SDGsの目標3とは?

 SDGsの目標の中には、地域医療や福祉に関連する目標3「すべての人に健康と福祉を」があります。2017年世界銀行とWHOが発表した報告によると、世界人口の約半分が、基礎的な保健医療サービス(健康診断・予防接種・病気や怪我の治療・性教育・家族計画)を受けられていない現状があり、問題視されています。
 今回は、THEインパクトランキング2022の目標3分野でランクインした大学の中から、目標3の課題解決のために、地域医療・福祉の充実につながる研究や取り組みを行う大学を3校ご紹介します。

名古屋市立大学の取り組み

 名古屋市立大学は愛知県名古屋市にある公立大学です。THE 日本大学ランキング2022での総合ランキングは61位で、THEインパクトランキング2022の目標3分野では21位でした。
 名古屋市立大学は、大学が有する教育・研究・医療の成果などの資源を活用し、SDGsを達成することを目的として、令和3年にSDGsセンターを設立しています。目標3に関する取り組みとしては、2021年10月に「新型コロナウイルス対応の最前線を体験する講座」が開催されたことが挙げられます。この講座には、名古屋市立大学の学生はもちろん、他大学の医学生・看護学生も参加。学生は発熱外来やコロナ病棟を見学し、実際に地域で行われている治療の現場を体験しました。
 また、医学系学部(医学部・薬学部・看護学部)1年生が合同で実施する地域参加型学習も、目標3に関連する取り組みの一つです。2019年9月には、学生がこの学習の一環として名古屋市主催の結核相談会へ参加し、来場者の受付、誘導、声かけなどを行い、健康に不安を抱える地域の人々への接遇について学びました。
 このように、名古屋市立大学には、学生が地域医療に直接かかわる環境が整っています。

獨協医科大学の取り組み

 獨協医科大学は栃木県にある私立大学です。THE 日本大学ランキング2022 での総合ランキングは151-200位、THEインパクトランキング2022の目標3分野では27位でした。
獨協医科大学では、地域医療に関する研究や取り組みを行っています。
 地域医療に関する具体的な授業には、医学部医学科で実施される「コミュニティーヘルスインターンシップ(地域医療早期体験実習)」が挙げられます。学生は獨協医科大学病院をはじめ、地域における社会福祉施設、地域病院、特別支援学校などの現場に赴き、実際に地域の人々とかかわりながら医療について学びます。
 また、獨協医科大学では、地域住民に対しても生涯学習 の場を提供しており、1991年度より栃木県壬生町、宇都宮市、小山市、日光市及び埼玉県越谷市において、日常生活に役立つ医学・医療に関する公開講座を実施しています。
 このように、さまざまな角度から地域医療へ貢献していることが、獨協医科大学の特色といえます。

徳島大学の取り組み

 徳島大学は徳島県にある国立大学です。THE 日本大学ランキング2022 での総合ランキングは97位で、THEインパクトランキング2022の目標3分野では34位タイでした。
 徳島大学は、SDGs推進委員会を設置し、豊かで健全な未来社会の実現に貢献することを基本理念として、全学でさまざまな取り組みを行っています。
 目標3に関連する授業としては、医学部医学科の5,6年次の必修科目である地域医療実習が挙げられます。学生はこの実習を通して、1週間実際の医療の現場に携わります。さらに、希望者は最長12週間の間、徳島県内23か所の地域医療施設で地域医療に触れることができる選択実習を受けることも可能です。
 また、医学部の医療情報学分野では、医療情報・診療データの解析や、ICT(情報通信技術)を活用した地域医療連携システムの構築など、地域医療への情報技術の活用にも取り組んでいます。
このように、徳島大学は、診療に関する学修をはじめ、地域医療を支える技術の提供にも力を入れているといえます。