社会変化に対応すべく大きな改革に着手

 今回のランキング結果で評価が高かった点、低かった点は素直に受け止め、個別に改善を検討するきっかけにしたいと思います。
 総合順位を見ると、理系の大学が高い評価を受けている印象です。本学にも理工学部がありますが、「教育リソース」のスコアがそれほど高くありませんでした。理工学部のプレゼンスを上げる方策の検討が必要でしょう。加えて、「国際性」のスコアが低いことから、全学的なグローバル化も重要な課題だと考えます。
 社会はこれまで以上に速いスピードで進展しており、大学も社会に対応していく必要があります。本学は約半世紀にわたって基本的な学部構成を変えませんでしたが、2019年をめどに大きな改革を始める予定です。近年は、文理融合型の教育が注目されていますが、そうした教育は全学で展開されるべきでしょう。そこで、新たな教育制度の導入を計画しています。具体的な計画と議論は、まだ続いているところですが、方向性としては、所属学部の異なる教員集団がチームティーチングで指導する共同ゼミのような形を想定しています。
 扱うテーマとしては、①高度IT社会と人類の共栄、②持続可能社会の構築、③人口減少社会における社会システムの構築、④世界の安定と平和などの4分野で、これらは本学が社会的責任を果たしていく分野でもあります。一部の学部のみで行わず、全学で多様な学生と多様な教員集団が議論を重ねていくことによって、大学全体をまるで一学部のようにするようなフレームづくりを考えています。

コラボ教育を目指し新たな教育方法を模索

 チームティーチングを円滑に進めるには、教員間の密接な交流が必要です。そのためにも、15回の授業の何回かを他学部の教員が担当する制度を導入し、チームティーチングの土台を固めていくつもりです。
 eラーニングなどのオンライン教材をはじめとしたICTの充実も必要でしょう。オンライン教材での予習と議論と対話で構成する反転授業により、教育効果の向上が期待できるからです。
 この改革でめざすものは、“圧倒的なコラボ教育”です。実現できれば、大学全体の教育の質向上が期待できますし、海外に向けたアピールにもつながるでしょう。これを推進することが結果的に各種ランキングのスコアに反映されるのではないかと考えます。

学長
北川 浩
北川 浩
きたがわ ひろし
1960年山口県生まれ。1984年に一橋大学経済学部卒業。1989年同大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、同年、成蹊大学経済学部専任講師に就任。助教授を経て1999年同学部教授。学長補佐、経済学部長などを歴任し、2016年より現職。