大学における企業連携・社会連携について
大学における企業連携・社会連携の意義は、社会の中核的な知的集団である大学が、その教育・研究を活性化させ、社会の信頼を得つつ発展することにあります。研究者が自らと異なる価値観に触れることで、革新的な技術開発につながる発想が得られるなど、大学における研究が活性化することが期待できます。
また、企業・社会連携は、大学の教育・研究の成果を「社会貢献」に活かすための一手段ともいえます。
今回の記事では、企業・社会連携の一例として、京都大学、名古屋大学、埼玉大学の取り組みを紹介。大学ごとの特色や学びについて解説します。
京都大学
京都大学は、THE 日本大学ランキング2023では5位、THE世界大学ランキング2023では68位にランクインしています。
京都大学は、基礎を大切にする教育と、多様性を生かす融合研究を行っており、先端研究機関や海外トップ大学との連携もさかんです。さらに、高い研究力を持った博士研究者を育成するために、博士前後期課程の一貫教育を行う「博士課程前後期連携教育プログラム」や、専攻を横断して学ぶことができる融合工学コースを設けるなどの独自の取り組みも行われています。
京都大学宇治キャンパス内にあるエネルギー理工学研究所、生存圏研究所、防災研究所、化学研究所との合同で、年に4回、京都府南部の企業を招いて「宇治キャンパス産学交流会」を開催しています。さらに2018年には、宇治地区インキュベーション支援室を立ち上げ、研究者やベンチャー企業が、化研が持つ多様なリソースを共同で利用できるようにし、研究成果の実用化・事業化支援を行っています。
名古屋大学
名古屋大学は、THE 日本大学ランキング2023では8位、THE世界大学ランキング2023では301-350位にランクインしています。
名古屋大学は、勇気と知性を持ち、未来を切り拓いていく「勇気ある知識人」を育成する人間像として示しており、幅広い教養と高い専門性を兼ね備え、積極的に社会貢献のために寄与できる人の育成を目指しています。
名古屋大学がある愛知県には、トヨタ自動車をはじめとした工業分野で世界をリードする企業が多く、名古屋大学はそれらの企業との共同研究を積極的に行っています。例えば、トヨタ自動車と先端技術共創機構が共同で展開する活動「ITAP: Innovative Technology Acceleration Platform」に賛同し、日本の優れた技術の研究開発や社会実装の貢献のため、研究支援などに取り組んでいます。
また、名古屋大学は2027年までのビジョンと戦略として「Nextビジョン2027」を掲げています。Nextビジョン2027の中では、名古屋大学を中心とした国内外の研究者が集う中核的研究拠点の形成や、グローバルマルチキャンパスを利用した双方向の留学生数の飛躍的上昇などが掲げられています。
埼玉大学
埼玉大学は、THE 日本大学ランキング2023では77位タイ、THE世界大学ランキング2023では1501+位にランクインしています。
埼玉大学では、社会連携の一環として、自治体、商工団体が推進するまちづくり等の取り組みに対して、「埼玉大学生広報サポーター」である学生が地域の方々と連携し、地域活性化を目的とした活動を行っています。学生の視点をもって商品開発やまちづくりに協力することで、地域の発展に貢献できるよう取り組んでいます。
また、埼玉大学は、毎年、新聞社やミュージアムなどと提携して公開講座を開催しています。教育・研究の成果を広く発信し、情勢や今後の未来についての展望を、学生だけでなく地域や一般の方々にも伝えることで豊かな地域づくりに貢献しています。