教育成果ランキングがいくつかの大学で上昇

 THE 日本大学ランキングの「教育成果」とは、企業人事や研究者の評判調査結果から、どれだけ卒業生の活躍が期待できるかを表す指標です。
 2023年度の教育成果分野ランキングにおいて、順位が上がった私立大学が複数ありました。
 以下の表は、教育成果分野ランキング100位以内かつ、昨年の教育成果分野の順位からの上昇幅が大きい西日本の私立大学です。今回はこの中から、南山大学、龍谷大学、同志社女子大学の取り組みを見ていきましょう。

南山大学の取り組み

 南山大学は、THE 日本大学ランキング2023の教育充実度分野で59位タイにランクインしています。昨年に比べて21位アップと、教育成果分野が大幅に伸びています。 
 南山大学の取り組みの一つに、大学1年次から参加できる「キャリアサポートプログラム」があります。2023年度は名古屋銀行と連携してPBL(問題解決型学習)プログラムを実施するなど、早期からキャリア形成や自身の適正について考える機会を設けています。
 そのほかにも、南山大学では学生がキャリアについて考える機会が多く設けられています。例えば経営学部では、南山大学を卒業して企業経営に携わっているビジネスマンや、各業界の企業から講師を迎え入れて行う、「現代産業論」という講義があります。卒業後、ビジネスマンとなった後も大学を介した交流ができるのも特色の一つ。卒業生同士、卒業生と大学との間でビジネスネットワークを広げるための組織「南山経済人クラブ」が存在し、社会人や経営者として様々な分野で活躍する卒業生が、毎月開催される例会などを通じて交流しています。
 また、南山大学はキャリア形成の支援だけでなく、専門分野の教育も充実しています。さらに、法職特別課外講座、会計士講座、公務員試験対策講座、エアライン就職対策講座など、さまざまな資格試験対策講座を開講しており、就職やその後の実務に役立つ実践的な教育が受けられます。

龍谷大学の取り組み

 龍谷大学は、THE 日本大学ランキング2023の教育成果分野で99位タイにランクインしています。昨年に比べて19位アップしており、教育成果分野が大きく伸びていることが分かります。
 龍谷大学では、多くの企業から求められる「DX人材」の育成に関する取り組みが行われています。2021年度には、農学部と先端理工学部の取り組みが文部科学省の「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する 高度専門人材育成事業」に採択されました。農学部の「食の循環実習」をはじめとした実習科目に、先端理工学部「クラウドコンピューティング演習」などの演習科目を組み合わせて、実践的な産業DX人材の育成を見据えたカリキュラムを構築しています。
 また、龍谷大学の特色のひとつに、「早期卒業制度」が設けられていることが挙げられます。龍谷大学大学院への進学を前提として、成績が優秀であれば、5年間(学部3年+修士2年)で2つの学位(学士及び修士)を取得することができます。短期間でより多くの学びを得て、社会で活躍することができます。
 さらに龍谷大学では、チャレンジ精神、創造性の豊かな人材を社会に輩出することを目的に、学生ベンチャー育成事業「プレゼン龍(ドラゴン)」を2001年から展開しています。代表が龍谷大学の学生であれば参加することができ、大学教授ら専門審査員を前に、ビジネスプランの「新規性」や「完成度」、「実現可能性」をプレゼンテーション形式で競い合います。

同志社女子大学の取り組み

 同志社女子大学はTHE 日本大学ランキング2023の教育成果分野で95位にランクイン。昨年の順位からは5位アップしています。
 同志社女子大学の特色の一つとして、地方自治体や企業と連携した取り組みが行われていることが挙げられます。例えば現代社会学部社会システム学科では、2年次の「専門基礎演習」にて、城陽市役所に対するデジタル政策の提案を2017年度より継続的に行っています。直近では2023年7月に、講義を受講する学生19名が4チームに分かれ、京都府城陽市におけるデジタル化の施策を城陽市役所にてプレゼンを行いました。ほかにも、社会システム学科では「地方行政(京田辺市)インターンシップ」など、各地域や企業と連携した実践的な学びの機会を設けています。
 また、薬学部医療薬学科は、医療現場に近い環境で実践力を養うカリキュラムが特徴です。1・2年の段階から基礎科目に加えて、「早期体験学習」にて調剤実習、病院・薬局見学などを行います。4年次以降は病院・薬局での実務実習を行い、実践力を磨くことができます。