偏差値序列によらない大学評価の誕生に好感

 従来、国内で使われてきた大学ランキングは、入学偏差値の序列に沿ったものがほとんどだったため、今回、私立大学の中で本学が11位にランクインしたことに率直に驚いています。同時に、「教育満足度」での高い評価は、学生を4年間でしっかり育てて送り出すという本学の教育方針が、高校現場に伝わっていることを示しており、そのことをうれしく思っています。
 本学は今年で開学30年を迎えますが、授業料は全て学生の教育に還元するという方針のもと、学習環境の充実に、特に力を入れてきました。外国語の習得には地道な努力が必要です。その努力を全力でサポートすることが本学の務めであると考えています。今回、これまで取り組んできたことへの評価が、数字となって目に見える形で確認できたことは、本学にとって励みになるものです。

自立学習者を育成する学習環境づくり

 外国語習得は4年間で完結するものではなく、一生涯続くものです。そこで本学では、語学教育を通して、自ら学び続ける「自立学習」の姿勢を育むことに力を注ぎ、学生の主体的な学びを支援する学習施設を数多く整えています。
 たとえば、今年度オープンした8号館には、自立学習スペースSALC(サルク:Self-Access Learning Center)のほかに、グループ学習やミーティングスペース、語学の専門教員から直接指導を受けられるスペースなどがあり、さまざまな学びに対応しています。
 また、多言語コミュニケーションセンターMULC(マルク:Multilingual Communication Center)には、7つの言語エリアを設け、それぞれの国や地域の伝統的な建造物を室内に設置しています。その言語を学ぶ学生、その言語を母語とする教員、留学生が常に集い、語り合える場所となっており、「擬似留学体験」が可能な環境となっています。
 さらに、モチベーションアップのため、スピーチやプレゼンテーションなどの各種コンテストへの参加機会を多数用意しています。

 今後は、就職したことで終わりとしない、自己実現をめざすキャリア教育にさらに力を入れていきたいと考えています。これからの労働力市場は、今よりもっと自由で流動性の高いものになっていくでしょう。そのため、「語学力+自立学習力」を軸に、変化に対応しながら、自分でキャリアを積み上げていける人材の育成が必要だと考えています。
 このような社会の変化にあわせて、大学選びではコストパフォーマンスがより重視されるようになるでしょう。教育成果をさらに高めるという視点で、学内の取り組みは随時見直す必要があると思います。

神田外語大学 学長
酒井 邦弥
酒井 邦弥
さかい・くにや
1968年東京外国語大学ドイツ語学科を卒業後、第一銀行(現・みずほ銀行)に入行。1999年第一勧業銀行専務取締役に就任。2000年みずほホールディングス取締役副社長。東京外国語大学理事を経て、2010年より現職。