THE世界大学ランキング日本版2020でランクアップした大学
THE世界大学ランキング日本版2020年のランキングは、昨年からのランキング指標項目の変更はありませんでした。日本版ランキング2020の総合ランキングで100位までにランクインした大学のうち、2019年版のランキングと比べてランクアップ幅の大きい10校は、以下のとおりです。特に私立大学では、順位の変動が大きい傾向にあります。
日本版ランキング2020において大幅にランクアップした大学
THE世界大学ランキング日本版2020総合ランキングにおいて、特にランクアップ幅の大きい私立大学の聖路加国際大学、龍谷大学、桜美林大学の3大学の取り組みを紹介します。
■聖路加国際大学
聖路加国際大学は、日本版ランキング2019で92位タイに初ランクイン。日本版ランキング2020では、62位タイにランクアップしました。
分野別ランキングを見ると、「教育リソース」分野のランキングで35位と、上位にランクインしています。
聖路加国際大学は、少人数制による手厚い教育体制が特徴です。1学年100名の学生に対して、専任教員を70名配置しています。学生一人当たりの教員比率や、学生一人当たりの資金の高さなどが、教育リソース分野でのスコア獲得につながったと考えられます。
また、全国でも珍しく、公衆衛生上の諸問題を扱う公衆衛生大学院を設置しています。このようなニッチな分野の研究が、研究者からの評判につながったのではないでしょうか。実際に、文部科学省「令和元年度科学研究費助成事業の配分」の中で、新規採択率5位(私立大では全国2位)にランクインしています。
■龍谷大学
龍谷大学は、日本版ランキング2019では121-130位でした。日本版ランキング2020では、100位タイにランクアップしています。
分野別ランキングを見ると、「教育充実度」分野のランキングで79位タイと、上位にランクインしています。
龍谷大学では、大学教員の授業改善活動であるFD(ファカルティ・ディベロップメント)開発プロジェクトによる、教育改革の取り組みの多さが特徴的です。2018年度は、教養科目でのアクティブ・ラーニング導入法として、他大学の教員から実践的な導入法を学ぶプロジェクトが実施されました。プロジェクトでは、香川大学の講師を招き、大人数での講義のアクティブ・ラーニング導入について、学生の発言を促す方法など、実践的な教授法を研究しました。
また、龍谷大学では、グループワークや自習に使える学修スペース「ラーニングコモンズ」で、学生同士のレポートの作成支援や、外国人留学生による英語レッスンなどを行っています。
これらのような、学生の交流や協業学習の機会創出、授業・指導の充実、グローバル人材育成の重視などが、ランクアップに繋がったのではないでしょうか。
■桜美林大学
桜美林大学は、日本版ランキング2019では111-120位。日本版ランキング2020では、95位タイにランクアップしました。
分野別ランキングを見ると、「国際性」分野のランキングで28位と、上位にランクインしています。
桜美林大学は、2020年2月1日現在、34の国と地域に190以上の提携機関を持ち、学生の目的や行きたい期間などに合わせた豊富な留学プログラムを実施しています。
キャンパス内でも、積極的なグローバル教育が行われています。桜美林大学では、日本語、英語だけでなく、中国語での講義も行われ、日本人学生も受講することが可能です。さらに、English Language Program(ELP)の授業では、学生同士の会話も英語で行うルールのもと、英語4技能を伸ばします。
さらに、桜美林大学の国際センターでは、さまざまな国際交流活動を行っています。特徴的な取り組みでは、国際センター公認の学生団体によるイベントの企画・運営があります。学生団体の一つである「世界の友達」には、外国人留学生だけではなく、外国にルーツを持つ日本人学生も参加し、学生目線で世界の言語や文化を発信しています。
このようなグローバル教育の取り組みが、「国際性」分野での高い順位につながったのではないでしょうか。
THE世界大学ランキング日本版の公式サイトでは、過去2回分(2018年版、2019年版)のランキング結果も見ることができます。これまでのランキングと最新のランキングの順位やスコアを比べてみると、新しい発見があるかもしれません。