オンライン留学の仕組み・体制、メリットなど、基本情報を紹介
コロナ禍において海外留学の実施が難しい中、注目が集まっているのがオンライン留学です。
ICCコンサルタンツが2020年に実施した「新型コロナウイルスによる留学への意識変化に関する調査」の結果からは、コロナ禍でオンライン留学へのニーズが高まっていることがわかります。
しかし、オンライン留学が一般的になったのは、コロナ禍以降のことです。まだ「オンラインで具体的に何ができるのか、どのようなメリットがあるのかわからない」という人もいるでしょう。そこで、今回はオンライン留学の基本情報や具体的な事例を解説します。
オンライン留学とは、ライブで他国とつながり、協働学習を行ったり、異国の文化に触れたりするプログラムのことです。コロナ禍における海外留学の代替とされています。
海外の学生とのコミュニケーションを重視するものや、現地の授業をそのまま受講できるものなど形はさまざまですが、日本にいながら他国との交流ができたり、留学へのコストが削減できたりするのは、オンライン留学の大きなメリットです。実際に海外に行くとなると、ビザの取得や現地での住居探しなど、多くの労力が必要になります。もちろん、国の情勢や、感染症の拡大状況なども考慮する必要があります。オンライン留学なら、そういった手間を省くことが可能です。
実際にオンライン留学を行っている名古屋商科大学と麗澤大学の具体的な内容について見てみましょう。この2大学は、学生と教員に占める外国人の比率や、日本人学生の留学比率などを総合してランク付けされるTHE世界大学ランキング日本版2021の「国際性」分野において、それぞれ10位台にランクインしている大学です。
今後も、海外渡航が容易でない状況が続くと予想されるので、オンライン留学を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
オンライン留学を行っている大学の取り組み①名古屋商科大学
名古屋商科大学は、国際認証の世界的権威である、「AACSB International」からの認証を取得している大学です。この国際認証は教育の品質を保証するもので、世界のトップ5%の大学しか取得できないといわれています。
さらに、大学教育・研究の質の維持や向上を目的とする「大学基準協会(JUAA)」にも加盟し、国際的に通用する、質の高い教育を提供している大学です。2021年の「国際性」分野ランキングでは、東海北陸地区で第1位、全体16位、スコアは85.9でした。
名古屋商科大学では、2020年度からライブバーチャル形式のさまざまな海外留学プログラムを実施しています。そのひとつに、提携校が春期休暇中に実施する「Live Virtual Language Program」という短期留学プログラムがあります。このプログラムは、3~6週間の期間で語学力の向上を目指すものです。全学部生を対象に、英語、韓国語、中国語を学修する機会が提供されます。英語はカナダのMcGill University School of Continuing Studies、韓国語は韓国の延世大学 韓国語学堂、中国語は台湾のNational Taiwan University Plus Academyの授業を通して学ぶことができます。
授業では、海外から参加する多国籍の学生とともに、グループワークを通してプレゼンテーションやディスカッションなどを行います。さらに、授業外でも、ライブビデオで現地の街並みを見たり、ミュージアムを観光したりするなど、各国の文化を体験することが可能です。このように、語学力の向上だけでなく、現地の学生との交流や文化体験もできることが、このプログラムの大きな特徴です。
さらに、名古屋商科大学は英語力を段階的に上げる特別カリキュラムにより、TOEICやTOEFLの試験を受験料免除で実施するなど、学生の英語力向上にも力を入れています。日本にいながら、本気で英語力を伸ばしたいと考えている学生にはおすすめの大学です。
オンライン留学を行っている大学の取り組み②麗澤大学
1981年に留学派遣を開始し、約40年にわたる留学の伝統と実績を持つ麗澤大学は、2021年の「国際性」分野ランキングで、全体18位、スコアは85.4でした。
新型コロナウイルスの影響で、2020年3月から海外短期研修・長期海外留学の派遣は中止していますが、2019年から実施されている海外提携校との協働授業「COIL(Collaborative Online International Learning)」では、オンラインを用いて海外の学生とチームを組み、共通の課題に取り組みます。例えば、ドイツの提携校であるマールブルク大学とのCOILでは、ドイツ語・ドイツ文化専攻の学生が、マールブルク大学の生徒からドイツの文化を学んだり、一緒にグループを作って課題に取り組んだりするなど、コミュニケーション能力を伸ばしながら、言語の背景にある文化を学ぶことができるプログラムが実施されました。
2021年には、海外提携校との「春休みオンライン留学プログラム」や「2021夏休みONLINE留学・研修プログラム」を実施しました。このプログラムには、他国の留学生と一緒にレベル別の授業を受けるものや、マンツーマン授業でじっくりと学ぶことのできるものなど、さまざまな形式があり、個人の目標や学びたい分野に合ったプログラムを受講することができます。
麗澤大学は、オンライン留学のプログラムが充実していることに加えて、再び海外への渡航が可能になった後にも、手厚いサポートがあります。返還義務のない独自留学奨学金が用意されているほか、教職員が留学先と直接やりとりし、留学にかかるコストを削減しています。留学を経験した先輩たちが、これから留学する後輩たちの不安や疑問に寄り添う留学アドバイザーRESA(Reitaku University Exchange Program Student Advisers)としてサポートしてくれるシステムもあります。
在学中に海外の言語を学びたい、文化に触れたいという強い思いがある人には、適している環境といえます。