指すものです。世界各国の大学と提携を結び、共同研究や交換留学、学生交流、web講義など、先進的なプログラムも取り入れつつ、世界中の学生と切磋琢磨できる環境を整えています。
もう一つ特徴的なのは、東京工業大学初の英語による学士課程プログラム(以下、GSEP)です。GSEPとは、世界各国の優秀な学生に東京工業大学による工学教育の門戸を開くために、留学生の受入体制を整えたグローバルエンジニア育成プログラムです。留学生は、多岐にわたる基礎分野の知識を修得した後に、最先端の研究活動に参加することができます。
続いて、2018年10月に指定国立法人に指定されたばかりの大阪大学の取り組みを見てみましょう。
大阪大学の特徴的な取り組みとしては、ASEANキャンパス構想やグローバルナレッジパートナーが挙げられます。ASEANキャンパス構想とは、大阪大学のASEAN地域での教育・研究実績を生かし、共同学位プログラムの実施を通して人材育成に結びつける構想です。グローバルナレッジパートナーとは、世界の有力大学と提携して、共通の課題について分野横断で先端研究を実施すると同時に、国際人材育成に取り組む構想です。
これらの構想を実現していくことにより、大阪大学の国際教育力が総合的に向上すると予想されます。
このように、指定国立大学を日本版ランキング2018で見てみると、大学の特徴の違いが見えてきます。大学の情報を収集する際には日本版ランキング2018を有効に活用すると、より充実した大学研究ができるのではないでしょうか。
大学では、新たな取り組みを増やしたり、カリキュラム編成を変えたりして、より良い学習環境を学生に提供する努力をしています。社会の変化に柔軟に対応し、変化し続ける大学の動向に目が離せません。