スポーツの広がり

 サッカーやバスケットボールにおける日本人選手の世界的な活躍や、ラグビーワールドカップ2019の日本開催などにより、スポーツが盛り上がっています。ラグビーワールドカップ日本大会の試合期間中には、応援に熱狂するファンの様子が社会現象になりました。
 日本では、2020年に向け、マイナースポーツの普及や地域におけるスポーツイベントの開催など、さまざまな準備が進んでいます。また、大学が主導して海外で日本の「運動会」を開催する活動なども行われています。
 このように、スポーツは教育や地域振興、観光、国際協力などさまざまな分野に役立つと考えられています。実際に、ラグビーワールドカップ2019では、子どもを対象にしたラグビー教室の生徒数増加、海外からの観光客増加、ニュージーランドの「ハカ」にちなんだ国際交流イベント開催など、教育や文化交流面に影響が広がりました。

スポーツに関する大学の学び

 スポーツについて学べる大学のプログラムを紹介します。

■岩手大学
 岩手大学人文社会科学部は、教育目的を「現代社会の諸問題を総合的観点から理解する能力と、人間・文化・社会・環境に関する専門的知識・能力を有し、地域社会および国際社会に実践を通して貢献できる人材を養成することを目的とする」と定めています。
 人間文化課程の「スポーツ科学専修プログラム」では、人間の行動を研究し、法則性の発見や予測・制御を行う「行動科学」の側面から、スポーツを学修します。具体的なカリキュラムとしては、人間行動や文化、健康管理法、スポーツ指導法などに関する科目があります。学生は、公認スポーツ指導者の資格を取得することもできます。
 また、別の分野の知識を修得できる副専修プログラムもあります。「ヨーロッパ語圏副専修プログラム」で、ヨーロッパの言語・文化のほか、「スポーツツーリズム」について学びます。「スポーツツーリズム」は、スポーツ観戦などに伴う観光という意味の言葉です。さらに「政策法務副専修プログラム」で、地域社会のスポーツ振興や健康に関する政策立案などについて学び、それらを担う地方公務員やNPO職員などをめざします。

■東海大学
 東海大学の国際文化学部は、札幌キャンパスにある学部です。
 3学科のうち地域創造学科では、スポーツと経済振興の両面から、地域活性化にアプローチします。スポーツを文化・地域づくりの観点から学ぶ「健康スポーツコース」と、よりよい地域社会をつくるための学修・研究をする「地域社会・経済コース」があります。
 「健康スポーツコース」では、人々が心身ともに豊かな生活を営む「生涯スポーツ社会」の実現をめざし、健康やスポーツ指導、スポーツに関する企画・運営などを学びます。
 実際に、フィールドワーク授業の一環で、マラソン大会などのボランティアスタッフとして参加し、「普段は選手として出場する側にいるのですが、スタッフとして関わることで大会運営の大変さや、裏で支える人たちが大勢いることを知りました」と語る学生もいます。
 また、スポーツに関する事業の効率的な経営について学ぶ「スポーツ経営学」の科目も設置されています。さらに、スポーツイベントなどでのフィールドワークやインターンシップなど、選手としてではなく「スポーツと人を結ぶ」視点での学びを取り入れています。

■神奈川大学
 神奈川大学人間科学部人間科学科には、健康やスポーツのほかビジネスやマネジメントのスキルを学ぶ「スポーツ健康コース」が設けられています。
 スポーツ健康コースには、「スポーツ振興者志望モデル」と「企業のリーダー・スポーツ教育者養成モデル」という2つの履修モデルがあります。「スポーツ振興者志望モデル」では、現代社会の構造や事象を「スポーツ」から理解し、スポーツ実践者を科学的に支援するための知識やスキルを修得します。一方、「企業のリーダー・スポーツ教育者養成モデル」は、民間企業におけるリーダー、警察官や消防士、学校や社会でのスポーツ指導者をめざす人に向けたモデルです。
 ゼミでは、さらに社会的な視点からスポーツを考えることができます。渡部かなえ教授のゼミでは、認可保育所でのフィールドワークを行い、子どもが遊びを通して人間関係や創造性を育むプロセスを研究します。大竹弘和教授のゼミでは、行政を含むスポーツ産業やビジネスを扱います。

 この記事で紹介した、岩手大学、東海大学、神奈川大学の3校は、THE世界大学ランキング日本版2019にランクインしています。詳しいスコアについて知りたい方は、記事下の関連リンクよりご覧ください。