THE世界大学ランキング日本版2020でエリアごとのランキングがわかる
日本版ランキングのサイトでは、北海道・東北、北関東・甲信越、首都圏、北陸・東海、近畿、中国・四国、九州・沖縄の7エリア別にランキングを見ることができます。
西日本にキャンパスを構える大学のうち、総合ランキングにランクインしている私立大学77校について、分野別のランクイン状況や特徴を探ります。
「教育リソース」分野のランキング上位校は?
西日本の大学のうち、教育リソース分野にランクインした私立大学は37校です。
1位の兵庫医科大学の取り組みを見てみましょう。
兵庫医科大学は、「社会の福祉への奉仕」「人間への深い愛」「人間への幅の広い科学的理解」の3つを建学の精神とし、1972年に創設された大学です。
珍しい研究分野として、「Hyogo Innovative Challenge」事業が挙げられます。これは、全学横断的なプロジェクト研究事業で、脳内のストレスからくる疾患を、代謝異常、がん、精神・神経疾患、アレルギー疾患などさまざまな面から総合的に研究する取り組みです。兵庫医科大学の複数の学問分野から研究者が参加しています。2019年度には、筋肉量や機能の低下である「サルコペニア」が、うつ症状に強く関わっているといった発見がありました。
また、兵庫医科大学は環境省による「エコチル調査」における全国15か所のユニットセンターの一つとして選定されています。エコチル調査は、子どもたちの身の回りにある化学物質が健康にもたらす影響を調べるものです。兵庫医科大学では、約250人の継続的な調査や、関連イベントを行っています。
「教育充実度」分野のランキング上位校は?
西日本の大学のうち、教育充実度分野にランクインした私立大学は45校です。
工業大学で最も順位の高い金沢工業大学の取り組みを見てみましょう。
金沢工業大学では、「自ら考え行動する技術者の育成」を目指した教育を行っています。
特徴的な教育プログラムとして「プロジェクトデザイン教育」が挙げられます。これは、問題発見から解決に至る過程・方法をチームで実践しながら学ぶプログラムです。1年次に実験・想像のプロセスをじっくりと学び、2年次から専門に関連するテーマや実践課題に取り組むため、学生たちは基礎を身に付けたうえで、専門的な課題により深くアプローチすることができます。
学生が主体となって一連のものづくりを行う「夢考房プロジェクト」も特徴的です。学生グループが立案・調査・設計・製作・分析・評価というものづくりの一部始終を体験。プロジェクト進行に必要なスケジュール管理、予算管理、組織運営を学ぶ機会にもなっています。必要な機材や部品は「夢考房」施設内で購入できます。
学生の能力向上を図る取り組みとしては「KITポートフォリオシステム」があります。KITポートフォリオシステムとは、学生たちが自己実現の目標を達成できるように、修学・キャリアの両面で目標に向けた取り組みを管理するためのシステムです。学生は、1週間単位、学期単位で目標の達成度を確認し、「目標設定→活動→自己評価→改善」というPDCAサイクルを用いて、自己実現を目指します。
「教育成果」分野のランキング上位校は?
西日本の大学のうち、教育成果分野にランクインした私立大学は47校です。
ここでは、THE世界大学ランキング日本版の「教育成果」分野のランキングに4年連続でランクインしている京都産業大学の取り組みを見てみましょう。
京都産業大学では、就職を「自己実現のファーストステップ」ととらえ、学生が進路を決めるための目的意識や価値観の醸成を重視しています。キャリア教育では、社会を生き抜く「根幹的な実力」の育成を目指し、約60名の就職およびキャリア担当職員が学生をサポートします。
知名度の高い取り組みに、大学での学びと社会での実践を段階的に積み上げていく「O/OCF (オン/オフ・キャンパスフュージョン)」という「コーオプ教育」があります。コーオプ教育とは、教育目標や活動内容、指導方法を企業と大学が共同で開発する就業体験で、特に、大学が主導するものを指します。これにより、学生の成長や社会人になるためのスキル獲得に重点を置いた体験学修が可能になります。
さらに、京都産業大学では、キャリア教育の研究・開発を積極的に行っています。2019年度には、インターンシップの職場環境や問題解決型授業が学生の活動にどうかかわるかについてなどの研究がまとめられました。
「国際性」分野のランキング上位校は?
西日本の大学のうち、国際性分野にランクインした私立大学は52校です。
2019年のランキングと比べて「国際性」のスコアを大きく伸ばした梅光学院大学の取り組みを見てみましょう。
梅光学院大学は、1872年から始まる長い歴史のある大学です。
梅光学院大学では、留学制度が充実し、高い留学率を誇ることに加え、国内およびキャンパス内でのグローバル教育の取り組みが充実しています。ネイティブスピーカー教員による授業、習熟度別の少人数クラスによる週4日の集中英語プログラム、教員によるチューター制度や職員によるサポート体制など、学生が外国語学習に取り組める機会や制度が数多くあります。
さらに、「英語コミュニケーション専攻」「国際ビジネスコミュニケーション専攻」「東アジア言語文化専攻(中国語・韓国語)」という3つの専攻があり、学生が外国語の習得に本気で取り組めます。実際に、梅光学院大学では、英語だけでなく中国語や韓国語の語学のスキルを保持していることを証明できるような民間団体が行う資格試験においても高い得点得ている学生がいます。ビジネスでも通用する中国語検定5~6級や、韓国語能力試験6級合格の資格を得て卒業する学生もいます。