「SDG11 住み続けられるまちづくりを」で日本の大学が躍進

 イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)」は、2020年4月、THE大学インパクトランキング2020を発表しました。このランキングは、大学の社会貢献の取り組みを国連のSDGs(エスディジーズ、持続可能な開発目標)の枠組みを使って可視化するランキングです。
 また、THEのWebサイトでは、THE大学インパクトランキング2020の総合ランキングのほか、SDG別のランキングも発表されています。
 特に、「SDG11 住み続けられるまちづくりを」には、多くの日本の大学がランクインしました。
 大学による、持続可能な都市やコミュニティに関する研究成果、芸術や遺跡への支援など社会貢献の実践を基準としてTHEがランク付けをしています。また、取り組みには、より安全で快適な通勤・通学方法を目指すことや、学生に住居を提供することなども含まれています。
 そこで、「SDG11 住み続けられるまちづくりを」にランクインした特徴的な日本の私立大学をピックアップし、取り組みを紹介します。

「SDG11 住み続けられるまちづくりを」にランクインした私立大学①早稲田大学

 早稲田大学は、「SDG11 住み続けられるまちづくりを」で88位にランクインしました。

 早稲田大学の建築やまちづくりについての取り組みを紹介します。
 早稲田大学の創造理工学部では、人間やコミュニティと密接な関係のある建築・エンジニアリング系の研究者と、環境や社会基盤に関連する5つの学科が連携し、教育・研究活動を展開しています。
 特に、社会環境工学科では、安全で文化的な生活を送るために必要な社会基盤の整備、自然と協調した生活の実現を、技術者倫理に基づいて実践する専門家の育成を目指しています。また、環境資源工学科では、学生は、資源利用・循環に関わる技術を持続可能とし、自然環境と調和した豊かな生活を送るために必要な問題解決能力を身に付けることができます。
 他学部でも、社会やまちづくりの教育・研究が行われています。社会科学部では、自然科学分野において、都市デザインやコミュニティ開発、市民参加などのテーマを学ぶことができます。人間科学部では、社会系の科目で地域社会や都市化について扱うほか、心理・行動系の科目で家や街、地域コミュニティなどについて学べます。
 そのほかにも、早稲田大学は、さまざまな博物館・文化施設を有しており、坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館、歴史館、演劇博物館、資料センターなど、幅広い分野で、学生や地域の人々に学びの機会を提供しています。

「SDG11 住み続けられるまちづくりを」にランクインした私立大学②立命館大学

 立命館大学は、「SDG11 住み続けられるまちづくりを」で101-200位にランクインしました。

 立命館大学の建築やまちづくりについての取り組みを紹介します。
 理工学部環境都市工学科では、安全・安心で文化的な生活、快適で持続可能な社会を創造することを目指しています。設定された課題に対してグループワークに取り組む演習や、実際の街を舞台にしたまちづくりプログラムが行われていることが特徴です。
 政策科学部では、ソフト面でのまちづくりを教育・研究しています。景観、文化財の防災、商店街、セーフ・コミュニティ、高齢化社会などについて学ぶことができます。
 まちづくりに関しては、産業社会学部現代社会専攻でも触れられます。「環境社会」分野の科目において、住環境デザインや景観デザイン、都市政策論などを扱っています。
 立命館大学国際平和ミュージアムは2005年にリニューアル・オープンし、新たに「平和をもとめて」をテーマに第2展示室が設けられました。一般開放されているので、戦争と平和や、貧困、環境問題といったテーマに関する展示を閲覧することができます。

「SDG11 住み続けられるまちづくりを」にランクインした私立大学③中央大学

 中央大学は、「SDG11 住み続けられるまちづくりを」で201-300位にランクインしました。

 中央大学の建築やまちづくりについての取り組みを紹介します。
 中央大学の理工学部都市環境学科では、防災、環境問題、空間デザインなどから都市を考える教育・研究を行っています。環境や施設のデザインを学ぶ「環境クリエイター」コース、まちづくりのために必要な法律・行政・財政などを学ぶ「都市プランナー」コースがあり、安全・利便・快適で品格のある都市の生活環境を実現する技術者を育成します。
 また、人間総合理工学科では、都市緑化や、里山など、住環境についての教育・研究を行っています。「人間」をテーマにした理工学を学ぶ人間総合理工学科では、特に「人と生活環境」分野の科目で、都市緑化ランドスケープデザイン、震災復興グランドデザイン、生物多様性の保全と再生などを扱っています。