東北大学が初のトップに

●ランキング対象は278校
●東京工業大学が前年の7位から3位タイに躍進
●「国際性」の順位が大きくアップした大学が目立つ

 イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は3月24日、ベネッセグループとのパートナーシップに基づく「THE世界大学ランキング日本版2020」のランキング対象となった278大学を発表しました。東北大学が前年から2つ順位を上げて初めてトップになりました。2位は京都大学、3位タイが東京大学と東京工業大学でした。私立大学の最上位は前年と同じく11位の国際基督教大学でした。ランキング指標4分野のうち「国際性」の順位を大きく上げた大学が私立中心に目立ちます。

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ランキング対象は国立67校、公立44校、私立167校

 THEは各大学が自らの強みや個性を明確にして一層強化できるよう、様々な大学ランキングを作成しています。教育力重視の「THE世界大学ランキング日本版」は学生の学びの質や成長性に焦点を当て、大学の教学改革やグローバル化の推進に活用してもらうことが目的です。受験生や社会に対して入試難易度以外の大学の価値を示すとともに、日本の大学の多様性を世界に発信するねらいもあります。
 4年目となる今回のランキング対象校は278校で、前回の213校から65校増えました。これまでと同様、ランキング指標は「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野で構成されます。「教育充実度」の項目として2019年度から加わった学生調査は、今回も教員との交流や協働学習の機会など、初回と同じ設問で実施されました。

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 今回、初めて総合ランキングに入ったのは帯広畜産大学(55位)と京都府立医科大学(111-120位)など18校でした。

 以下、ランキングの「トップ10」「11位~50位」「51位~201+」の各ゾーンについて概要を見ていきます。

総合ランキング「トップ10」を解説

 トップ10は順位の変動のみで顔ぶれは変わっていません。
前年3位の東北大学が初のトップとなり京都大学(2位)と東京大学(3位タイ)は一つずつ順位を下げました。東北大学は教育充実度を除く3分野で順位を上げ、特に教育成果(7位→4位)、国際性(46位→24位)の上げ幅が大きかったです。東京工業大学は教育充実度(25位タイ→9位)の16ランクアップで初めてトップ3(タイ)に入りました。
 9位の筑波大学は学生調査を導入した前年、今回とも「教育充実度」が国立大学として最上位の3位で、旧帝大が並ぶトップ10の中でも際立つ特色を持ちます。
 国際教養大学(10位)は前回、前々回に続き「教育充実度」と「国際性」の両分野で1位を維持しました。

総合ランキング「11位~50位」「51位~201+」を解説

 前年と同じ11位の国際基督教大学は「教育成果」(85位→43位)が大幅にランクアップしました。
 「11位~50位」のゾーンで最も大きく順位を上げたのは津田塾大学(57位タイ→44位)で、「教育充実度」(20位タイ→15位タイ)、「教育成果」(74位タイ→50位タイ)、「国際性」(71位→49位タイ)それぞれの取り組みが成果につながりました。芝浦工業大学(44位→35位)も「国際性」(62位タイ→41位タイ)の上昇によってランクアップを果たしました。
 再びランキング対象となり50位までに入ったのは27位の熊本大学と38位の九州工業大学でした。熊本大学は4分野の順位が41位~62位というバランスの良さが強みで、九州工業大学は4分野の中で「教育充実度」(38位)の順位が最も高いです。
 早稲田大学は13位、慶應義塾大学は14位でそれぞれ前年の順位をキープ。早稲田大学は「国際性」の順位が19位タイと、2年前と同じポジションに戻しました。

 「51位~201+」のゾーンで大きく順位を上げたのは聖路加国際大学(92位タイ→62位タイ)で、「教育リソース」(38位タイ→35位)のランクアップが要因だ。
 初めてランクキングした帯広畜産大学は「教育リソース」と「教育成果」がいずれも52位タイで、京都府立医科大学は「教育リソース」が5位と突出しています。

 ※総合ランキング51位~201+、分野別ランキングの確認はランキングページ へ

私立の強みは「国際性」と「教育充実度」

 4分野それぞれについて、50位までに入った私立大学の数を見ると「教育リソース」14校、「教育充実度」24校、「教育成果」15校、「国際性」31校で、「国際性」と「教育充実度」が強みだとわかります。
 今回は特に「国際性」の順位が大きく上がった私立大学が目立ち、梅光学院大学(15位→5位)、創価大学(16→6位)、関西外国語大学(18位→10位)がこの分野でトップ10入りしました。ほかに恵泉女学園大学(42位タイ→25位)、桜美林大学(38位→28位)、東洋大学(47位タイ→31位)のランクアップも目を引きます。
 国立大学でも近年「国際性」分野の取り組みが進み、東北大学(46位→24位)に加え大阪大学(47位タイ→38位)、京都工芸繊維大学(51位→41位)などで成果が出ています。公立の福岡女子大学も13位→8位と5ランクアップしました。

ステークホルダーの声を反映したデータでIRを支援

 先ごろ文部科学省が示した「教学マネジメント指針」では、教学マネジメントを支える基盤としてIR体制確立の重要性が指摘されました。教学改革の方向性として打ち出されている「学修者本位の教育」への転換を図り改善のPDCAサイクルを確立するうえで、IRは欠かせないものになっています。客観的なデータに基づいて自学の強みと弱みを捉えなければ、強化・改善の戦略を立てられないからです。「THE世界大学ランキング日本版2020」は学生、高校、企業など、多様なステークホルダーの声を反映した教育力のデータを提供することによって大学のIRを支援します。

 THEとベネッセグループは今回の発表にあたって「各大学は順位の変動のみに着目するのではなく、自学の魅力や特性を客観的に把握するツールとしてランキングを活用し、大学改革につなげてほしい」とコメントしました。今後も大学関係者など多くの声を取り入れながら「THE世界大学ランキング日本版」をより良いものに育てていきたい考えです。