帝京大学が順位を上げ、東海大学と共に総合ランキングに登場

 THE世界大学ランキング日本版2019(以下、日本版ランキング2019)では、帝京大学が総合ランキングに新たにランクイン。これにより、5大学の中で総合ランキングに名を連ねるのは、東海大学と帝京大学の2大学となりました。分野別ランキングを見ると、東海大学は4分野全てに、帝京大学は「国際性」を除く3分野でランクインし、どちらも幅広い領域に強みを持っていることがうかがえます。
 大東文化大学と亜細亜大学は、分野別ランキングのうち「教育成果」「国際性」の2分野でランクインを果たし、存在感を示しています。
 これら4大学のランクイン結果をまとめて見ると、総合ランキング、分野別ランキングのどちらにおいても、順位が上昇傾向にあります。

<東海大学>「国際性」ランクインにより、4分野全てが150位以内に

 東海大学はもともと「教育充実度」「教育成果」に強みを持っていましたが、日本版ランキング2018で「教育リソース」にもランクイン。さらに、日本版ランキング2019では「国際性」分野にランクインしたことにより、4分野全てでランクインを果たしました。
 日本版ランキング2019において、新たにランクインした「国際性」分野は、外国人の学生や教員の比率、日本人学生の留学比率などを基に、大学内がどれだけ国際的な教育環境になっているかを示します。東海大学の学部・大学院には、2019年現在、49か国113人の外国人留学生が在籍しています。また、毎年300人前後の日本人学生が協定先の大学や機関に留学に赴きます。
 特徴的な海外派遣制度の一つに、1968年から続く「海外研修航海」があります。約100人の学生が、学校法人東海大学が所有する海洋調査研修船「望星丸」で、約40日間をかけて複数の国を巡り、現地の文化を体験したり、現地の学生と交流したりします。
 また、過去50年にわたってロシアとの交流を続けてきた実績を基に、2017年度に文部科学省「大学の世界展開力強化事業」の選定を得て、「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成」を展開。短期海外研修、中期海外留学において両国が学生を派遣し合うなど、活発な交流が続けられています。

<帝京大学>学生視点による授業改善などが「教育充実度」を高める

 日本版ランキング2019では「教育成果」に加えて、「教育リソース」「教育充実度」の2分野もランクイン。総合ランキングでも初ランクインを果たしました。帝京大学は、大学の研究力を重視した世界大学ランキング2020でも国内9位タイ、私立大学に限れば3位タイと上位にランクインし、教育力、研究力の両面で高い水準であることがうかがえます。
 日本版ランキング2019で新たにランクインした2分野のうち「教育充実度」は、学生や高校教員への評判調査、および学生調査を基に、教育に対する期待の実現度を表す分野です。現在では多くの大学が、授業を改善・向上させる組織的な取り組み(FD:Faculty Development)を行っていますが、帝京大学はここに学生の視点を入れている点に特徴があります。「SCOT」と呼ばれるこのしくみでは、FDに関するトレーニングを受けた学生が授業の様子を観察し、教員に情報を提供。教員は自身の授業が学生からどのように見られているのかを知り、改善に取り組みます。こうした活動による授業の質の向上が、学生や高校教員の評判、学生の満足度を高めたと言えるでしょう。

<亜細亜大学><大東文化大学>「教育成果」と「国際性」に強い理由は?

 亜細亜大学と大東文化大学は、共に分野別ランキングの「教育成果」と「国際性」でランクインしています。

 亜細亜大学は、充実した留学制度などにより、以前から「国際性」のスコアが高く、日本版ランキング2019でも全ランクイン大学中25位でした。日本版ランキング2019では、さらに「教育成果」分野でランクインしています。「教育成果」は企業の人事担当者や研究者への評判調査を基に、卒業生の評判を表した分野です。
 「国際性」の強みを生かして、卒業後に社会で活躍する力を磨いているプログラムとして「アジア夢カレッジ-キャリア開発中国プログラム-(AUCP)」があります。学生は、所属する学部の授業と並行して、アジアで働くうえでのキャリアデザインや、中国語、中国文化に関する科目を履修。2年次に行われる中国・大連への6か月間の留学中に、現地企業で1か月間のインターンシップを行います。国際性に富む環境でビジネス力を鍛えるこのような取り組みが効果を発揮し、評判を押し上げているのではないでしょうか。

 大東文化大学が「国際性」で毎年ランクインしている理由の一つに、留学制度の充実が挙げられます。
 アジア、アメリカだけでなく北欧や中東なども含む27か国・地域に海外協定校があり、留学先がバラエティに富んでいます。それに加え、留学の資金面をサポートするしくみが備わっています。
 例えば「奨学金留学制度」は、各学科から選出された1~3人の学生が、大学から学費や生活費のサポートを受けて希望の大学に留学できる制度。また「協定校派遣留学(交換留学)制度」では、学費免除や奨学金の支給が受けられる派遣先が多数あります。アメリカ、イギリスへの留学には「留学先授業料減免留学制度」があり、選考をクリアした学生(人数の上限無し)について、派遣先の学費の一部を大学が負担します。
 これらの制度を活用して、毎年300人以上の学生が海外で学んでいます。

 日本版ランキング2019は、大学の「教育力」に注目したランク付けを行っています。
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