京都大学が初の単独トップに

●総合ランキングにおける私立のランクイン数は5校増えて70校に
●「教育充実度」は学生調査による3項目が加わり比重がアップ
●国際教養大学は今回も「教育充実度」「国際性」で1位、初の総合トップ10入り

 イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」は2019年3月27日、ベネッセグループとのパートナーシップに基づく「THE世界大学ランキング日本版2019(以下、日本版ランキング2019)」にランクインした151大学を発表しました。3回目となる今年は学生調査の結果が加わり、ランキング指標がさらに充実。京都大学が初めて単独トップになりました。公立トップの国際教養大学は2年連続で順位を上げて初のトップ10入りを果たしました。私立の中では国際基督教大学が初めてトップになりました。

学生調査から「教員・学生の交流」「大学の推奨度」などの項目が加わった

 「THE世界大学ランキング日本版」は2017年にスタートしました。「THE世界大学ランキング」が研究力を軸に据えた指標を設けているのに対し、日本版は国内の教育事情に即した形で教育力を重視しています。大学の教学改革やグローバル化の推進に活用してもらうと同時に、①高校生に大学選びの基準を提供する、②大学に対する社会の価値基準を変える、③日本への留学希望者に日本の大学の魅力を伝えることも目的としています。
 過去2回と同様、「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野で構成していますが、これまで高校教員の評判調査でランク付けしていた「教育充実度」に今回から学生調査が導入されています。学修者本位の視点による教育の質保証という高等教育の課題に対応し、指標の充実を図りました。
 「教育充実度」には、学生調査の結果から「教員・学生の交流、協働学習の機会」「授業・指導の充実度」「大学の推奨度」という3つの項目を追加。これにより、ランキング指標全体に占める「教育充実度」の比重を4ポイント上げ、この指標内で高校教員の評判調査の比重を下げるなど、調整がなされました。

昭和女子大学は「教育充実度」等を強みに131-140位→95位と躍進

 150位までにランクインした大学は国立58(前回は62)、公立23(同24)、私立70(同65)の計151校で、私立が健闘しました。前回まで総合および分野別でもランクインしなかった(またはエントリーしなかった)大学のうち今回、初めてランクインしたのは一気に92位になった聖路加国際大学、および141-150位の山口県立大学の2校でした。
 以下、「トップ10」「11位~50位」「61位~150位」の各ゾーンについて概要を詳しく見ていきます。

■トップ10
 京都大学が「国際性」のスコアで差をつけ、単独トップになりました。9位までは過去2回と同様、国立大学が占め、順位の変動のみで顔ぶれは変わっていません。初めてトップ10に入った国際教養大学(10位)は前回に続き「教育充実度」と「国際性」の両分野で1位を獲得、「国際性」は今回も100.0ポイントでした。
 
■11位~50位
 国際基督教大学が「教育充実度」で10位→2位、「国際性」で3位→2位と順位を上げ、総合ランキングで前年の16位から11位にアップしました。
 10ランク以上アップしたのは東京医科歯科大学(39位→23位)、横浜市立大学(46位→30位)、京都工芸繊維大学(42位→31位)、豊田工業大学(68位→41位)、電気通信大学(55位→43位)、福岡女子大学(62位→46位)、秋田大学(58位→48位)、学習院大学(61位→48位)、大阪府立大学(65位→48位)の9校でした。そのうち横浜市立、京都工芸繊維、豊田工業、秋田、学習院、大阪府立の各大学は2年連続で順位を上げました。
 これらの大学を分野別で見ると、豊田工業大学は16位の「教育リソース」、福岡女子大学は13位の「国際性」をそれぞれ強みとします。学習院大学は「教育充実度」以外の3分野がいずれも50位台というバランスの良さが強みです。

■51位~150位
 前年の総合順位ランク外から今回ランクインしたのは、奈良女子大学、東京慈恵会医科大学、東京国際大学(いずれも111-120位)、愛知医科大学、奈良県立医科大学、東京都市大学(いずれも121-130位)、日本医科大学、帝京大学(131-140位)など13校でした。医学部を持ち「教育リソース」のスコアが高い大学が目立つ中、大阪女学院大学(141-150位)は「国際性」が4位と突出、共愛学園前橋国際大学(同)も「国際性」が40位と高かったです。
 前回からの順位の上げ幅が大きいのは岐阜大学(97位→55位)、創価大学(121-130位→79位)、昭和女子大学(131-140位→95位)、公立はこだて未来大学(101-110位→68位)、神戸市外国語大学(83位→51位)、などでした。分野別で見ると、創価大学は「国際性」(16位)、昭和女子大学は「教育充実度」(39位)と「国際性」(54位)をそれぞれ強みとしています。

神田外語、APU等の「教育充実度」の順位が大きく上昇

 「教育充実度」の順位が大きく上がったのは国際基督教大学(10位→2位)、上智大学(12位→4位)、立命館アジア太平洋大学(21位→5位)、神田外語大学(30位→5位)、東洋大学(31位→14位)など。国立では筑波大学が前回の7位から3位になり、次いで北海道大学(15位→7位)と、こちらも総合ランキングとは違う様相になっています。
 過去2回のランキングでは「国際性」が私立の優位性であることが鮮明になりましたが、国立大学も国際化に力を入れ始めています。今後は、私立の強みであるきめ細かい学生支援によって満足度を上げ、学生調査で高スコアを確保することもランクアップのカギになりそうです。
 高大接続改革、教育改革、経営改革が求められる中、大学にとってIRによるデータ収集・分析を通じた経営・教育のPDCAサイクル確立が急務となっています。ベネッセグループは今回のランキング発表に際し、「順位の変動のみに着目するのではなく、自学の魅力や特性を客観的に把握するツールとしてランキングを活用し、大学改革につなげてほしい」とコメント。今後も大学関係者をはじめ多くの声を取り入れながら「THE世界大学ランキング日本版」をより良いランキングに育てていきたいという考えを表明しました。