多彩なプログラムを展開し、充実したグローバル教育を実現

北九州市立大学は、1946年に小倉外事専門学校として開校以来、外国語、経済、文、法、国際環境工学部及び地域創生学群の5学部・1学群を有する総合大学へと成長した。各学部等の専門教育のほかにも、国の「AI戦略2019」を受けて全学生向けにデータサイエンス教育をスタート。2019年度に社会人向けに開設した「i-Designコミュニティカレッジ」では、2022年度に領域「社会人のためのデータサイエンス基礎」を新たに設置した。「新しい時代に即した教育プログラムを提供し、学ぶ人の未来に、社会に新しい風を提供できるよう教職員一同尽力してまいります」と松尾学長は語る。

国際性の高い教育にも力を注ぐ。海外13カ国・地域の28大学(2022年4月時点)と留学協定を締結し、休学せずに交換留学や派遣留学を実現できる。また、英語で専門分野を学ぶ外国語学部英米学科は、全教員がバイリンガルで、留学等の海外体験を原則必修としている。新型コロナウイルス感染症の影響等で留学ができない学生向けには、オンラインを活用した海外協定校との国際協働授業やグループワークを行う「Global Research Project」を開講するなど手厚く支援。さらに、副専攻「Kitakyushu Global Education Program」では、幅広い教養と語学力の修得を目的とし、所属学部では履修できない専門科目や英語運用能力全般を学ぶことが可能だ。このような取り組みにより、日本版ランキング「国際性」分野では、九州・沖縄エリア公立大学2位を獲得している。

環境問題に向き合い SDGsの取り組みを推進

北九州市立大学は「SDGs宣言」を発信し、環境問題の分野で幅広く活躍している。「環境技術研究所」では、洋上風力発電分野の世界的な拠点であるドイツのブレーマーハーフェン大学との大学間協定に基づき、2022年2月にヨーロッパと日本をオンラインで結び、「洋上風力発電講座」開設に向けた教員向けプログラムを開催した。また2022年8月には、全国の大学生・大学院生を対象とした「北九州市洋上風力キャンプ×SDGs」洋上風力発電研修を北九州市と共同開催。今後は、より本格的な環境人材育成プログラムの実現を目指す。

北九州市との連携事業である「ゼロカーボンシティ」は、「カーボン・ニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」(コアリション:共通の目的達成のためのパートナーシップ形成)において全国の大学に先駆けて紹介され、大学と地域との連携モデルとして国内外で注目されている。

さらに、2022年7月に、九州・沖縄の15大学と株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズによりPARKS(Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startup-ecosystem)を設立。スタートアップ・エコシステム拠点都市である北九州市、福岡市と連携し、社会課題解決と技術シーズマッチングによるイノベーション創出の取り組みを開始した。PARKSではオール九州・沖縄一体でアジアとつながるスタートアップ・エコシステム形成を目指し、本学においても、大学発ベンチャー育成を目的としたインキュベーションプログラム、アントレプレナーシップ教育、キ ャンパスや地域における起業支援環境の充実を進めていく。

【北九州市洋上風力キャンプ×SDGs】全国の学生対象の宿泊型研修
【北九州市洋上風力キャンプ×SDGs】全国の学生対象の宿泊型研修

実践的な活動を通じて 地域活力の創造に貢献

学生と地域をつなぎ、地域貢献と人材育成を目指す「地域共生教育センター(通称421Lab.)」は、北九州市立大学の地域連携の一翼を担い、学生プロジェクトを主体に地域と連携した活動を行っている。「防犯・防災プロジェクト(MATEʼs)」では、幅広い世代と関わりながら防犯・防災知識を広めるため北九州市や地元警察署、NPO法人等と連携している。小学生と一緒にまち歩きをして作成する「地域安全マップ」、防災を遊びながら学ぶための「あそぼうさい」への参加、お年寄りのためのニセ電話詐欺防止の啓発や防犯パトロール等に取り組んでいる。長きに渡る活動の評価は高く、北九州市や地元警察署等からも表彰されてきた。

地元企業への就職にも、積極的に支援を行っている。「キャリアセンター」ではJOB×HUNTERやインターンシップ等の様様なキャリア支援に力を入れている。JOB×HUNTERは、120社(団体)の人事担当者を招き、企画から運営まで学生が主体となって実施する学内合同企業研究会。主体的に物事を考えて動く力など、社会人として求められる力を身につけることができる。インターンシップは、低学年時から企業等と関わることで、職業観の醸成や今後の学生生活への課題発見の促進を図っている。「パートナー企業」によるインターンシップは、学生の人材育成だけでなく、地元企業等の魅力発信も目的としている。こうした実践的な活動を通じ、2021年度の就職率は98.7%(就職者数1098名/就職希望者数1113名)と、全国平均95.8%と比較して2.9ポイント高い結果となった。

地域に根ざした教育や多彩な活動ができる環境を整えることにより、THE世界大学ランキング日本版「教育充実度」九州・沖縄・山口エリア公立大学2位という結果となった。今後も学内外の垣根を越えた活動を推進し、地域社会で活躍できる人材を育成していく。

「まちの安全・安心」を考える【防犯・防災プロジェクト(MATEʼs)】
「まちの安全・安心」を考える【防犯・防災プロジェクト(MATEʼs)】

 

 

【JOB×HUNTER】多くの企業・団体が参加し、学生の就職活動を支援
【JOB×HUNTER】多くの企業・団体が参加し、学生の就職活動を支援
学長
松尾 太加志
松尾 太加志
まつお・たかし
1980年九州大学文学部哲学科心理学専攻卒業、1988年九州大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学、同大学にて博士(心理学)取得。1993年より北九州大学(現北九州市立大学)文学部助教授、教授を歴任し、2017年学長に就任。専門分野は、認知工学・認知心理学。