日本の上位3校が順位アップ、トップ10に日本の大学が2校
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は6月2日、9回目となる「THEアジア大学ランキング2021」を発表しました。トップは3年連続の清華大学で、北京大学が2位を維持、今回も中国の大学がトップ2の座を占めました。東京大学は前年から順位を1つ上げて6位、京都大学も2つ上げて10位で初のトップ10入りを果たしました。トップ10に日本の大学が2校入るのは、2016年に現在のランキング方式になってから初めてです。3ランクアップで27位の東北大学を含め、日本の上位3校がそろって順位を上げました。
新規参加72校のうち10校がトップ200入り
「THEアジア大学ランキング2021」は「THE世界大学ランキング2021」と同じデータを使い、指標の比重を一部変えてランクづけしています。「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5分野のうち、「教育」の比重は世界ランキング30%でアジアランキング25%、「産業界からの収入」の比重は世界ランキング2.5%でアジアランキング7.5%です。これにより、相対的な順位が世界ランキングとは一部、異なっています。
今回は30の国と地域から前年より62校多い551大学が参加しました。参加校が最も多いのは日本で6校増の116校です。次いで中国が10校増の91校です。
清華大学、北京大学に次ぐ3位はシンガポール国立大学で、4位の香港大学までは前回と同じ順位となりました。5位は前回から1ランクアップのシンガポール南洋理工大学です。前回5位の香港科技大学は8位でした。
トップ20のランクイン校数は中国7、韓国・香港が各4、シンガポール・日本が各2、そして前年ゼロの台湾が1です。
トップ100までを見ると、中国は過去最多の31校がランクインし、そのうち26校が順位を上げるか維持しています。次にランクイン校数が多いのは韓国で12校、日本は11校で3番目でした。
今回、新たに参加したのは72校で、そのうち10校がトップ200入りを果たしました。新規参加校中、最上位はイランのクルディスタン医科大学で45位、次いで中国の浙江師範大学が89位にランクインしています。
昨年ランクインした日本の大学110校中、8校は順位が上昇
日本からは、過去最多となる116校が参加。そのうち6校が新規参加でした。
トップ100に入ったのは東京大学、京都大学、東北大学を含む11校で、東京工業大学(48位)、名古屋大学(52位)、大阪大学(63位)など。私立大学では産業医科大学の66位が最上位でした。昨年ランクインした110大学のうち順位を上げたのは8校で、会津大学は前年の190位から一挙に38ランクアップして152位でした。
そのほか、36校は同順位を維持しましたが、66校もが順位を落としました。THEはこの状況について「日本はトップ100の大学が3番目に多いが、その地位を維持するのに苦戦を強いられている」と評しています。
THEチーフ・ナレッジ・オフィサーのフィル・ベイティ氏は「日本の大学については、10兆円規模の大学研究基金設立という素晴らしいニュースやコロナ禍後の変化にどう適応するかなど、今後の動向から目が離せない。学生や教職員の国際的な流れが滞る中、日本の大学にとっては、国外から学生や教職員をより多く確保できるチャンスかもしれない」とコメントしました。
アジアサミットは来年、あらためて藤田医科大学で開催
今回のランキングは、藤田医科大学(愛知県豊明市)がホストを務めるアジアサミットで発表されました。日本初開催のサミットとしてアジア各国の大学トップが一堂に会する予定でしたが、コロナ禍のためオンラインでの開催になりました。
2022年はあらためて同大学を会場として、対面とオンラインを併用したハイブリッド方式で開かれる予定です。