「教育充実度」で最高レベルにランクイン

「教育充実度」での結果について、国際教養大学の鈴木典比古学長は「教育充実度が最高レベルと評価されたのは、成長のための苦しいプロセスを、学生たちが乗り越えた証。これこそが我々の誇りです」と受け止める。

鈴木学長があえて口にする「苦しいプロセス」とは、入学初日の英語によるオリエンテーションと全寮制のもとでの留学生との共同生活から始まる「全て英語による学修・生活」や、卒業要件として必須である海外留学を含めて毎年住む場所とルームメイトが変わる「異文化環境への適応の繰返し」を指す。この過程で、学生には努力を継続する姿勢や、向上心、他者へのいたわりが生まれ、学生自身の自己内省による成長が促されるという。

入学すれば卒業は簡単と言われる日本の大学界において、国際教養大学が提供する「学生同士が自ずと切磋琢磨する濃密な学修・生活環境」は明らかに「特異」であるが、これが学生の成長と満足を生み出す最大の理由である。

キャンパスを行き来する学生の約3割は留学生。
キャンパスを行き来する学生の約3割は留学生。

「圧倒的な教育の質と量」と「共同生活を通した全人力教育」

国際教養大学は秋田にある小規模な公立大学だが、全国から入学者が集う。英語ができる学生が集まっていると思われがちだが、入学者の9割以上は日本の高校を卒業し、かつその8割は公立高校の出身者である。地方出身の「普通の」高校生を短期間で鍛え上げてグローバル社会に通用する人材に育て上げる、その秘訣は何か。

1つには学生が「生まれてからこれほど勉強をしたことはない」と言うほど勉強することにある。これは毎日宿題をチェックしたり、学修指導を行ったりする教員の情熱なくしては成立しない。24時間・365日の開館で有名な中嶋記念図書館は、宿題やグループワークに追われる学生が夕食後に集まり、深夜まで勉強する光景が当たり前となっている。

もう1つは、学生が、常に自己の価値観や自己成長を認識することである。留学生も交えて居住空間を共にする中で、お互いじっくり話し合って高め合う環境が、ここにはある。ルームメイトとの生活では、就寝時間など日常のルール作りなどを通して、黙っているだけではだめなのだということを学び、少人数教室では留学生との議論を通じて異文化への理解を深め、更に自身がマイノリティになる留学先では情緒的な成長が育まれる。留学中はそれまで学んだことの「知の統合」も一気に進み、一段上の「知識面と精神面の成長の相乗効果」を生むのだ。

「全人力、人間性の醸成、そしてあらゆる価値観から自由になり、新たな自分を構築するという『個』の確立こそ、国際教養大学が提供する教育の本当の強みなのだ」と鈴木学長は力説する。

学生一人ひとりに担当のアドバイザー(教員)が付く。
学生一人ひとりに担当のアドバイザー(教員)が付く。

世界の一流校との交換留学が意味するもの

多くの大学が留学を謳う今日、国際教養大学の海外留学制度は際立っている。まず、語学留学ではなく、専門課程を1年間学び、その取得単位を持ち帰る必要があること。このため、留学前に学生一人ひとりがアドバイザー(教員)と履修予定科目の内容を詳細に確認し、学修の質を担保していること。そして交換留学の制度上、各大学に1~2人しか派遣できず、日本人だけで群れる機会がないこと。この特徴的な制度は、学生が勉強・生活の両面でタフになり、自信をつかむという効果を生んでいる。

提携校は開学後わずか14年で190校になった。その最大の秘訣は、多文化共生のキャンパスを実際に見に来てもらうこと。全提携校のうち治安面で現在は推奨されない国・地域を除く9割と活発な交換を行っている。このため、常に欧米を中心に30もの国・地域からの留学生がいることも大きな特徴である。

学生全員に1年間の交換留学を義務づけている大学は、日本のみならず世界で類を見ない。国際教養大学の名は、世界にも広がりつつあり、提携校から毎年教員がやって来て特別講義を提供したり、提携校の学生とPBL(課題解決型授業)を実施したりしている。

教育の成果は、地方のハンデをものともしない「就職率100%」という実績が証明しており、国内外の一流大学院に進学する学生も増えてきた。「日本の高校生の潜在力は世界トップクラス。それを世界標準の教育制度と異文化環境を持つ国際教養大学で、磨いていってほしい」と鈴木学長。国際教養大学の挑戦は一層加速している。

学生の自主的な言語学修等を支援する能動的学修・評価センター。
学生の自主的な言語学修等を支援する能動的学修・評価センター。
学長
鈴木 典比古
鈴木 典比古
すずき のりひこ
1945年栃木県生まれ。1978年インディアナ大学経営大学院博士課程修了、博士号を取得。ワシントン州立大学助教授・准教授、イリノイ大学助教授を経て、1986年から国際基督教大学にて準教授、教授、学務副学長を歴任。2004年~2012年は同大学学長を務める。2013年から現職。経営学博士。