「教育成果」はどれだけ卒業生の活躍が期待できるかを指標化したもの

 THE世界大学ランキング日本版2020のランキング指標は、「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野で構成されています。このうち、ランキング指標全体の16%を占める「教育成果」分野の指標は、ランクイン大学について「どれだけ卒業生の活躍が期待できるか」を表すものです。
 「教育成果」分野の指標は、「企業人事の評判調査」「研究者の評判調査」の2項目から構成され、それぞれ8%としてランキング全体の指標に反映されています。企業への就職だけでなく、研究の分野においても卒業生の活躍度合いが考慮されています。

「教育成果」分野のスコアが高い大学は、企業や研究者から見てよい取り組みを行っている

 各指標項目が持つ意味について紹介しましょう。

「企業人事の評判調査」
 企業の人事担当者から見た大学のイメージ調査をスコア化したものです。
 THE世界大学ランキング日本版2020では、株式会社日経HRによる「企業の人事担当者から見た大学のイメージ調査」の結果から、2019年、2018年の2年分のデータを合わせて使用。全上場企業(ジャスダック等新興市場含む、外国会社は除く)と一部有力未上場企業社の人事担当者を対象とした調査で、過去2年間で新卒社員として採用実績のある大学を多い順に10校まで挙げてもらい、「学生のイメージ」と「大学の取り組みのイメージ」を聞いています。
 さまざまな業界の企業に調査を行っているため、この項目からは、卒業生の企業での活躍を多面的に知ることができるといえます。

「研究者の評判調査」
 研究者の評判調査は、イギリスの高等教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」による、高等教育機関研究者の評判調査をスコア化したものです。
 THEが発表する世界大学ランキングにおいて、世界の高等教育機関研究者を対象に「教育力の高い大学」「世界で素晴らしい教育をしていると思う大学」を調査した結果がスコア化されています。このうち、日本の高等教育機関研究者の回答を抽出したものが、日本版のランキングの「教育成果」のスコアに使用されています。
 THE世界大学ランキング日本版2020のスコアの基になっているデータは、2018年と2019年の2か年分です。

これからの企業で活躍する人材育成のための「教育成果」とは何か

 THE世界大学ランキング日本版では、株式会社ベネッセi-キャリア取締役の大竹航さんにインタビューを行い、現在の日本企業の採用活動や、これからの企業で必要とされる人材像について聞きました。
 大竹さんによると、日本企業の新卒採用市場では、いまだに「難関大学、有名大学の学生である」という学歴が重視される傾向があります。
 しかし、現在の採用市場には変化が訪れつつあるといいます。それは、海外のように「ジョブ型採用」が増えていることです。「ジョブ型採用」とは、職務に必要とされている知識やスキルを基準とし、その知識やスキルを持つ人材を募集、採用することです。
 THE世界大学ランキング日本版2020の「教育成果」分野のランキングは、必ずしも企業の人事が参考にする資料というわけではありません。しかし、「教育成果」に注目することにより、学生が大学の4年間でどのような教育を受け、成長したのかという視点を持つことができます。このことが、日本企業の新しい採用を形作るためのきっかけとなるのではないでしょうか。
 より詳しいインタビューの内容は、記事下の関連リンクをご覧ください。

 THE世界大学ランキング日本版2020のWebサイトでは、総合ランキングだけではなく、4つの分野別ランキングも調べることができます。 「教育成果」分野のランキングに関心を持った方は、記事下の関連リンクからご覧ください。