Young University Rankings2018の結果

 「Young University Rankings」は創立50年以内の大学を対象とし、THE世界大学ランキングと同様「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5分野13指標のデータをスコア化したランキングです。
 THE世界大学ランキングと異なる点としては、「教育」「研究」分野における評判調査の比重が低いことが挙げられます。

 Young University Rankings 2018には55の国と地域から250大学がランクインしています。そのうち、イギリスが最多の31大学、次いでオーストラリアが22大学のランクイン数となっています。
 また、1位に香港科技大学、3位には南洋工科大学がランクインしていることからもわかるとおり、上位には工学・科学分野に特化した大学が多くランクインしているという特徴があります。

日本の大学のランクイン状況

 2018年のランキングで日本から「Young University Rankings」にランクインした大学は9校となり、5校のみのランクインだった2017年に比べて大きな躍進を見せました。世界的に見ると工学・科学分野に特化した大学が多くランクインしているのに比べ、ランクインしている日本の大学は医系大学が多く、9校のうち4校は医系大学です。

 ランクインした日本の大学9校のうち、上位3校の教育の特徴をご紹介します。

筑波大学(茨城県)

 日本の大学でトップスコアを獲得したのは、94位タイを獲得した筑波大学でした。
 筑波大学は、1973年に開校した、9学群を有する総合国立大学です。THE世界大学ランキング2019(以下、世界ランキング2019)では401-500位、THE世界大学ランキング日本版2018(以下、日本版ランキング2018)では9位にランクインし、国内外から高い評価を受けていることがわかります。

 筑波大学は「産業界からの収入」のスコアがほかの大学と比べてかなり高くなっています。
 文部科学省の公表によると、筑波大学は、2016年度の民間企業との共同研究費受入額が全国の大学で第10位でした。特徴的なのは、体育や芸術の専門学群も存在する総合大学であるという強みを生かした研究です。
 筑波大学体育系ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)は、ヒトの心身の活力を最適化することを目指した次世代健康スポーツ科学を推進するための研究を行っています。国内外の様々な研究機関や民間企業と連携し、「心」「体」「技」の3部門から、多面的にスポーツや健康を見ています。
 このような、大学の専門を生かした産学連携が、「産業界からの収入」の高いスコアを実現しているのではないでしょうか。

藤田医科大学(愛知県)

 110‐150位にランクインした藤田医科大学は、1968年に開学した私立大学です。
 世界ランキング2018で初ランクインした藤田医科大学は、「被引用論文」のスコアが突出して高いことが特徴です。世界ランキング2019では401-500位、日本版ランキング2018では「教育リソース」分野のランキングにのみ43位にランクインしています。

 藤田医科大学は、文部科学省の2017年度私立大学研究ブランディング事業(世界展開型)に「高ストレス社会を克服する「精神神経疾患の最先端研究開発拠点大学」としてのブランドを確立」という事業名で採択されました。事業の一環として、学内外組織との連携によるビッグデータ解析、画像・代謝ネットワークオミックス解析システムの構築、新しい治療薬や診断薬の開発、機能性食品の開発などを進めています。

首都大学東京(東京都)

 101-150位にランクインした首都大学東京は、2005年に都立の4つの大学を再編・統合して設立された、新しい大学です。2000年以降に設立した大学として、日本で唯一のランクインを果たしました。世界ランキング2019で401-500位、日本版ランキング2018で総合36位タイにランクインするなど、国内外の評判が高い実力派の公立大学です。

 首都大学東京は、2018年4月に学部・大学院の再編成を行い、7学部を擁する大学となりました。カリキュラムの特徴としては、自らの専攻に加え、学際的視野を身につけることを目的とした「副専攻」の専門科目を履修できる点が挙げられます。
 学生には、修了時に、各自の専攻の修了証書に加えて、副専攻コース修了証書が授与されます。副専攻として設置されているコースには「観光経営副専攻コース」「人間健康科学副専攻コース」「国際副専攻コース」の3つがあります。例えば、観光経営副専攻コースでは、都市・自然・社会と調和した持続可能な観光を支え、観光関連企業や観光行政、地域において第一線で企画立案やマネジメントに携わるリーダーとなり得るような、国際的視野と先端的なマネジメント能力を兼ね備えた先導的人材の育成を目的としています。
 将来、観光産業で地域リーダーとして活躍したい学生はもちろん、マネジメント能力に磨きをかけ様々な分野のリーダーとして活躍したい学生にも注目されています。

 このように、「Young University Rankings」にランクインした大学では、先進的な研究や取り組みを国内外で高く評価されていることがわかります。
 さまざまなカリキュラムを柔軟に取り入れた新しい大学が、今後どのように発展していくのか、期待が高まります。