中国は前年の清華大学に加え北京大学も初のトップ20入り
オックスフォード大学は今回も、「THE世界大学ランキング」における盤石の強さを示しました。前年2位のスタンフォード大学は4位に下がり、前年3位のハーバード大学と、前年4位のカリフォルニア工科大学が2位タイに。トップ10は前年と同じ顔ぶれで、アメリカ合衆国の8大学とイギリスの2大学。どの大学も2ランク以内の順位変動にとどまりました。
今回、ランキング対象になったのは、99の国・地域の1662校。前年から136増えて過去最多となりました。国・地域別では今回もアメリカが最多で183校、これに日本の118校、イギリス101校、中国97校、インド71校と続きます。
中国は、前年20位タイの清華大学と前年23位の北京大学が、そろって16位にランクアップ。前年、清華大学が「中国勢初のトップ20入り」を果たしたのに続き、「中国から2大学がトップ20入り」と躍進しました。また、武漢大学(157位)、南方科技大学(162位)、華中科技大学(181位)がそれぞれトップ200に入り、中国からのトップ200入りは過去最多の10大学と、2ケタになりました。
シンガポール国立大学は前年の25位から21位タイ、香港大学は前年の39位から30位タイ、ソウル大学は前年の60位から54位タイといずれもランクアップし、それぞれの国・地域における過去最高位を獲得。香港は、前年から38ランクアップで91位になった香港理工大学を含め、過去最多の4大学がトップ100入りを果たしました。
アメリカ合衆国はランキング対象校やトップ10の数で依然、確固たる地位を占めていますが、アジア各国の台頭を受け、上位大学の順位は徐々に下がってきています。トップ50に入った23大学のうち、前年から順位を上げたのは4大学で、11大学は順位を下げました。
SGU事業が採択校以外にも波及効果
日本のランキング対象118校の設置形態別の内訳は、国立57校、公立12校、私立49校です。
前年から1ランクアップして過去最高位となった35位タイの東京大学、前年から7ランクダウンで61位の京都大学、前年と同じ201–250位の東北大学が国内トップ3です。これらに次ぐ、国内4位タイの大阪大学は351–400位から301–350位に上がりました。
横浜市立大学は被引用論文数の増加によって、前年の601-800位から401–500位に大幅に上がって初のトップ500入りを果たしました。国内では7位タイで、公立のトップに立っています。
私立トップは前年と同じ産業医科大学で、前年の351-400位から401–500位、国内では横浜市立大学と同じ7位タイでした。
ランキングデータをTHEが分析したところ、現在の指標が導入された2016年以降、7回のランキングで、日本の大学は「外国籍留学生の割合」「外国籍教員の割合」「国際共同研究」の指標がある「国際性」分野のスコアが大きく上昇しているとのことです。
THEは、これを文部科学省の「スーパーグローバル大学創生支援事業」の効果ではないかと説明しています。同事業で採択され、支援を受けている各大学の「国際性」スコアの伸びは、タイプA(トップ型、13大学)が12ポイント以上、タイプB(グローバル化牽引型、24大学)が14ポイント以上でした。採択校以外のスコアが平均5ポイント上昇しているのも、事業の波及効果との見方を示しています。
THEは「日本が依然、世界有数の研究型大学を有していることは明らかで、スーパーグローバル大学創生支援事業の成果が示すように、明確な戦略の下で投資を行えば、今後何年にもわたりトップレベルの地位を確保できるはずだ」とコメントしています。
5分野13指標でスコアを算出
「THE世界大学ランキング2022」は基本的に前年と同じ指標を用い、教育、研究、被引用論文、国際性、産業界からの収入の5つの分野について、13の指標で各大学のスコアを算出しています。
各分野・指標の比重は以下のとおりです。
◇教育(教育環境) 30%
・評判調査<教育> 15%
・学生に対する教員比率 4.5%
・学士課程学生に対する博士課程学生比率 2.25%
・教員に対する博士号取得者比率 6%
・大学の総収入 2.25%
◇研究(量、収入、評判) 30%
・評判調査<研究> 18%
・研究関連収入 6%
・学術生産性 6%
◇被引用論文(研究影響力) 30%
◇国際性(教員、学生、研究) 7.5%
・外国籍留学生の割合 2.5%
・外国籍教員の割合 2.5%
・国際共同研究 2.5%
◇産業界からの収入(知の移転)2.5%