4年間で複数の大学に通える単位互換制度のススメ

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近年、大学では大学間の交流を促進し、教育内容の充実を図るために様々な取り組みが行われています。その取り組みのひとつである「単位互換制度」について説明します。

他大学の授業を履修できる単位互換制度

 単位互換制度とは、協定を結んだ大学間で、他大学において履修した授業科目の単位を自分の大学の履修単位として認定する制度です。協定校で開講される講義の中で、自分の関心や研究内容に添ったものを学べることが大きなメリットです。それだけではなく、母校とは異なる校風や学生の雰囲気などを直接感じることができます。単位互換制度の利用によって、自らの学びが深まり、学びの場から刺激を受けたり交友関係の幅を広げたり、学生生活をより豊かにすることが期待できるでしょう。

 現在、日本国内の大学のうち83%が単位互換制度を取り入れています。(2015年度、文部科学省調べ)
 単位互換制度の取り入れ方は、近隣の大学が集まって事業に取り組む大学コンソーシアムへの参加による実施と、大学同士の個別協定による実施の2種類が一般的です。両方の方式を取り入れている大学もありますが、大学コンソーシアムへの参加によって単位互換制度を実施している大学の方が多いようです。

 コンソーシアムへの参加の中でも、規模が大きいのは関西の「大学コンソーシアム京都」です。
 「大学コンソーシアム京都」には、現在48の大学・短期大学が加盟し、大学の相互連携による教育の質の向上のみならず、京都地域の活性化や地元の魅力のPRを目的とした取り組みも盛んに行われています。
 具体的には、2015年度に開設された「京都世界遺産PBL科目」があります。この科目は、少人数のグループで問題設定を行い、その解決を通して課題発見・問題解決能力を伸ばすPBL(Project Based Learning)の学習手法を取り入れています。近隣の大学が集まっているという利点を生かし、京都ならではの地域密着型プログラムが提供されています。

3㎞以内で行われる「f-Campus」の取り組み

 首都圏では、学習院大学・学習院女子大学・日本女子大学・立教大学・早稲田大学の5大学が加盟する「f-Campus」という単位互換制度があります。

 「f-Campus」の特徴としては、本部キャンパスが近接した私立大学による協定という点が挙げられます。全ての大学のキャンパス間の距離が3km以内と、非常に近い範囲にあるため、1日に大学間を行き来することができます。
 「f-Campus」の中で、THE世界大学ランキング日本版(以下、日本版ランキング)にランクインしている4大学の取り組みを紹介します。まずは、共学の3大学から見ていきましょう。

■学習院大学
 学習院大学は、5学部17学科を有する総合大学です。2016年には、国際分野と社会科学分野を融合させた国際社会科学部が開設されました。
 国際社会科学部は、国際的に活躍する人材の育成を目指しています。このように、社会状況の変化に柔軟な学習環境が提供されています。

■立教大学
 立教大学は、10学部27学科8専修1コースが設置されている総合大学です。立教大学では、グローバルコミュニケーション能力の育成に力を入れ、留学生と一緒に授業を受けたり、交流をしたりするプログラムを数多く提供しています。
 その中で特徴的なのは「グローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP)」です。これは、実践的なリーダーシップを身につけることができるプログラムです。学生たちは自らが設定した課題に実際に取り組み、体験的に学びを得ます。

■早稲田大学
 早稲田大学は、「f-campus」の中で最も多い13学部を有する総合大学です。
世界中でグローバルな視点を持って課題の解決に貢献する人材の育成を図るため、2013年度には「グローバルエデュケーションセンター」が設置されました。
 また、社会人になってから役立つスキルや知識を身に付けることができる「WASEDA式アカデミックリテラシー」というプログラムも特徴的です。「アカデミック・ライティング」「数学」「データ科学」「情報」「英語」など、幅広い分野の知識を身に付けることができます。

総合力の高い日本女子大学

 日本女子大学は、日本版ランキングの「教育リソース」と「教育成果」分野ランキング、総合ランキングにランクインしている女子総合大学です。人文科学、自然科学、社会科学の3領域に加え、生活科学をカバーする4学部15学科が設置されています。日本初の人間社会学部や、私立女子大学唯一の理学部が設置されていることも特徴的といえます。

 日本女子大学の「教育リソース」分野に関する取り組みには、研究費の獲得に向けた動きが挙げられます。
 文部科学省が2017年10月10日に発表した科学研究費助成事業「細目別採択件数上位10機関」において、3分野で全国10位以内にランクインしています。衣・住生活学4位(私立大学では1位)、実験心理学9位(私立大学では2位)、ケア学1位の助成を文部科学省から受け、女性研究者の研究活動が盛んであることを示しています。
 「教育成果」分野関連の取り組みとしては、少人数のゼミ形式の授業により教授と学生の距離が近いことや、勉強や進路に関するアドバイザーの存在が挙げられます。これらのきめ細かいキャリアサポートにより、99.0%もの就職率を誇る点も、日本女子大学の大きな特徴です。

 単位互換制度を利用して、所属大学以外の大学で授業を履修することにより学びの幅が広がることは間違いないでしょう。日本版ランキングのランクイン大学であれば、学修の一層の充実が期待されます。

女性一人ひとりをエンパワメントする自由で多彩なオーダーメイドの教育

日本女子大学


教育リソース、教育成果の2項目で150位以内に入った日本女子大学。4学部15学科を有する女子の総合大学であると同時に、少人数制によるきめ細かな教育を特徴とする。2021年4月に全学部を都内目白キャンパスに統合、まず2019年4月に学びの中心となる新図書館が開館する。