「THE世界大学ランキング日本版2021」に新しくランクインした国公立大学4校

 イギリスの高等教育専門誌Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)は、2021年3月25日に、「THE世界大学ランキング日本版2021」を発表しました。
 昨年ランクインしていない大学から、新しく4校の国公立大学が200位以内にランクインしました。79位に青森県の弘前大学、141~150位に和歌山県の和歌山大学がランクイン。151~200位以内には、沖縄県の名桜大学と、山口県の下関市立大学がランクインしました。
 今回は、150位以内に入った弘前大学と和歌山大学について、それぞれの特色や取り組みについて紹介していきます。

新しくランクインした国公立大学①弘前大学

 弘前大学は、初ランクインにして総合順位79位を獲得。分野別ランキングでも、教育リソース(分野別66位)と、教育充実度(分野別60位)でTOP100にランクインしています。
 弘前大学は1949年に設置されましたが、母体である5つの学校の起源まで遡ると、100年以上の伝統があります。また、新八医大(新八医科大学の略。1946-1948年に設立された、8つの国立医科大学のこと)のひとつであり、医学系の研究に力を入れている大学です。さらに、“世界に発信し、地域と共に創造する”というスローガンに基づき、グローバル化や地域連携・地域貢献を重要視しています。
 具体的な取り組みとして、「再生可能エネルギー、環境、被ばく医療、食の4テーマを大学の重点分野に位置付け、教育研究と地域連携を実施していること」が挙げられます。SDGsにも力を入れ、各学科で17の目標に向けた研究が進められています。
 これらの研究は、弘前大学研究・イノベーション推進機構を中心に進められています。同機構は、競争的資金獲得の支援、研究プロジェクトの支援、産学連携促進、大学成果の社会実装の業務を行っています。
 また、学生向けのさまざまな修学支援が行われているのも、弘前大学の特色です。各種相談に応じる「なんでも相談コーナー」「学生総合相談室」が設置され、学生は、メンタルヘルスの相談ができるカウンセラー、修学上の悩みを相談できるコーディネーターなど、分野ごとの専門家によるサポートが受けられます。
 さらに、「学生担任制度」を設け、教師と学生同士の交流の場も確保しています。学長が学生から直接意見や相談を受ける「学長オフィスアワー」の整備、「学長直言箱」の設置という制度もあり、学生が学校生活を送りやすい環境づくりがなされています。

新しくランクインした国公立大学②和歌山大学

 総合順位141~150位にランクインし、特に教育成果(分野別111位)の順位が高かった、和歌山大学について紹介します。
 和歌山大学は、和歌山県師範学校、和歌山青年師範学校、および和歌山高等商業学校をルーツとする和歌山経済専門学校を包括し、1949年(昭和24年)に設置された大学です。
 深く専門の学芸を研究すると同時に、一つの専門性に偏らない、各分野を横断した専門教育によって、創造性と応用力に富んだ人材を育成するという目標があります。歴史ある教育学部、経済学部に加え、国立大学法人として初めて設置された観光学部、多角的な産業技術を学ぶシステム工学部の全4学部からなり、どの学部も複数の領域を横断し、発展的な知識を修得する点が共通しています。
 学生に対する就職支援も充実しています。キャリアセンターでは、就職活動のサポートのほか、「実践的キャリア教育」を推進しています。特に、PBL(Project-based learning:プロジェクト型学習、もしくはProblem-based learning:課題解決型学習)と呼ばれる、チームで課題に取り組むプログラムと、「コーオプ型インターンシップ」という、大学主導による、学生の専門分野に関連した企業インターンシップを行っていることが大きな特色です 。