THE世界大学ランキングと日本版ランキングの違いは?
THE世界大学ランキング2021(以下、世界ランキング2021)は、イギリスの高等教育専門誌Times Higher Education(以下、THE)が発表している93の国と地域の大学が参加するランキングです。一方、THE世界大学ランキング日本版2021(以下、日本版ランキング2021)は、日本国内の大学が参加するランキングです。
世界ランキング2022が主に大学院の「研究力」を重視しているのに対し、日本版ランキング2021は主に大学の「教育力」を重視しています。このように、2つのランキングは指標が異なります。
この記事では、世界ランキング2022と日本版ランキング2021の両方にランクインした大学のうち、医療系大学の工学分野をかけ合わせた取り組みを紹介します。
医療系大学×工学の事例①藤田医科大学
藤田医科大学は、THE世界大学ランキング日本版2021で151-200 位、THE世界大学ランキング2022で801–1000位にランクインした大学です。
藤田医科大学は、 医療ロボット・AIの実践を行っていることで知られています。中でも全国に先駆けて導入されたのが、手術支援ロボット「ダビンチ」です。藤田医科大学の公式サイトでは、ダビンチについて「全国に先駆けてダビンチを導入した本学第1教育病院は、国内最多レベルの手術実績を誇ります。頭頸部外科領域での手術が可能になったため、全領域でのロボット支援手術を本学で実施できる環境が整いました。総合消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、泌尿器科、産婦人科、耳鼻咽喉科のロボット使用可能全領域で手術を行えるのは、日本で本学のみです。」*と紹介されています。
ほかにも、自動調剤ロボットや、リハビリテーションロボットなど、さまざまなロボットが医療の現場で役立っています。
自動調剤ロボットは、「薬の取り出しや加工作業の一部を調剤ロボットによって自動化し、棚から錠剤を必要な量だけ取り出し、患者さんごとのトレーに入れる仕組み」*となっています。自動調剤ロボットの導入は、「スピードの改善はもちろん、取り違えなどのミスを減らすことにもつながりました。調剤ロボットで減らした時間は、服薬指導などの患者さん対応に充てていきます。」*このように、医学と工学が密接に結びついているのが、藤田医科大学の特徴です。
※医療ロボット・AIの実践(https://www.fujita-hu.ac.jp/robot_ai.html) より抜粋・引用
医療系大学×工学の事例②東京慈恵会医科大学
東京慈恵会医科大学は、THE世界大学ランキング日本版2021で131-140 位、THE世界大学ランキング2022で801–1000位にランクインした大学です。医用エンジニアリング研究部、人工知能医学研究部をはじめ、多くの研究部門があり、さまざまな研究を行っています。
例えば、大腸がん死亡率の低下をめざし、大腸内視鏡病変検出・鑑別診断サポートを行うAIを開発した事例があります。東京慈恵会医科大学の内視鏡医学講座は、「米国消化器内視鏡学会(ASGE)、 欧州消化器内視鏡学会(ESGE)の関連施設となっており、米国Mayo Clinicをはじめとする海外施設との共同研究や交換留学を行っています。研究や日々の臨床から新たに得られた知見は、国内外の学会やアカデミックジャーナルにおいて数多く発表され、産学医工連携による新しい医療機器開発にも積極的に取り組んでいます。」*と紹介されています。
ほかにも、医用バーチャルリアリティ(VR)技術の活用などを目指す、科学研究センター高次元医用画像工学研究所や、医学におけるディープラーニングの活用を研究する人工知能医学研究部など、さまざまな研究室で工学との高度な連携による研究が進められています。
※東京慈恵会医科大学の内視鏡医学講座(http://www.jikei-endoscopy.com/index.php)より抜粋・引用
医療系大学×工学の事例③順天堂大学
順天堂大学は、THE世界大学ランキング日本版2021で74位、THE世界大学ランキング2022で801–1000位にランクインした大学です。
順天堂大学は、ロコモティブシンドローム研究に力を入れています。「病気や加齢に伴い、移動能力が低下する「ロコモティブシンドローム」(以下、ロコモ)は、メタボ症候群の悪化やサルコペニア(加齢性筋萎縮)を経て発症し、認知機能低下とともに、負の連関のもと、寝たきり、要介護状態に至る主因」*と言われています。
こうした事態を防ぐために、順天堂大学では、調査・予防を行う「ロコモ検知アプリ」の開発を行っています。このアプリを用いれば、「利用者が自身のデータを送信し、運動状況やロコモ度を把握」*することができるといわれています。
そのほかにも、順天堂大学では、アプリを使用した多様な臨床研究を行っています。例えば、コンタクトレンズを研究テーマとした「コンタクトダイアリー」というアプリは、「アプリケーションを通じて収集した情報から、コンタクトレンズ装用による眼不快感の症状の見える化と不快感の原因分析を行うことを目的として開発されています。」*と紹介されています。
THE世界大学ランキング2022が2021年9月2日(日本時間)に発表されました。
どのような顔ぶれの大学がランクインしているか、ぜひ関連リンクも併せてご覧ください。
※順天堂大学成果報告(https://www.juntendo.ac.jp/coi-s/report/)より抜粋・引用