6校の工業大学が総合ランキングの100位以内にランクイン
THE 日本大学ランキングの総合ランキングとは、教育リソース・教育充実度・教育成果・国際性の4分野16項目で構成され、大学の教育力を総合的に表しているランキングです。
2023年度のTHE 日本大学ランキングにおいて、6校の工業大学（東京工業大学、芝浦工業大学、九州工業大学、名古屋工業大学、豊田工業大学、高知工科大学）が100位以内にランクインしました。工業大学（工科大学）とは、工学を専門に学ぶ工学部を中心とした大学のことです。
以下の表は、総合ランキング100位以内にランクインした6校の工業大学・工科大学をまとめています。この記事では、2023年度のTHE 日本大学ランキングで総合ランキング100位以内の工業大学から芝浦工業大学、九州工業大学、豊田工業大学の具体的な取り組みを紹介します。
芝浦工業大学の取り組み
芝浦工業大学は、THE 日本大学ランキング2023の総合ランキング34位にランクインしています。
芝浦工業大学は国際化に力を入れているのが特徴で、海外の技術者とコミュニケーションをとりイノベーションを創出することができる「グローバルエンジニア」の育成を視野に教育を行っています。そして私立理工系大学として唯一、文部科学省からスーパーグローバル大学に採択されています。
芝浦工業大学は語学研修や海外インターンシップ、交換留学などのプログラムの提供を積極的に行っており、スーパーグローバル大学採択前年（2013年）と2019年度を比較すると、海外への学生派遣数は約4.8倍、留学生の受け入れ人数は約10.7倍に増加しています。
海外派遣プログラムだけでなく、学内においてもさまざまな英語学習の機会を設けています。例えば英会話・英語プレゼンのための講座の開講や、「グローバル・ラーニング・コモンズ」という留学生や教職員との交流スペースの設置などの取り組みを行っています。
このように、理工系の知識や技術を学びながら、国際的な学修に積極的に取り組めるのが芝浦工業大学の特色です。
九州工業大学の取り組み
九州工業大学は、THE 日本大学ランキング2023の総合ランキング38位タイにランクインしています。
九州工業大学は、自律的学修を支援するプログラムやアクティブ・ラーニングの推進を通して、主体的に学び活躍できる工学系人材の育成に力を入れています。
九州工業大学の特徴として教育プログラムの評価の高さが挙げられ、工学部全学科の技術者教育プログラムがJABEE認定されています。JABEE（日本技術者教育認定機構）とは、世界水準を満たしている教育プログラムを認定する機関のことです。JABEE認定を受けていることから、工学部全学科の技術者教育プログラムが社会の要求水準を満たしているものであることがわかります。
そのほかの特徴として、先端研究・社会連携本部産学イノベーションセンターを設置し、学内の研究支援から産学連携までワンストップで対応していることが挙げられます。このように研究力を組織的に強化するほか、企業等のニーズと大学のシーズ（研究成果）のマッチングや産学官金の連携を推進し、学術研究の発展と地域社会や産業界への貢献を目指しています。
豊田工業大学の取り組み
豊田工業大学は、THE 日本大学ランキング2023の総合ランキング75位タイにランクインしています。
豊田工業大学は、機械システム・電子情報・物質工学の3分野を融合した「先端ハイブリッド工学」という独自の学問体系を構築しているのが特徴です。具体的には、学部4年間は基礎固めの期間と位置づけ、基礎学科のみの1学科体制を敷いています。これにより、工学全体をじっくりと見渡した上で各自の専門分野を決定できるというメリットがあります。さらに先端分野を極めたい学生には大学院進学が推奨され、学部と大学院の合計9年間にわたる教育・人材育成の過程が用意されています。
豊田工業大学のもう一つの特徴は、創造的で実践的な開発型技術者・研究者の育成を目指しており、体験・実践重視のカリキュラムを整備していることです。実践的な授業科目の例として、学部3年次の選択科目にトヨタ自動車から講師を招いて開講される「トヨタ生産方式概論」というものがあります。実際に生産の場で働く講師から、ものの作り方や仕組みが安全、品質、原価などと密接に関連することを学ぶことができます。
